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# 2-5 心不全にもステージがある

心不全とそのリスクの進展ステージ

 前回は「心不全ステージC」について説明させていただきました。
心不全ステージAは、心臓にキズがないが、ゆくゆくは心不全になるリスクがある状態。心不全ステージBは、心臓にキズがついてしまったが、心不全症候がない状態。どちらも心不全ステージを移行させないようにすることが大切でした。そして、ステージCは心不全増悪を起こさないように、患者さんと一緒に考え、いかに心不全をコントロールをするかが重要とお話ししました。

日本循環器学会/日本心不全学会合同ガイドライン



 今回は、「心不全ステージD」についてお話をしていきます。
 急性・慢性心不全診療ガイドラインによると心不全ステージDは、「治療抵抗性症候」と記載されています。
 つまり、心不全となって心不全治療を行っても心不全症候が消失ない状態ということです😰(心不全症候については以前の記事を参照→#1-4 そもそも心不全って何?

 この状況となると補助人工心臓心臓移植などを含む特別の治療、もしくは終末期ケアが適応となります。これは、自身の心臓では全身に血液を送り出せないという状況に陥り、心臓を補助する機械(補助人工心臓)や代わりの心臓(心臓移植)が必要なります。また、これらの適応がなければ、末期がんの患者さんと同じように、どのように残りの人生を過ごすかということを考えなくてはならない時期であるということです🤔(個人的には、心不全ステージAの時点から、人生をどのように歩んでいくか、病とどのように付き合って生きていくかを考えていく必要があると考えています🧐)

 この時期は、医療者としても患者さんやその家族も悩ましい現状を突き詰められます😣医療者は、何ができて、何ができないのかを患者さんやその家族、そして多職種で考えることが重要となります。ここで最も大切なことは「患者さんが何を望むのか残りの人生をどう過ごしたいのか」を中心に検討することだと私は考えています。
 医療者、家族の都合もケアを行うには大切なことですが、その中でも患者さんの望みをどのように支えることができるのかという視点で関わることが心不全ステージDのケアのポイントです☝️
 
 さて、今回は心不全ステージDのお話をさせていただきました。このステージは、死、尊厳、倫理的な問題が入り混じり、Yes、Noで答えられる問題ではありません。そのため、患者さんやその家族、多職種と対話をしながら、みんなで協働してケアを行なっていきましょう💪

心不全ステージDのまとめ

・心不全となり、心不全治療を受けても心不全症候が消失しない状態。
・自身の心臓が全身血液を送り出せないために、補助人工心臓や心臓移植、終末期ケアが必要である。
・患者さんが望む残りの人生を過ごすために、何ができるのかを対話を行いながらケアを行なっていくことが重要である。

 心不全は、心疾患における全ての終末像と言われています。どのステージにおいても、進行することでこのステージDになる可能性があるため、ここに至らないように、もしくは遅らせるように医療者は関わっていくケアが重要です。それには、患者さん、その家族もこの状態を知っておくことがケアの第一歩であると私は考えています。
 心不全患者さんにより良いケアができるように、悪い知らせを伝えることも必要ということです。この伝え方も今後お話ししていきますので、ご興味があれば一読していただくと幸いです🙇🏻‍♂️

それでは、心不全患者が望む生活ができるような世の中にしてきましょう!!

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