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ルーツと多様性

みなさんのお家に家系図は存在しますか?
または過去帳と呼ばれるものか、或いは、お役所発行の全部事項証明書をご覧になったのことはありますか?

母方の祖母の旧姓がかなり珍しく、ルーツが知りたかったわたしは、母方の祖母の父、つまり曾祖父にあたる人物の全部事項証明書を取りました。

祖母は結婚してわたしの育った地域で結婚生活を送るのですが、曾祖父と祖母の弟も、すぐ近所に住んでいました。
なので、母の従兄弟、わたしの「はとこ」もご近所です。
田舎ではよくあることなのだと思いますが、わたしの世代にはそのような子は他に居ませんでした。

さて、全部事項証明書を見てまず驚いたのは、曾祖父の姓が、変わっていたということ。
つまり、婿養子となり、改姓されていたのでした。
そして元々の姓は、祖母が結婚した夫の姓と同じ、つまり、母と祖父は従兄弟同志での結婚でした。
曾祖父は祖父の親の兄弟ということです。

そして、はとこのお家が直系の傍系になります。長男さんは地元を離れているのと、わたしは直系ではないので、さすがに家系図を見せてとも言えません。
ですから、全部事項証明書をとりました。
証明書には他にもたくさんの情報があります。誰がいつ生まれ、いつ亡くなったのか。そして子どもたちが誰と結婚し、どこへ引っ越したのか、家督は誰が継いだのか、また分家したのか、養子にいったのか。
全て縦書で記載されており、もちろん達筆なのです。
最初の記録は江戸時代末期から記されていました。
曾祖父の両親の名前までわかりました。
けれど、この珍しい苗字はどこがルーツなのかはわからずじまい。
全部事項証明書を取ったのは今から約10年近く前だったと思います。

母方の血筋は証明書が無くとも、誰がどこから(姓がわかっている)嫁いできたのか、親戚筋はどの地域に居るなのかなど、だいたいは母が記憶していましたが、証明書を取ることで母も知らなかった部分のピースが埋まったようでした。

それから時が経ち、去年とあることがきっかけで母の従兄弟、祖母の腹違いの兄の息子にあたる方が知っていました。
祖母の腹違いの兄も徒歩圏内に住んでおり、わたしの幼い頃は、よく訪ねて来られ、玄関先で祖母と話していた記憶があります。
いつも手土産に果物を持って。

祖母の苗字はある地域で有名なので明かせませんが、有名な地域のお膝元にいたのでその姓を取ったとのこと。
なんだ、やっぱりその辺だったのか、と妙に合点がいきました😅
ルーツは意外なところからあっさり判明したのでした。

さて、タイトルの多様性には意味があります。
それは証明書を見ていてタペストリーのように連綿と続く歴史と知恵を感じたからです。

今のように不妊治療などない時代。
子供のない家庭はいくらでもあったことでしょう。
そして、医療未発達な時代です。
生まれてきても幼子のまま亡くなっている子もいます。でもそれが、普通だったのです。
どの家庭にもよくある話だったのだと。
証明書を見て兄弟姉妹の多さにも驚かされましたが、亡くなっている子も必ずいます。
出生出来なかった子も星の数ほどいたのでは、と想像することは容易です。
それゆえに子を授かれない良家は傍系から子を養子として迎えています。
父方は養子でした。
知っていそうな父の叔母などに尋ねたそうですが分からず、またその養子縁組を仲介してくれた方も不明のまま。わたしの姓に養子として迎え入れられる、その前のルーツは全く情報がありません。
父方の本当のルーツ、つまりわたしの半分のルーツは途中から永遠にわからないのです。
けれども父方の全部事項証明書に記載されているところまではわかっています。わたしの祖父母までですが。(養子縁組された記載がなかったような気がするので、出生の前に縁組されていたのかも?)

また、母の従兄弟の父、つまり祖母の腹違いの兄の母親はなんと台湾へ渡っていたそうです。
それはまだ明治の終わり頃のお話、日本が台湾を統治していた50年の間のお話です。
その他にも一人産んでから別の家に嫁ぐ、なんてこともよく聞いた話だそうです(母の談)。

現在だと養子はとても特別という認識かも知れません。また障害、病気を持って生まれてくることも少なくなかったことでしょう。
そしてわたしは養子縁組や分家、どこにどんな親族がいるなどの情報を聞きながら育ち、同世代の子たちとは家族の話が合わない程度に特殊な家庭環境だったとも言えます^ ^;
なぜなら母は父に嫁いで姓が変わっていますが、わたしは母の生家で父や兄弟、そして母方の叔父叔母、祖母と暮らし、また母の親族との関わりの方が圧倒的に多く育ちました。

わたしは日本人は昔から多様性を持っていたと深く感じています。伝統や知恵を持って次世代に繋いできたのだと。
父方も母方も全部事項証明書を取って初めて知る情報も多く、見られて良かったと思っています。
次の世代へ引き継ぐものと改めて認識するキッカケとなりました。