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『ルドルフとイッパイアッテナ』を読んで



ザ・タイマーズのゼリーは
『忌野清志郎と俺とは別人だ』と言った

それと同じように、斉藤洋は
『この本は実在の猫が書いたものです』
と主張している

ある日、友だちから預けられた
『ねこの原稿』を

新聞の折り込み広告の裏や、ちぎったノートや、デパートの包み紙に書かれた文字を

ワープロで清書しただけだと主張している


だからこのお話は
人間の下らないルールの枠外の出来事だと
しっかり認識してから読む必要がある

百万回だって言うが
これは猫の書いた本だ

それは真実だし、決して揺らがない

こんな当たり前の事をわざわざ前置きとして
書かねばならないのは非常に心苦しく無意味だと思うが

このシリーズの読書感想文を書くにあたって
改めて事前に確認しておきたい

これは一匹の猫が書いたノンフィクションの
とてもおもしろいお話である



黒ねこのルドルフは

ロープウエー乗り場のお姉さんや
飼い主のリエちゃんに可愛がられながら
幸せに暮らしていた

ところがある日
おなかがすいてつい
商店街の魚屋でししゃもを盗んでしまい
魚屋に追われモップを投げつけられて
トラックに飛び乗ったしゅんかん
モップが頭に命中して気をうしない
気が付けば
ぜんぜん知らない『トウキョウ』という
なぞの大きな街に来てしまった


ルドルフは以後
『失われた故郷』を追い求めて生きる
ここポイント

ルドルフとイッパイアッテナの出会いが
とてもカッコいい

古き良き不良マンガみたい


トラ ボス デカ ドロ
ステトラ タイガー
俺の名前は、いっぱいあってな、、、


いっぱいあってな?
『イッパイアッテナ』っていうのおじさん?
変な名前!


顔役のボス猫は
変に度胸の座った
物怖じしない黒猫に愛着を抱く


商店街の金物屋の飼い猫のブッチー

因縁の宿敵
金持ちの家の飼い犬
ブルドッグのデビル


そして猫たちを取り巻く人間たち


キャラクターとストーリーが
精緻に絡み合いながら
賛歌のように物語を紡いでゆく


人間の文字を読む猫たちはやがて

ルドルフのいた街が
『ギフ』である事を突き止める


商店街のバス旅行の行き先が
『ギフ』である事を知り

ルドルフをそのバスにもぐり込ませれば
故郷に返してやる事ができると喜ぶ

イッパイアッテナとブッチー


ルドルフの別れの門出に
ごちそうを食べさせてやろうと

イッパイアッテナはデビルに頭を下げて

ステーキ肉の残飯をもらおうとするが

卑劣なデビルの策略で

イッパイアッテナは重傷を負い、、、、


というお話です



考えてみればこの本に出会ったのも
ずいぶん昔だ

杉浦範茂の挿し絵が最高に良いんだよな
このシリーズは、、、


NHKの教育番組でやってた
テレビ絵本シリーズ

毒蝮三太夫のナレーションだった、、


風邪の日に学校を休んで
親も兄弟もいないアパートで

コンコンせきをしながら観てたっけな

続きが気になって
もう治ってるのに
翌日もズル休みしたっけな、、、















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