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世にも奇妙ないけふくろう

2022 10/17(月)
 
仕事の打ち合わせで池袋に行って来た。
先方と会うのに待ち合わせが分かり易い場所がいいので、こちらから池袋駅東口にある、ふくろうの銅像「いけふくろう」前を提案した。
所が、時間になっても先方がやって来ない。
しばらくするとメールが来た。
「いけふくろう前にいます」
えっ、どこにいるのだ?探せど探せど、姿が見えない。
もう一度、メールを確認する。
「いけふくろうの前にいます」
いや、やっぱりいない。
いるのは俺だ、いないのは先方だ。
じゃあ、ここにいる俺は一体誰なんだ?俺は死んでいるのか?
なんだか古典落語の「粗忽長屋」みたいになってきた。
ひょっとしたら、トワイライトゾーンに入ってしまったのだろうか。
世にも奇妙ないけふくろう前。
いやいや、俺は生きている、絶対に、今、いけふくろう前にいる。
そうだよねいけふくろう!
俺は振り返って、いけふくろうの銅像を見た。
あれっ、なんだ、これは、いけふくろなのか?
ふくろうって、こんなビジュアルだったか、ふくろうにしては妙に大きい、というか全然、ふくろうの形をしていない、大きな人間の手に見える、さらには、その手の中に、おかあさんと子供がいるようにも見える。
その時、ようやく気が付いた。
違う、いけふくろうは、この場所の地下にある銅像だ!
では、この銅像はなんなのだ?
ともかく、俺は大急ぎで地下への階段を降りた。
辿り着くと、先方は、いけふくろう前で不安そうに待っていた。
「ごめんなさい、いけふくろうだと思っていたのがふくろうじゃなくて、
手の中におかあさんと子供がいたんです」
「えっ?」
がんばって言い訳をしたものの、手の中におかあさんと子供がいた、というフレーズが我ながら、完全に気が狂っていた。
なんとか、エンターテインメントにしなくては危ない奴に思われると焦った俺は、先ほどの銅像の前に先方を案内した。
到着するなり、先方は大笑い。
「いやいや全然違うじゃないですか~」
改めて見ると、銅像には「母子像」と書いてあった。
「母子像とふくろう、大きさも違うし~ハッハッハ、大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です」
大丈夫な訳ない。
俺は一体、いつから、母子像をいけふくろうと思っていたのか。
いけふくろうの存在は分かっていたはずなのに。
はてなマークがいっぱいになった。
俺の中では、結果的に、いけふくろうが、二体あったというのだろうか。
世にも奇妙ないけふくろう。
次はあなたが、いけふくろではない銅像の前で、ずっといけふくろうだと思っているかもしれません。なんなんだそれは。
今日の日記は、粗忽いけふくろうという一席でございました。
チャカチャン♪
 
 
 

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