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佐野眞一さん

2022 9/27(火)
 
作家の佐野眞一さんが亡くなった。
今や、ノンフィクションの金字塔と言われている「東電OL殺人事件」を読んだ時は本当に興奮した。
有名な事件であるから概要は知っていたにもかかわらず、ページをめくる度に、ドキドキしっぱなしだった。
しおりを挟んだ後は、仕事中も気になって、早く続きが読みたいので、家の近くまで来た時に、信号を急いで渡ったら車に轢かれそうになった。
東電OL事件、という実に不可解で気味の悪い殺人事件を、作者自身が一人で解決に向けて乗り出し、警察も見落としていた数々の矛盾を、探偵小説の如き観察眼と想像力で事件解決の糸口を見つけて行く。
いわゆる調査報道の面白さをこの本で初めて知った。
「クラッシュ」という阪神淡路大震災の事などが書かれた短編集も印象的だった。
ニュース画像で見た、真っ二つになった阪神高速道路で今にも落ちそうになっているバス。
その運転手への取材で、一命を取りとめた運転手が、一番最初に取った行動、それはバスから降りて、コンビニを探して、インスタントカメラを買い、再び現場に戻って、なんと、落ちそうなバスを記念撮影したという。
佐野眞一さんが取材しなければ、こんなことは運転手も話さなかっただろう。
晩年は、何かと問題もあった作家さんだったが、発表してきたノンフィクション本の数々はこの先も残っていくに違いない。
一度お会いしたかった。
 
 
 
 

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