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柳沢慎吾、柳沢慎吾、柳沢慎吾・・・

2022 8/23(火)
 
ようやく眠れたのは明け方だった。
昨夜は疲れていたので23時半頃には布団に入ろうかと思っていた。
しかし、せめて0時までは起きていたかったので、何か短い動画でも観ようかと思いYouTubeを開いてみた。
検索履歴が出るおかげで、俺へのオススメ動画が沢山出てくる。
「落語・・・猫・・・柳沢慎吾・・・」
柳沢慎吾?なぜ柳沢慎吾なのか。気になって5分位の柳沢慎吾の動画をひとつクリックしてみる。
何かの番組で体験談を喋っている。面白い。
俺も体験談をネタに新作落語をやるが、柳沢慎吾の構成力と臨場感に圧倒された。凄い。
これはテレビで披露するには芸が磨かれすぎている。
フリートークの場でこんなにも完成度の高い芸を見せられると、迫力がありすぎる。これは劇場などのライブで、それも一ネタ20分くらいかけて披露するレベルだ。
観終って余韻に浸る間もなく、今度はオススメ動画に、
「柳沢慎吾、柳沢慎吾、柳沢慎吾・・・」
いきなり柳沢慎吾だらけだ。
俺は今、どれだけ柳沢慎吾が好きなんだろう。
すべてのチャンネルに柳沢慎吾しか出てこないという夢のようなラインナップ。次の動画をクリックせずにはいられない。
今度は、記者会見のような会場で柳沢慎吾がしゃべっている。
しかも自分がメインでもないのにしゃべっている。その臨場感。
気づけば、最後はメインになっていた。面白い。
すると、また次の動画が出てくる。
「柳沢慎吾、柳沢慎吾、柳沢慎吾・・・」
そして、またクリックせずにはいられない。
これはもう、パブロフの柳沢慎吾だ。
時刻はとうに0時を過ぎている。
あれだけ疲れていたのに、元気になってきた。
やばい、このままでは眠れない。俺はいつまで観続けるのだろう。
ワールドカップか柳沢慎吾か、もはやそんなレベルだ。
それにしても、どうしてこんなに柳沢慎吾の動画が出てくるのだろう。
もちろん次々にクリックしているからなのだが、そもそもなぜ最初のオススメの段階で出てきたのだろう。
時刻は深夜0時30分。
生まれ変わったように元気になった頭で記憶をさかのぼってみる。
なぜ柳沢慎吾なのか。そう、それは小学生のころの話だ。小学生?そうか、思い出した。小学校のころ、俺は友達に柳沢慎吾に顔が似ていると言われたことがあった。
友達は柳沢慎吾の名前が分からなかったのか
「おまえ、あの人にそっくりや、ほら、テレビ出てドラマ出て歯出てる人」と言った。
「テレビ出てドラマ出て歯出て」凄いフレーズである。
柳沢慎吾以外に考えられないキャッチコピーだ。
一瞬、明石家さんまかと思っても、明石家さんまだったら子供でも名前を覚えやすいし、第一、そのころは「ひょうきん族」の全盛期。
アホちゃいまんねんパーでんねん、というナンセンス極まりないギャグが大流行していた時だから明石家さんまの名前ならばすんなり出てくるだろう。
「柳沢慎吾」という名前は、ちょっとお堅くて、キャラクターからはほど遠いから子供には瞬時に思い出しにくかったのもしれない。
テレビ出てドラマ出て歯出てる人、そうか俺はそのことをふと思い出して、新作落語で当時のことを再現したんだ。その際に、参考資料がてらにYouTubeで柳沢慎吾を検索したのだった。
小学校のころ顔が似ていたのかもしれないが、今もそうなんだろうか。
深夜1時。
次々と動画を観て行く中で、顔は似てないが実話をネタにしているその姿に、芸がちょっと似ているかもと思った。うん、似ていたら嬉しい。
そう思った。芸は盗むものなりだ。
この臨場感、俺も落語に生かしていこう。
深夜1時30分。
柳沢慎吾の動画に関根勤が出ていた。関根勤という芸人の表現力、当たり前のように昔から知っているがやっぱり凄いなぁ。
そして観終わった途端、今度は
「関根勤、関根勤、関根勤・・・」
深夜2時。
今夜はしばらく寝れそうもない。眠くなるまで、芸を盗もう。
そして新しい動画をまたひとつ、クリックした。
 
 
 
 

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