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超短編小説 海の幻想

朝起きてなんとなく船に乗ろうと思った。ちょっとだけのクルージングだ。

船に乗り海原に出た。晴れ渡る青い空と青い海の地平線に吸い込まれそうだ。

船からそっと下を見ると水面が光を放ちだした。目を開けてられないほど息ができないくらいの光が自分を包み海へと誘う。誰かが呼んでいるような気がした。

抵抗も出来ずすーっと海の中に入っていく。そして沈むのを感じた。水色から青へ、青から群青へ、群青から漆黒へ。ゆっくりゆっくり。

海底に落ちると光は消え、漆黒と静寂の世界が自分を包んだ。すると見たことのない魚たちが光を放ち、自分の周りに集まった。何かを語りかけているようだがわからない。意識が遠のくのを感じた。

目が覚めると船の上で無数のプラスチックゴミの中にいた。夕日が沈むようだ。家に帰ろう。

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