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短編小説

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小説まとめました ほとんど超短編小説 思いついたときに書くので不定期です
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#創作大賞2024

超短編小説 隣人

今時、珍しい木造アパート。老朽化が凄く建て替えが半年後に決まっている。ほとんどの人は引っ越して、住んでるのは私と隣人だけ。 朝、起きて適当に食事を済ませ、出勤。錆びた鉄の階段を降りるとどこか軋んでいるような音がする。なんとなく視線を感じて上を見ると隣人が戸を開けて覗いていた。 挨拶をしても返すことにない隣人なので、そのまま自転車に乗って駅まで向かう。いつものことだ。 隣人はどうやら仕事をやめて家にいるようだ。たまに人が来ている。薄い壁なのでボソボソと聞こえるが何を言って

超短編小説 家族全員FIRE

家族4人仕事をしていない家があった。4人とも仕事はしていた。母親は事務員だった。父親は会社で母親と知り合い結婚。結婚と同時に母親は専業主婦になり子育ても終えFIRE。 息子は二人。一人は大学を卒業して公務員に。もう一人は大学を卒業して一般企業に。数年後、二人とも仕事が合わなくてFIRE。 父親は60歳定年を迎え再雇用もなしにFIRE。 4人ともごくごく普通に暮らしている。きっと投資が上手くいって暮らしているのだろう。羨ましい限りだ。 休日になると息子たちは昼間外に出て

超短編小説 涼 初恋

高校は寮生活だった。退屈な朝礼に退屈な授業。友達も出来ずただボーっとしている毎日。 教室の壁にもたれかかっていると「涼君、たまにはみんなと話そうよ」おせっかいな琴音が話しかけてきた。その隣で心配そう縁が見ている。なんだこいつら。 「うるせーな」そう言ってその場を去った。ただただ面倒くさい。なんであんなに心配そうに縁は俺を見たんだろう。 揉め事は嫌いだ。友達なんて揉め事運ぶだけだろ。中学時代に悪い連中に絡まれて大変だったことを思い出す。もうあんなのうんざりだ。 次は体育

超短編小説 犯罪がなくなれば

世界中で犯罪が増え世界は混乱した。 犯罪者は脳の機能に異常がある。それは知られていた。脳の機能を正常にするにはどうしたらいいのか。「脳の正常化プロジェクト」が始まり世界中の研究者たちが参加した。 様々な研究の結果、特定の遺伝子に問題があることがわかった。プロジェクトは次の研究へと動いた。世界は固唾のんで見守った。 研究班Aが特定の乳酸菌を飲めばその遺伝子に作用し脳の機能が正常化すると発表した。その特定の乳酸菌を犯罪者に継続して飲ませればいいと。 乳酸菌なら問題ないだろ