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超短編小説 隣人

今時、珍しい木造アパート。老朽化が凄く建て替えが半年後に決まっている。ほとんどの人は引っ越して、住んでるのは私と隣人だけ。

朝、起きて適当に食事を済ませ、出勤。錆びた鉄の階段を降りるとどこか軋んでいるような音がする。なんとなく視線を感じて上を見ると隣人が戸を開けて覗いていた。

挨拶をしても返すことにない隣人なので、そのまま自転車に乗って駅まで向かう。いつものことだ。

隣人はどうやら仕事をやめて家にいるようだ。たまに人が来ている。薄い壁なのでボソボソと聞こえるが何を言っているのかわからない。それ以外は静かだ。たまに物音がするくらい。

派遣の仕事しかない私は今日も短期事務を淡々とこなす。社員とは身分が違うのはよくわかっているので余計なことはしないし言わない。引っ越しの費用をどうにかしないと、まあそれだけだ。

仕事を終え、アパートの近く行くと規制線が貼られていた。焦げ臭い匂いだ。警察官に自分のアパートがあることを言うと、「全焼したアパートかな」と。入れてもらうとアパートが燃え落ちていた。

生活保護を打ち切られガソリンを被って火をつけアパート全焼。そんなニュースを漫画喫茶で見ながら「そんなもんか」と明日からのことを考えた。

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