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提案営業を個人の力量に依存しない-2

提案営業の体系 振り返り

前回、提案営業を行うためには「提案営業を仕組み化しデータベース(以下DB)を作り上げること」と記載しました。
そこで、提案営業の体系として次の5つを提示しています。
フェーズ1:収集情報の明確化
フェーズ2:情報と顧客ニーズのマッチングDB構築
フェーズ3:収集情報と顧客ニーズの検証ヒアリング
フェーズ4:提案策(解決策)のDB構築
フェーズ5提案の実施

提案営業の実践編

今回は、この実践編について記載しようと思います。
「フェーズ1:収集情報の明確化とフェーズ2:情報と顧客ニーズのマッチングDB構築」は、このような情報があれば、顧客にこのようなニーズが発生しているであろうという仮説を構築することです。
一番簡単なのは、自社の成功事例や失敗事例を集めて整理することです。
例えば、ある製薬企業の事例ですが、病院の外科医に自社の薬の評判が良いという話がありました。
その理由を聞いたところ「手術後に薬による副作用がでるのが外科医としては一番困る。この薬はその副作用が少ないので、手術が適切におこなえたかどうかわかる。」とのことでした。
一般的に、薬というとどれだけ薬効があるということを全面に打ち出すことが多いのですが、この話を聞いた後は、外科医に対して「手術後の副作用が一番少ない薬」としてPRし、結果120%の伸びとなりました。

背景までは聞かない営業マン

しかし、営業マン個々人がなぜその引き合いが出てきたのかという背景までつかんでいることは非常に少ないです。
成功事例発表会というと、どのように商談したのか、このようにトークしたから成功しましたという内容であり、なぜその顧客ニーズが発生したのかまではふれられません。
ある部品商社の事例です。
顧客である食品メーカーから、「原料エキスを配管で運んでいるが、配管内に残渣が残っているか調べることができて、残っている場合水を流せるようなものはないか。」という引き合いがありました。
それに対応する部品はありましたが、かなり高価な製品でした。
そこで営業マンに「いつも配管で運んでいるのに、なぜ残渣が残っているのか確認したいというニーズが急に発生したのか?」と聞きましたが、わからないとのことでした。
調査してみてわかったのは、親会社の監査で「残渣は残らないのか。」と聞かれたので、念のため聞いてみたとのこと。
これが残渣が製品に混入して市場クレームになっているのであれば、金額に関係なくすぐに購入されたと思いますが、結局この程度のニーズでしたので話は立ち消えになりました。
このように、引き合いで始まるような案件は、そもそもなぜその案件が発生したのかという情報が取れていません。
私達の業界も一緒で、普通の営業は顧客が「管理職研修を行いたい。」と言えば、管理職研修のパンフレットを持ってPRします。
できる営業は、「なぜ管理職研修を行いたいと思ったのか。」「何を解決したいのか」をヒアリングして提案します。

仕組み化と営業のヒアリングを変える

そうしますと、「フェーズ1:収集情報の明確化とフェーズ2:情報と顧客ニーズのマッチングDB構築」を行うためには、仕組み化と同時に営業マンの営業スタイルを変える必要があります。
具体的に言えば、引き合いが何故出てきたのかという背景情報を日常の営業活動の中できちんとヒアリングすることです。
仕組み化と営業のヒアリングを変える。
これが、第一歩です。



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