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生産財マーケティングの基本④ ニーズとウォンツ

ニーズとウォンツ

生産財の顧客ニーズは「経済性の追求」と前回記載しました。
さらにもう一歩考えていきたいと思います。
よくニーズとウォンツという言葉が使われています。
「喉が乾いたのでなにか飲みたい。」とい根源的な欲求がニーズであり、それを満たすために「水」が欲しいとなればウォンツになります。
生産財なら、「コストダウンしたい」というニーズがありそのために「代替品を探す」といのがウォンツです。
ニーズは目的であり、ウォンツは手段とも定義することができます。
では、生産財、特に受注品の営業マンは顧客ニーズをつかんでいるでしょうか?

営業マンはウォンツしか掴んでいない

すでに記載していますように、生産財(特に受注品)の場合は仕様や機能は顧客が決定しますので、基本生産財メーカーは受け身です。
従って、多くの営業マンは顧客が言う仕様や機能に対応しているだけで、顧客ニーズは把握していません。
ある商社の例です。
ある営業マンが「曲がりくねったコンベアがないかと顧客から聞かれている」と話していましたので、なぜそんなもんが必要なのかと聞いたところわからないとのことでした。
顧客に確認したところ、新設するラインの直線状に柱があるので、曲がりくねったコンベアがほしいということでした。
そうなると顧客ニーズは、柱を避けるラインを作りたいであり、それができるのであればコンベアである必要はありません。
もしかすると、柱を避ける形でのライン全体を提案するというアプローチもできるかもしれません。
私達のビジネスでも、顧客から管理者研修をしたいという話を受けた営業マンが管理者研修のパンフレットを顧客に持っていき、顧客ニーズとして管理者研修と記載することがありますが、これはウォンツを聞いてきたに過ぎません。
管理者研修を通じて何を解決したいのか、そもそも何に困っているのかをつかむことが、顧客のニーズを掴むことです。
このニーズを掴まないという傾向は、商社よりもメーカーの方が強くなります。
なぜなら、メーカーは作っているものを販売するわけですから、自分が作っているものに対してウォンツがなければ、更に深くニーズを聞くことはありません。
なぜなら、聞いても販売する製品がないからです。
私は部品メーカー出身ですが、そこで語られていた逸話は「営業マンのA氏がこれからは単品ではなく複合部品を販売しないといけないと、工場や開発が断っていた複合部品製品を粘り強く訴え続けた結果ある複合部品が生まれた。」というものでした。
そのように語り続けるのは、自分たちで新しい製品を作らないといけないということを忘れるからです。
生産財だけでなくメーカーが自社から提案できないのは、今自分たちが作っているものを販売することしか考えないからです。

目的と背景情報をつかむ

生産財に限らず組織に対して販売する場合、顧客からの引き合い内容は顧客ニーズではなく単なる手段(ウォンツ)であることを理解することが必要です。
このウォンツに誠実に対応することも必要ですが、これだけでは顧客のウォンツに対応しているだけで、提案を行うことはできません。
必要なのは、その引き合いで解決したいことはなにか、目的は何かをヒアリングすることです。
このドリルがほしいと言っている顧客は、ドリルを購入することが目的ではなく穴を開けることが目的です。
その目的を聞けば、キリでも電動ドライバーでも良いかもしれません。
そしてもう一つ。
なぜ、孔を開けることが必要になったのかという背景情報も聞きたいところです。
家が老朽化してきたので、自分でDIYするようになったという背景かもしれません。
では自分でDIYできない範囲は?
また、他の老朽化してきた家のDIY提案は?
提案のストーリー展開に繋がります。



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