第18話 対決!キノコ親分VSネネ
両頬を叩いて気合いを入れ直したネネは、険しい表情になりました。
普段はヘラヘラしているので、真顔になるのは珍しいことです。
ネネは光子銃の出力を、最大値にセットしました。
ただし、これで威力は上がるものの、連続発射は出来なくなります。
つまり一発勝負です。
「出てきて、うきゅちゃん」
ネネが声をかけると、ポケットの中で寝ていた光の精霊うきゅが飛び出して頭の上に乗っかります。
そして、眩い光を放ち始めました。
その光景に驚いたのは、道化師のオレンジです。
なぜなら光の精霊を使役している者は、歴史上で「聖母マリア」「聖者キリスト」の2人しかいないからです。
光の精霊とは、精霊の中で最上位クラスであり、数が少ないことからレア中のレア種と言われていました。
つまり光の精霊を使役する神は、ネネで3人目ということになります。
「うわっ すごい あれって光の精霊!? 珍しい!初めて見た」
『珍しいものなのか? ネネは昨日契約したばかりだから、おそらく何もわかってないと思う』
「えーーー!? よくわかってないのに、それって大丈夫なの?」
『大丈夫!・・・かもしれない』
「かもしれない・・・って、ちょっと楽観的すぎ」
『う~ん、何ともならないことを、何とかしてしまうのがネネだから、きっと大丈夫だ』
「大丈夫なの?ホントに?」
『いま我々がするべきことは、全力で自分の身を守ることだ。ネネのやらかしに巻き込まれないように、何かあったら全力で逃げろ』
「うわぁぁ、やっぱ大丈夫じゃないってことでしょ」
道化師のオレンジとサンダー・ボルトは、小人妖精のアケビちゃんと共にネネから少し距離を取りました。
そうこうしているうちに、ネネは腰を落として光子銃から最大出力の光線を発射しました。
さすがに最大出力だけあって大きな反動が来ましたが、何とか踏ん張ってこらえます。
光の精霊うきゅの力が上乗せされた太く輝く光の束が、一直線に巨大なキノコの親分めがけて飛んでいきます。
狙いさえ外さなければ、動かないモノであれば絶対当たるはずです。
しかしその時キノコの親分は、意外な行動をとりました。
赤い胞子を、辺り一面に撒き散らしたのです。
驚くことにネネの光線はこの赤い胞子に屈折させられてしまい、しかも分散してネネ達に降り注ぎます。
地獄絵図とは、こういうことを言うのでしょうか。
周辺の木々を手当たり次第に、反射した光線が破壊していきます。
一方でネネは、通常あり得ない方法で防御していました。
襲ってくる光線を、自らの足で蹴り飛ばしていたのです。
「わわわ!ボルトくん!こっちにも光線が飛んできてる!」
ボルトは格納していた小型レーザー砲を展開して、即座に迎撃します。
光線同士が衝突することで空中爆発を起こし、相殺処理されました。
ネネを見ると、いつもの「え~ マジで~」っていう顔になっています。
しかも半泣きです。
『やばい!あれは、やけになって何か仕出かす時の顔だ!』
「え?どういうこと?」
『一刻も早くネネから離れないと、巻き添えを食うってことだ』
「うそ~~ん」
ボルトたちが慌てて逃げようとしていると、どこからともなくジングルベルの音が聞こえてきました。
これはサンタのソリがやってくる時に鳴る鈴の音です。
シャン シャン シャン シャン シャン シャン シャン
いきなり空が曇り始め、猛吹雪になります。
シャン シャン シャン シャン シャン シャン シャン
ジングルベルの鈴の音は、鳴り続けています。
バイクのボルトに乗りながら道化師のオレンジが振り返ると、雪景色の中に真っ赤なコートを着ている長髪の女性が立っているのが見えました。
つづく
【あとがき】
この小説の題名は「赤と黒のサンタ」です
一筋縄ではいかなかったキノコの親分
まさか瘴気をも破壊する光線が効かないとは思ってもみませんでした
予想外の展開に追い込まれたネネは、一か八かの賭けに出ます
いま試そうとしているのは、サンタだけが使える神の御業でした
ちなみにネネは、サンタとして認められたのはつい昨日の事なので、まだ使ったことはありませんでした
全てAI生成画像です。「leonardo.Ai」さんを利用させて頂いてます
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