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🎼 書き込みされた楽譜

先日、大学院でピアノを専攻している学生から、その学生が使い続けているバッハ(J. S.Bach )のトッカータの原典版の楽譜(テキスト)を縁あって見せて頂きました。 

どれだけページを捲ったんだろうか?
テキストの四隅が、大きく丸くなる程、繰り返し繰り返しページを捲り、そしてテキストを開くときの両手の親指と人差し指の形跡が見てとれる程、そこのところだけ凹みが出来、何年も肌身離さずいつも持ち歩いていたような、そんな雰囲気を感じさせるテキストでした。

楽譜は書き込みが無くても、見ているだけで美しいと感じますが、その人のその楽譜には、赤、ピンク、黒、青などのペンで音符と音符の間に音符が追記されていたり、様々な記号や引出線が書き込まれていたりしました。  
また五線譜の上の余白にはカタカナ、ひらがな、英語やアルファベットで、レッスンでの指摘内容がたくさん記されていました。 
けれどもその人の性格なのか、気質なのか、筆跡の特徴なのか、それを見ているだけでポエティックな感じかして来るから不思議です。

書き込みされた楽譜は、今まで何度か眼にすることはありましたが、書き込みされた楽譜(譜面)からシャガールやミロの絵から感じる様な、そんなポエティックさを感じたのは、この「書き込まれた楽譜」が初めてでした。

ひとつ一つのレッスンを積み重ねるように書き込まれた譜面。こうして辛抱強く、丁寧に一つ一つ修練を積み重ねていく中に、本人が希望しているプロのピアニスト ( Soliste ) としての道が用意されていくのかなぁと、そんなことを思いながら、スマートフォンのカメラにその楽譜の数ページを収めました。

ステップアップに繋がるような国内外のコンクー
ルを勝ち抜いて、たくさんの聴衆がいる多くの舞台から声をかけて頂けるように。ピアノの演奏で自立して生きていけるようにと。そんなことを思いながら、将来の活躍を楽しみにしたいと思います。

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