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奇人変人一家

「もう、あかんかもしれん」
万太郎は弱気だ。

勇の状態はかなり悪く、命の危機が迫っているということだ。

「あいつなぁかなり不規則な生活をしていたようでなぁ、奥さんがいてくれたらなぁ」

あの役立たず…
ソープ嬢になることを許可したのは
父、雄士だった。
私を通さず、直接、父親に頼み、
結婚の話も破棄にした。

法的に、葉月の保護者は父親である
雄士であるから、この手続きはなんら問題なく
私が知らないと抗議しても、後の祭りであり、
葉月はしばらく椎名藍の家に逃げ込み、
高校を辞め、ソープ嬢となった。

「いいんじゃないのか。あいつの人生だ。
好きなようにさせてやれ」
雄士はそう言って話を終わらせた。
どうでもいいのだ。
ラーメンさえ作れれば…

その資金集めに私がどれだけ苦労していようが
お構いなしだ。

だが天才星岡 雄士のセンスは間違いなく、
経営面を私が担当して、
さらなる花を咲かせたと言っていいだろう。

そう…私のプロデュース能力の高さによって
今の「星岡」があるのだ。

私の采配が抜群であり、天才的と言っても
過言ではない。
やはり私もまた天才星岡 雄士の血を引いているのだ。

あの役立たずの穀潰しはどうだ。
家のこともできない…
母親になる自信がない…
性欲を解消させるどころか性欲を加速させ、
勇はまるで仕事ができない木偶の棒になってしまった。
万太郎と相談して、チェーン化も踏まえ、
優秀な人間を招聘した方がよいと考え、
支店星岡団をオープンした。

もはや勇はただの種馬となった…
まあいい…ソープ嬢なんていつまでもできるわけない…特にあの気弱な葉月が務まるわけがない…
おめおめと逃げて、勇と交尾に励んでくれればいい。星岡の血を引く、天才を産むのだ。

そうたかを括り、コロナとなっても
葉月は戻ってこなかった。
それどころか不動のナンバーワンにまで
登り詰めていた…

ああ、そうか、性技だけは一人前か…
つぐつぐ情けない奴だ。

確かに勇は完全に腑抜けになってしまった。
男を狂わせる情婦…
汚らしい。
人間の最も最下層にいるべき存在だ。
なぜ、あんな不出来な欠陥品が
妹なのだろう…

「これから来ますので、まあお茶でも
飲みながら待ちましょう…」
万太郎にお茶を淹れると、

珍しく、雄士も居間に来た。
やはり、あれだけ嫌っていたとはいえ、唯一の弟子が死の淵にいることに、なにか思う所が
あるのか…

「なぁ、星岡さんや、アンタ娘を遊女になんかして、なんとも思わんのか」

「ソープ嬢はきちんとした職業だろう。立ちんぼをやるというのなら止めた」

「なにを言ってるんだアンタは!
身体を売ってるんだぞ。見ず知らずの男の欲望をぶつけられてるだぞ」

「俺も、見ず知らずの人間たちに不健康な食い物を食べさせている。塩分も油分も過多の
ロクでもない食い物だ。
つくづく不思議だ。こんな不健康な食い物を
売っている産業に公金を入れて助けようなんて
この国はイカれてるんじゃないのか」

「アンタの話はついていけんよ、それとこれとはなぁ、ああもういい」

◯◯と天才は紙一重…重い足取りで
お茶を配った🍵


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ホントにありがとうございます😭 さらによい作品を作り還元していきたいと思います♪