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第18回:参入障壁が高い理由【日本型オペレーティングリース】

こんにちは、JOLアドバイザーです。

日本には約300社のリース会社が存在します。しかし、日本型オペレーティングリース(以下:リース事業)の組成(商品開発の事)を行っているリース会社は約15社と極僅かです。

その理由は参入障壁の高さにあります。

そこで今回は、何故リース事業の参入障壁が高いのか、その理由をお話します。

※リース事業の取り扱い会社一覧は下記をご覧ください。

※私について知りたい方は自己紹介をご覧ください。


1.組成出来る人材が少ない

リース事業を組成する為には、高度なノウハウが必要であり、その業務に従事する担当者は以下の能力を求められます。

 ①英語力

航空・海運業界の共通言語は英語であり、交渉の為にビジネスレベルの英語力が必要となります。第一線で活躍する組成担当者の英語レベルは、TOEICだと900点を超えている方ばかりです。

 ②コミュニケーション力(交渉力)

賃借人(航空会社・海運会社)と条件交渉したり、中古市場でリース物件を有利な条件で売却する為には、一流のコミュニケーション力(交渉力)が必要です。

 ③金融知識

賃借人にとって魅力的な取引条件を提示しなくては案件の獲得ができません。魅力的な条件を提示する為には、競合他社がどの様なファイナンススキームを提案しているのか把握した上で自社の強みを活かした条件提示が必須です。この事から幅広い金融スキームを把握している必要があるのです。

 ④会計・税務知識

投資家がリース事業に出資した場合、会計・税務にどの様な影響が有るのか把握していなくてはなりません。

また、賃借人が国外法人の場合、賃借人所在国でリース取引に発生する源泉税等の課税方式も把握している必要があります。

 ⑤金融商品取引法に関する知識

リース事業は金融商品取引法が適用される為、当該法を遵守した商品組成と説明資料の作成が求められます。
※金融商品取引法が適用される理由は、こちらの記事をご参照ください。

 ⑥ドキュメンテーション力

ドキュメンテーションとは契約条件の交渉から締結までの業務を指します。ドキュメンテーションでは賃貸人(匿名組合)にとって有利な契約条件に仕上げる必要がある他、担保の取得や抵当権の設定等を適切に行い賃貸人リスクを最大限排除する必要があります。

しかし、それらを行う為には組成担当者に一定の経験値と勘所が無くては出来ません。

以上の①−⑥を熟知し、その業務を遂行できる人材が少ない事が参入障壁が高い一番の理由なのです。


2.航空/海運会社に示せる実績が必要

リース事業を組成できる人材が見つかった後は、リース会社の実績を賃借人である航空会社や海運会社に証明する必要があります。

何故なら賃借人は一般的に各国を代表する企業であり、その様な賃借人はリース会社の倒産リスクを懸念し一定の実績を要求します。

その為、新規参入する為には無い実績をどの様に証明するのかという難しさが有るのです。


3.代行出資分の資金が必要

そして、仮に賃借人からリース契約を獲得できた場合、リース会社が投資家持分の出資枠を一時的に立替えて代行出資をする必要があります。

※代行出資について知りたい方は、こちらの記事内2−①をご参照下さい。

航空機をリース物件とするリース事業の場合、最低でも10億円程度の持分となる事から、最大約1年リース会社がその持分を代行出資で立替える必要が有ります。

大規模の総合リース会社であれば立替え可能かもしれませんが、小規模なリース会社や新規参入の会社がこれだけの資金を調達する事は容易ではありません。


4.販売力が必要

最後は商品の販売力です。上記1-3のハードルをクリアし商品を組成した後は、商品を投資家に販売する必要がありますが、既存投資家を有さないリース会社にとっては商品の売れ残りリスクが有る為、非常にハードルが高いのです。


5.レピュテーションリスク(評判リスク)

最後に、商品を販売したもののリース事業が上手くいかず、投資家の元本を毀損させてしまった場合、リース会社の評判が悪化します。そのレピュテーション(評判)リスクを懸念しリース事業に参入出来ない会社も多いのが実情です。


6.まとめ

リース事業への参入障壁が高い理由は以下です。

(1)組成出来る人材が少ない
(2)航空会社や海運会社に示せる実績が必要
(3)代行出資分の資金が必要
(4)販売力が必要
(5)レピュテーションリスク(評判リスク)

これらの理由により、リース事業への新規参入が難しく、既存のリース会社のみがリース事業を組成しているのです。


P.S. 日本型オペレーティングリース出資の教科書を作りました

損をしない投資の為のポイントを記載した、日本型オペレーティングリース出資の教科書を作成しました。

リース事業の組成担当がその裏側を書いており、公にはできない情報がたくさん含まれています。

元本割れリスクの低い商品選びのポイントについてここだけの情報をこっそり記載していますので、これから出資を検討している方は是非読んでみてください。

<こんな方にオススメです>
・絶対に損をしない商品に出資したい
・何を基準に商品を選べば良いのか知りたい
・税理士や銀行の紹介で出資を検討している
・過去リース事業に出資した経験がない
・出資リスクをしっかり把握したい


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