見出し画像

第16回:金融商品取引法が適用される理由【日本型オペレーティングリース】

こんにちは、JOLアドバイザーです。

日本型オペレーティングリース(以下:リース事業)は金融商品取引法の適用を受けます。今回はその理由をお話します。

※私について知りたい方は、下記の自己紹介をご覧ください。


1.金融商品取引法とは

金融商品取引法は、投資家保護を目的に制定された法律です。金融商品取引業(投資性のある金融商品を取り扱う業務の事)は、その内容に応じて以下の4つに分類されます。

<金融商品取引業の4分類>
(1)第一種金融商品取引業
(2)第二種金融商品取引業
(3)投資助言・代理業
(4)投資運用業

(1)第一種金融商品取引業

証券会社や金融先物業者の取り扱う①国債、②社債、③株券等、流動性が高い有価証券の販売・勧誘・引き受け業が該当します。

(2)第二種金融商品取引業

ファンド売買業者が取り扱う、①投資信託の受益証券、②集団的投資スキーム、③みなし有価証券等、流動性の低い有価証券の販売・勧誘・引き受け業が該当します。

なお、後述しますが、リース事業は第二種金融商品取引業の集団的投資スキームに該当します。

(3)投資運用業

投資運用業者が行う、投資運用が該当します。

(4)投資助言・代理業

投資顧問業者が行う、①投資助言、②投資顧問契約等が該当します。


2.リース事業は第二種金融商品取引業に該当

リース事業は第二種金融商品取引業に該当します。理由は、リース事業の出資形態が第二種金融商品取引業で定義される集団的投資スキームの募集に該当する為です。

集団的投資スキームとは、他者から金銭などの出資・拠出を受け、その金銭を用いて事業や投資を行い、その事業や投資から生じる収益などを出資・拠出者に分配する投資の総称です。

リース事業は複数の投資家から匿名組合出資を募り、その資金でリース事業を多ない、その損益と配当金を投資家に配分している事から、集団的投資スキームに該当します。

集団的投資スキームの募集業者は、金融庁に第二種金融商品取引業者としての届出を行い、登録がされなければ業務を行う事はできません。未登録で業務を行う事は法令違反であり懲役や罰金が課されます。

以上の理由から、リース事業は金融商品取引法の適用がされるのです。

※ただし、金融商品取引法に規制されるリース事業は複数投資家から匿名組合出資により行われるものであり、航空機や船舶を自社保有して行うリース事業は、金融商品取引法の対象から除外されます。

3.金融商品取引業者の義務

金融商品取引業者には以下の行為規制(販売・勧誘ルール)の遵守が求められており、第二種金融商品取引業者に該当するリース会社もその対象となります。

<行為規制>
(1)適合性の原則ん遵守
(2)投資判断を謝らせる勧誘の禁止
(3)広告規制
(4)書面の交付義務
(5)損失補填の禁止
(6)標識の掲示義務

(1)適合性の原則の遵守

適合性の原則とは、顧客の知識、経験、財産の状況、契約締結の目的に照らして不適当な勧誘を行ってはならないという原則です。つまり、投資家の理解度に応じた説明や、出資の必要性がない投資への勧誘・契約締結を禁じています。

(2)投資判断を誤らせる勧誘の禁止

投資判断を誤らせる勧誘とは、虚偽の説明や、真実ではない事を伝え契約を勧める事が該当します。例えば、商品説明時にこのリース事業は確実に購入選択権が行使されて終了します、といった説明は、投資判断を誤らせる勧誘に該当します。

(3)広告規制

著しく事実に相違する表示や、著しく誤認を与える表示をしてはいけないという規制です。

(4)書面の交付

契約の概要やリスク、金融商品取引業者が受け取る手数料を以下の書面を投資家に交付して通知しなくてはならない事が定められています。

<交付書面>
①契約締結前交付書面
②契約締結時交付書面

(5)損失補填の禁止

投資家が負った損失を補填する事や、補填の約束をして契約を締結する事を禁止する規制です。

(6)標識の掲示義務

金融商品取引業者はその登録状況を営業所ごとに公衆の見やすい場所に表示する事が定められています。

4.罰則

上記「3.金融商品取引業者の義務」に違反した場合は、金融商品取引業者の登録が取り消される可能性があります。

この場合、すぐに法令違反となり行政処分を受ける事や、投資家への賠償が保証されるものではありません。

しかし、金融庁による業者登録の取り消しは、当該金融業者は今後事業の継続ができなくなる事を意味します。

万が一金融庁の登録がなされない状況で営業を継続した場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が課されます。

5.銀行や税理士が商品説明を行わない理由

一般的に、銀行や税理士(以下:紹介者)からの仲介によりリース会社の紹介を受ける事が多いかと思いますが、紹介者が投資家へリース事業の詳細について説明する事はありません。

理由は、その説明が「3.金融商品取引業者の義務」で定義される、適合性の原則や、投資家判断を誤らせる勧誘に該当する可能性があり、場合によっては行政処分の対象となるリスクがある為、商品説明は全てリース会社に一任している為です。

ただし、一部の地方銀行では第二種金融商品取引業の免許を取得し、その商品説明を自身で行っていますが、そのような紹介者は稀有です。

6.トラブルが発生した場合の解決策

基本的に、主要なリース会社は金融商品取引法を遵守しており、違法な勧誘を行っている事は考えにくいです。

しかしながら、投資家が誤認する説明を受け契約を締結してしまった場合は、証券・金融商品あっせん相談センター(Financial Instruments Mediation Assistance Center(以下:FINMAC※))に相談する事で、FINMACを介して解決を図る事ができます。ただし、FINMACは強制力のある機関ではない為、和解ができない場合は裁判を通じての解決を図る事になります。

※FINMACの制度は、金融商品取扱業者が下記の何れかの団体に加盟している場合のみ相談可能です。リース事業を扱うリース会社の場合、ほぼ全てが一般社団法人第二種金融商品取引業協会の正会員に該当します。

(1)日本証券業協会
(2)一般社団法人投資信託協会
(3)一般社団法人日本投資顧問業協会
(4)一般社団法人金融先物取引業協会
(5)一般社団法人第二種金融商品取引業協会
(6)一般社団法人日本暗号資産取引業協会
(7)一般社団法人日本STO協会

7.まとめ

(1)リース事業は、第二種金融商品取引業の集団的投資スキームに該当する為、金融商品取引法の規制を受けている。

(2)金融商品取引業者であるリース会社は、投資家の勧誘時に行為規制を遵守しなければならず、違反した場合は罰則の適用を受ける。

(3)リース会社とのトラブルが発生した場合、FINMACを介して解決を図る事ができる。

P.S. 日本型オペレーティングリース出資の教科書を作りました

損をしない投資の為の検討ポイントを記載した、日本型オペレーティングリース出資の教科書を作成しました。

リース事業の組成担当がその裏側を書いており、公にはできない情報がたくさん含まれています。

元本割れリスクの低い商品選びのポイントについてここだけの情報をこっそり記載していますので、これから出資を検討している方は是非読んでみてください。

<こんな方にオススメです>
・絶対に損をしない商品に出資したい
・何を基準に商品を選べば良いのか知りたい
・税理士や銀行の紹介で出資を検討している
・過去リース事業に出資した経験がない
・出資リスクをしっかり把握したい


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?