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創作大賞❚使用禁止道具-魔法

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(11245文字)

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初めの小説


「魔法が使えたらな~」僕はぼそりとつぶやいた。
それを聞いて七海ななみはきょとんとした。「は?」
「いや、さっきまでこれを遊んでてさ、魔法があれば便利だなって思ったんだ」
七海が考えてから指を鳴らした。「これを使えばできるかもよ」七海が取り出したのは『リアルテキスト』の入った『スマホ』だった。
「なるほど、それを使えばいいんだね」彼女は頷き、僕にスマホを渡してきた。
「そこにはテキストではなく」、電話がかかっていた。『プルルルル…プルルルル…プルルルル…』僕は七海を見た。
「それについては後で話すよ~」彼女は暢気な顔で言っていた。
そういえば初めに出会った時も電話を使っていた気がする。
つながると、コンピューターの音声が流れてきた。
『要件を告げてください』僕は今思っていたことを吐き出した。
「皆が魔法を使えるようになったら」僕が電源を切ると、携帯が光り始めた。
その光はこの世界を数秒の間埋め尽くし、数秒の間で消え去った。
「これで、別に魔法は感じ取れないけど」僕が七海に訊いたが、彼女は外を見てみろと言ってきた。
外を見てみると、そこは完全に違う世界だった。
遠くを見てみると、山のてっぺんには城があった。
前はなかったものだ。
「ということは…」僕は七海を振り返った。
彼女は頷いた。
「どうやらこの世界は魔法が使えるようになったみたいだよ」
僕は自分の手を見た。その時、ある変なことに気が付いた。
「どうして僕たちは何も感じないんだ?願った僕はいいとして、前もそうだった。僕と七海だけは『リアルテキスト』の効果が効いていなかった」
彼女は首をかしげた。「どうしてかはわからないけどまあ、いいんじゃない?今はとにかく楽しもうよ」七海は外へと駆け出していった。
僕も彼女と一緒に外へと走っていき、外に出た。
「わぁ!」外ではたくさんの人が宙を飛んでいた。
車が走っている様子もなく、一台も見当たらない。
「本当に…魔法の世界なんだ…」僕は目を輝かせた。
僕は部屋の中に戻り、あの黒いパーカーを着ると、外に駆け出していった。
このパーカーはどうしてか、どこに行くときも来たくなってしまうのだ。
学校は制服のルールがないので、これを着て行ってもいいのだ。
体育の時だけは外さないといけないが。
試しに何かを浮かばせようとしてみた。
だが、ピクリともしない。
「あれ?」僕と七海は石ころをつついてみたが、何も起きなかった。
他の人がしているようにやってみたが、無理だった。
「なんでだろうか…」僕はしょんぼりとして部屋の中に帰っていった。
僕と七海だけにはわからないのだろうか。魔法の使い方が。
僕たちだけにはわからないのだった。

学校に行くと、ハアナが待っていたが、天才双子の斉木がいなかった。
「あれ?斉木は?」すると、ハアナが僕の口をふさいだ。素手を使わずに。指を一振りで。
「まさか忘れちゃった?あの二人は王子と姫だよ」僕はそれを聞いて数秒の間、停止していた。
だが、彼女が言ったことを頭の中でリピートすると、目丸くした。「は!?」七海も信じられないようだ。
確かに頭もいいが、態度がめんどくさかった。ハアナの態度はいつも通りだった。魔法が使えていただけだ。
「まさか魔法の世界に変わったせいで彼らの親が王と女王になったんじゃ…」七海が僕にささやいてきた。
少しあり得ないことでもあるが、あり得ることでもあった。彼らの親も結構しっかりしているからだ。
「まあ、とりあえず授業まで行きましょ」僕と七海だけは階段を普通に歩いて上がった。
それを見たハアナは少し不思議そうに宙を飛んでいた。「普通に飛べばいいのに」
僕たちは魔法が使えないことを教えたくはなかったので、ごまかすことにした。
「トレーニングだよ、筋肉を鍛えるための」うまくごまかすことができたようで、もう聞いてくることはなかった。
だが、通りかかる人はほぼ全員が僕たちを不思議そうに手いた。
なぜかというと、僕と七海以外は全員が空を飛んでいたからだ。

「それでは授業を始めます」僕たちが席に着くと、少し太った男が黒板の前に浮いていた。
少しびっくりしたが、何が起こってもおかしくない魔法の世界では何も言わなかった。
「それでは、この球に魔力を注いでください」彼は僕たち全員の前に丸い宝石のようなボールを置いていった。
「それでは開始!」だが、僕たちは問題だった。魔力を注ぐなんてできっこない。
七海は遠くに座っていたので助けを呼ぶわけにはいかなかった。
だが、気づいたこととすれば彼女はこっそりとスマホの中に何かを入力していたことだ。
テキストでも電話でも願い事はかなうということだろう。
「おい、そこの君。速くやりなさい!」僕はもう覚悟をして手をボールの上に置いた。
すると、体から何かが吸い取られていく感触を感じた。
魔力だろう。よくゲームで見るやつ。七海が僕のほうを見てにっこりしていたので、何かをあのスマホでしたのだろう。
僕はとりあえずホッとして椅子に座った。
「とりあえずここは乗り越えれたけど…これからが心配だ…」僕はいやな予感しかしなかった。
大丈夫かな…

「〇✕△!」人間ではない何かが宇宙のどこかで走っていた。とても急いでいるようだ。
何を言っているのかわからないので、翻訳しよう。
「どうした。今は忙しいのだが」そこのボスらしき生き物が振り向いた。
「こんな星を見つけました」さっき入ってきた来た生き物がある板をもう一人に渡した。
「ほう…」そこには青と緑の星が移っていた。
「すぐにこの星を征服するぞ」その生き物はにやりと笑い、また透明な壁から宇宙を見渡した。
「あれは私のものとなる」その板に移っていたものは誰でもすぐにわかるものだった。
地球だ。

「はー、疲れたー…魔法を使うのは大変だよ…」僕と七海が覚えられたとすれば体力倍増だけだ。
体力を二倍にできるだけで、とくには役に立たない。
めんどくさいことにしか名からなかった。初めは軽い気持ちでやったのだが、それはやめといたほうがいい気がしてき始めたほどだ。
僕は一瞬元の世界に戻ることも考えたが、やめておいた。もう少しはこの世界も楽しんでみたいからだ。
僕は起き上がると、外に出ていった。何か暇つぶしでもできるものはないかと思ったから空にはたくさんの人が飛んでいた。
僕も飛ぶことができるようになったが、それだけでは気が済まなかった。
だが、やっぱりそれでも暇だったので家に戻った。
そこには七海が座っていた。彼女の前には知っている人がいた。
だが、その人はいつものような表情ではない。七海が何かをやらかしたのか、とても怒っていた。
一番最初に訊いた言葉とすれば「お前がしたことはいったいどういうことなのかわかっているのか!」という言葉だった。
じっくりと誰なのかを見るために近づいてみると、誰かはわかった。雄星、七海の持っている道具を作るところの偉い人だ。
最近知り合い、数回あったおことがある。
問題はもう一つあった。僕が見つかったということだ。
「そこにいるのはわかっている。早く出てこい!」彼の言葉は鋭く、一言一言が胸を刺す。とても腹が立っているのだとすぐにわかる。
僕はしょぼしょぼと影から現れ、彼の前に座った。
七海はいつものような明るい表情じゃない。とても怖がっている、恐怖の顔だ。
「君にも説明しよう。君たちが願ったこと、『皆が魔法を使えるようになったら』が実現したせいで、この世はくるってしまったんだ」彼は起こっているが、同時にあきれている声で言った。
あの願い事は少しやばすぎたようだった。
「ど、どういうこと…でしょうか」僕は言葉を選びながら訊いた。
「お前たちがそう願ったせいでこの世の未来と過去、現在すべてが変化してしまったんだ。私たちは効果がないのでよかったものの、もしも私たちの世界にも異変が起きていればもとには戻せないことになっていたんだぞ。と、ナナミに言って戻せといったのだが…まあ、ここからはナナミが説明してくれ」
七海はおどおどとしながら答えた。「一時間目の時、先生に…その…とられたの。私のスマホを。今週の金曜日まで返してくれないって」
その言葉を聞き、僕はめちゃくちゃ驚いた。今日の曜日をチェックすると、月曜日だった。金曜日までは今日を除いてでも四日はある。
そんなに時間がたてばやばいことが鳴り置かない。「だから、君たちに指令を渡す」彼は僕たちを一人一人見た。
「君たちに取り返してもらう。あの『スマホ№なんばー〇まる〇まる一いち』を」僕は少し戸惑いながらも訊き返した。
「同じのをもう一つ作ることはできないんですか?」彼は首を振った。
「あれは少し特殊すぎて私達では到底まねできないのだ。あれも浩紀本陣が作り上げ、それをある人物に託したものなのだ。彼が残したメモ時夜と、あれは二番目に最高の傑作らしい。違う意味で言えば、あれはこの世にたった一つしかない者だった。それを、彼女は彼女の先生に取られたということだ」
「本当にごめんなさい!」七海は頭を下げていた。「頭を上げよ」七海が顔を上げると、涙を流していた。みっともない姿だ。
「今まではそのことを知らなかったのだ。したかない。取り返してくれればいいだけのことだ」
普通に金曜日まで待てばいいのではないのかと僕は聞いてみたが、彼は首を振った。
「おそらくあの先生は返すつもりが一切ない。金曜日までには使う方法を見つけ、自分のものとしてしまうだろう」
彼の言っていることは間違っていなかった。僕でも好きな願い事をかなえてくれるスマホをゲットできたら自分のものにしてしまうかもしれない。
「とりあえず、この夜に見つけ出す。先生の家は特定済みだ。今夜、忍び込んでとってこい」僕たちは頷き、家を教えてもらうとその場所を立ち去った。
「それで、考えはあるの?」今はいつもの屋上にいる。ほかには誰もいないのでとても静かだ。地面に寝転がって空を見つめるのも僕の趣味だ。
七海の反応がなかった。「おい」僕がもう一度呼び掛けたが彼女は空をボーっと見つめたまま黙っていた。僕の質問が聞こえていないようだ。
「おい!」僕がもっと強い声で声をかけると、彼女はやっと気づいた。「何?」一瞬びくりとはしていたが、すぐに空を見始めた。
「計画はあるのか?取り返す。あそこのどこにあるかもわからないのに」彼女は勿論と、頷いた。
彼女が手を鳴らすと、メガネが現れた。「これは『透視アイ』、どんなものでも投資して見えるってこと」
僕は使い道を考えた。だが、問題があった。「それってその『スマホ№なんばー〇まる〇まる一いち』も透き通っちゃんうんじゃないか?」彼女は首を振った。
「求めているものだけは見えるように最近改造されたの」僕は感心して、つけてみた。周りを見ても、何一つ見えなかった。
見えた者は七海と自分の家だけだった。僕は感心して、七海の周りを歩き回った。
どこから見ても綺麗に七海だけが見えているからだ。家のほうを見たが、外からなので特にすごいものは見えなかった。
僕が七海に視線を戻すとぶったたかれた。「この変態!」僕は地面でペッちゃんこになった。「急に何だよ!」僕は彼女にたたかれないといけない理由がこれっぽちもわからなかった。
「私の…を見ようとしたでしょ」一番効かないと分からないところが聞こえなくて、僕は彼女の言っていることが全く分からなかった。
「いや、言っていることがわからないんだけど」彼女はちんぷんかんぷんの僕から『透視アイ』取り返すと知らんぷりをして歩いていった。
僕は彼女の後ろからついて行って、ワーワーと彼女に質問を押し付けた。そして、それから二十分後には七海が理由を教えてくれた。
「私の…裸を見ようとしたでしょ!」僕はそれを聞いて噴出してしまった。仕舞いには腹を抱えて地面で笑い転げてしまった。
彼女はとても顔を赤くして起こっていた。「な、何がおかしいのよ」僕は笑うのをやめるのに五分ほどかかった。
「いや、僕がそんなことすると思った?」彼女は一瞬で頷いた。僕はきょとんとしてしまい、また笑い転げてしまった。
「いやいやいや、そんなのほとんど興味ないよ。どうせ胸も小さいだろうし」彼女はむっとしていたのがわかるが、何も答えなかった。本当だったのかもしれない。
僕は七海が起こるのを聞いて、めちゃくちゃ楽しかった。さっきの彼女は七海らしくなかったからだ。七海らしいといえば笑って怒るのが七海だ。
「まあそれはいいとして、そろそろ日が暮れる。侵入する時間だよ」僕たちはまず、自分の家に帰った。
侵入するんだ。誰にも僕たちが誰なのかを見つからないために変装する必要があった。
そこは結構簡単なところだ。『返信バッジ』を使えばちょちょいのちょいで解決できる。
だが、問題は違うところにあった。どうやって侵入するかだ。
別にそこまで警備がやばいところには住んでいないだろうし、普通のアパートなどだろうが、念のために見つかったとき、逃げる方法を作っておかないといけない。
「これでいいか…」ある逃げ道を作ると、僕たちは出発した。
そのまま走っていくと、雄星が教えてくれた家の前に現れた。
どう見ても普通の家だった。
少し変わっていたが、これが普通の家なのだろう。
だが、念のために透明マントで姿を隠し、ドアを開けた。
中を見てみると、僕はもう少しで声を出しそうになった。
そこはまるで城のようだった。
中に入ろうとしたとき、七海に引き留められた。
「嫌な予感がする…」彼女が外で拾ってきた石ころを投げ入れると、アラームらしきものが鳴り始めた。
耳が痛くなるほどの音だった。
だが、その音は違うところからも聞こえてきた。
山の上にある城からだ。
慌ててドアを閉めると影に隠れた。
透明マントを着ていれば見つからないと思う。
そして、その考えは完全に当たっていた。
「誰だ!探し出せ!」何人も人がドアから現れ、走っていった。
運よくドアが開きっぱなしだったので中に入ることができた。
音はもう止まっていて、何事もなかったかのようだった。
この世界には睡眠ガスがないのだろうという考えを使い、僕たちはそこらじゅうの警備を睡眠状態に入れといた。
いつもよりは簡単だった。「とりあえずこれで良しっと」最後の警備を睡眠させると、携帯を探し始めた。
だが、そう簡単にはさせてくれないようだ。「見つからない…」七海は眼鏡をつけると、茫然とした。
「まさか…」だが、その時にはもう警備が戻ってきた。
一緒にいたのは先生だった。
どうやら先生はこっそりとここに住んでいたようだ。
僕は全員が来たと分かったときに、睡眠ガスの入った爆弾を転がした。
「なんだ?これは」一人が拾い上げると同時に爆発し、睡眠ガスを放出した。
僕と七海だけは特殊なマスクをつけているのでガスを吸い取る心配はなかった。
警備はもう警備とは言えない状態だった。
あまりにも不思議なことが起こりすぎて、警備もダメダメだ。
魔法を使えるはずなのに、全く使えていなかった。
「本当に大丈夫なのか?この警備」僕はため息をついたが、まあ、今はそれどころではないだろう。
僕は七海の手を取り、走り出した。
七海が二回指を鳴らすと『透明マント』が消えてしまった。
今見つければ普通におしまいだ。
だが、それよりもまずはここから離れる必要があった。

家から数百メートル遠くまで走ると、ほっとした。
だが、警戒する必要があったので家に戻ることはよした。
適当な家の屋上で寝転がっていると、誰から視界外に現れた。
「君たちだったのか、僕たちの家へ入ってきたのは」充分聞き覚えのある声だった。
普通に誰なのかはわかる。僕たちの世界では天才双子、こっちでは王子と姫の斉木双子だ。
「どこかで会ったことがあるか?」弓田ゆみだだと思われる人物が効いてきた。
多分僕は彼らを見ないほうがいいだろう。
とりあえず視線は空に向けたままだった。
「それで、何をしに来たんだ」僕は答える気がなかったが、七海にはあったようだ。
「私たちの先生がとっていったスマホを返してほしいの」それを聞いて、王子と姫(弓田と晴香はるか)が何かをぼそぼそと話していた。
彼らは僕たちのほうに歩いてきて、僕たちを見下ろしてきた。「いいとも」僕は少し驚いた。本当に返してくれるとは思ってもいなかったからだ。
「だが、約束をしてほしい」僕は何だと訊き返した。
「もう僕たちの家には侵入しないでくれ。それと、どうやったのかはわからないが警備を眠らせるのは少し困る」僕は苦笑いをした。
まあ確かに警備が完全に眠ってしまえば警備をする人がいなくなる。「分かったよ」別に悪いことではなかった。
もう侵入しなかったらいい。どうせ取り戻せば元通りに戻し、すべてをなかったことにしたしたらいいのだ。
「ああ、その提案、乗ったよ」僕は告げた。「それならついてきてくれ」彼は先頭を歩き出した。
「初めは君たちを始末するつもりで来たけどどうやら無理そうだね」僕は心の中で首をかしげたが、顔には表さなかった。
強く見せないと多分ころりとやられてしまうからだ。
さっきから晴香が話していないのは普通に昔と同じだった。
昔でも弓田よりは無口だ。まあ、彼よりは話す奴はなかなかいないと思うけど。
彼はの欠点といえばとにかくうるさいということだ。一生話していても話は止まらない友でも思ったことはある。まあ、嘘だろうが。
「それで、どこにあるんだ?」僕はきょとんとした。「「まさか、知らなかったのか?」」僕たちの言葉がまた重なり合った。
七海はあまりの出来事に吹き出していた。
「とりあえずあの城にないことだけはわかる。だからあるとすれば地下のどこかにあるのかもしれないし、全く違うところにあるかもしれない」僕たちはこっそりと中に入っていった。
「どうして二人はそのスマホをそこまで欲しがるんだ?」僕たちはうまくごまかそうとした。あれがどんな願い事でもかなえてくれるというのは言いたくなかったからだ。
「まあ、返してくれなさそうだし…というかどうしてそっちは隠れるんだ?普通に歩いてもいいんじゃないか?」だが、弓田と晴香は首をぶんぶんと降った。
ちょうどその時、声がしたので僕たちは隠れた。「王子と姫がいないぞ!すぐに探し出すんだ!」それを聞いて弓田は僕たちを見た。「ま、そういうこと」
大体は普通に想像できた。今はベッドにいる時間で、こっそりと逃げ出してきたということなのだろう。「結構いいからくり人形だったんだけどな…見つかっちゃうか…もっといいのを考えないと…」
彼はぶつぶつとつぶやいていた。
「地下には入れる方法はある?」彼は頷き、空中を進み始めた。
少し行くと、そこには草の地面があった。
だが、他の草とは少し違う地面だった。
まるで人工芝のようだ。
「ここに魔力を注げば…」
晴香が地面に少しの間触れると、地面が揺れ始めた。
「まあ、これをすればばれるんだけどね」彼女の言った通りだった。
数分後には警備の人たちが走ってきた。地震のように地面が揺れ、大きな音が立ったからだろう。
そのまま下に行くと、暗くなってきた。僕と七海は『全度電灯ぜんどでんとう』を使って全角度を照らしていたが、晴香と弓田は魔法を使っていた。
「あそこにいたぞ!」百メートルほど後ろにはもう警備員が迫っていた。「大丈夫。彼らは知らないだろうけどここは僕と晴香の支配内なんだ」後ろから迫ってきた警備委員の下が消え、彼らは落ちていった。「飛ばないからこんなに簡単なトリックでもひっかるんだ」
その時僕は心の中で思った。僕たちの世界では結構有効的だ、と。どうせ飛べる奴なんていないのだから。
「それで、どこにあると思うんだ?」七海は指を鳴らすと『透視アイ』を取り出した。
周りを見てみたが、なかなか見つからないようだ。「ん?」そこで七海はあることに気が付いた。
「何?あの四角いものは…」僕がそれがスマホなのかと聞いたが、彼女は首を振った。それにしては太すぎる。まるで箱のようだと。
そのまま進んでいくと、目の前に誰かが現れた。「フ、フ、フ、よくここまでたどり着いたな、だが、無駄だ」目の前には先生が現れた。
だが、表情を見れば何かを企んでいることはすぐにわかる。「君たちが探しているものはかな?」僕たちの前でスマホを取り出した。
「欲しければ取って帰れ」だが、ナナミは動かなかった。何かに気づいたのかもしれない。「それ、偽物でしょ」それを聞いて先生はびっくりした。
「な、そんなわけはないだろう、君たちのスマホだ」だが、彼女は首を振った。「これが照明してくれた。それは私が探しているものとは少し異なる」
彼は歯を食いしばると、スマホを僕たちにめがけて投げた。「そんなもの、当たるとでも思ったのか?」後ろから弓田の声がしてきた。
スマホは空中に浮いていて、ピクリとも動かなかった。少し時間がたつとまっすぐ地面に落ちた。
「クッ!」彼は後ろにめがけて逃げ出し、角を曲がっていった。「大丈夫だ、すぐ捕まえることはできる」弓田はにやりと笑っていた。ちょっとやばい気がする。
少しすると、向こうから悲鳴が聞こえてきた。「ほーら、もう捕まった」少しすると、向こうから足音が聞こえてき始めた。
四本足の何かだ。「こ、これは…」足音の正体は大きな犬だった。「これは私の番剣。ここを守ってくれてるの」晴香が得意気に威張っていた。
「とりあえず探し出すよ!」僕たちは分かれて走った。先生は晴香と番剣が守っていて、もう彼の顔はいくら笑ってもすまない恐怖顔だった。
どうやらこの番剣には勝てないようだ。「一応魔王の配下だったこともあるからね、この番剣は。いろいろあって私のペットになったんだけど…」僕も少し怖かった。
何しろ目の前にはかつて魔王の配下だった巨大な犬がいるのだから。しかも、それをペットにした人間までいるのだから。
魔王といえば悪の王者だ。普通のゲームならば。まあ名前の通り、『魔』の『王』なのだからね。
いくら探してもあの四角い箱への道は三つsからなかった。
「この壁を取り壊せたらな…」あと一歩というところで進めなかった。「この壁はすべて、初代国王が作り上げた少し頑丈すぎる壁と地面に天井だからそう簡単には壊せないよ…まあ、侵入者が出たら困るからね」さすがの弓田でも壊せないようだ。
僕は仕方なくプランBに行った。「瞬間移動を使えばどうかな」七海に提案して、試してみたが、追い出された。
「この中には宝石や大切なものがたくさんある。そう簡単には入ることができない」僕たちは諦めることしかできなかった。
と、そこへまた頭の中に声が聞こえてきた。

王室へ行け

僕はいったい誰の声かはわからない。
だが、他に入り路がないので、この不思議な声を頼るしかない。
「王室はどこにあるんだ?」弓田に訊くと、彼は目を丸くした。「そうか、この真上には王室がある。ということは王室からは侵入可能ということか」
だが、そんな簡単にいくわけでもなかった。
晴香達と一緒に外へ出ると、そのまま走り続けた。
今度は僕たちも飛ぶことができた。
ちょっとは不安定だったが、少し飛んでいると安定してき始めた。
「二階から入るよ」僕たちは二階というのを少し甘く見ていたようだ。
僕たちの家と比較すれば、もう5階ぐらいになるだろう。
二階も一階と同じでめちゃくちゃ高かった。
そこには警備も厳重だったが、結構簡単に入ることができた。
まあ、侵入の方法は想像に任せる。
そのまま走っていくと、王室の前に来た。
「個々の中に入って見つければいいんだね」僕たちがドアを開けると、誰もいなかった。
完全な留守だ。「ここが…王室…」弓田も晴香も見たことがなかったようだ。
「いつもは向こうのほうで話すから」二人が指さしたほうには本当に巨大な部屋が見えた。
僕たちの家で言えばリビングルームだろう。
「この下にあるはず…」しかし、なかなか見つからなかった。
地面を探りまくったが、そんなものは一切ない。
「ないみたいだ…」僕と七海が困っているのを弓田は楽しそうに見ていた。
「本当にお前らは馬鹿だな、そんなの簡単に見つかるわけないじゃん」彼は地面ではなく、壁を探り始めた。
石積み重なったの壁は頑丈で、そう簡単には壊れないだろう。「ここだ」彼がそこに手を置き、目を閉じると地面が開き始めた。
その下からはたくさんの光が照ってきた。「こ、これは…」僕たちはその中を見てびっくりした。
「宝石や金でできたものが大量にある…」僕は目を丸くした。
だが、その中には金庫があった。七海が言うにはその中にある可能性は非常に高いようだ。
だが、その暗号が何なのかはわからない。
「父の誕生日では…」それは違った。
「私たちの誕生日どちらかじゃ…」それも違う。
何を試しても間違っていた。
「どうにかできない?」七海に訊くと、彼女は普通にうなずいた。
「これは普通に壊せるよ。でもどうやって置かれているかわからないからそれが問題だよ…」七海にも少し難しかったようだ。
「いったいどうすれば…」その時、また頭の中に声が流れ込んできた。

かざすのだ。

一体誰の声かも本当に信用していいのかもわからない。
前は助かったかもしれないが、分からない。
前にも同じことが起こったが、あの時は記憶が途切れていったい何が起こったのかもわからない。
いくら七海に訊いても教えてくれなかったので、その人物がいったい誰なのかもわからない。

紋章をかざすのだ。

僕は髪をかいた。
「誰なんだよ、お前は」僕は頭の中に聞こえてくる声に訊き返した。

私は君の仲間だ。
敵ではない。
紋章をかざしてみろ。

だが、その紋章というのはいったい何なのかがわからなかった。
「紋章って何だよ」
もう答えは返ってこなかった。
シ~ン… その場は静まり返った。
「紋章って…なんだよ…」すると、七海が僕の腕をつかんだ。
「わ!」あまりにもいきなりなことだったので僕は反応し遅れた。
彼女は僕を引きずって金庫の前に歩み出た。「この番号って、意味ないんじゃない?」
それを聞いて僕、晴香と弓田は言葉が漏れてきた。「「「え?」」」「この言葉って意味がないんじゃないかって私は思ったの。だって、紋章といえば…」
七海は僕のバッジを取り外した。
僕は元の姿になってしまい、弓田たちの前で姿をさらしてしまった。「やっぱり今までの姿は偽だったか」彼は当たり前のように言った。
「これのことでしょ」僕の肩にあった紋章、それは、目だった。
それだけだ。
だが、あそれをかざしてみるとかちゃりと音が鳴った。
それでもまだ空かなかった。「まだ仕掛けがあるのか…」
僕は試してみたかったので、勘に従って何度も紋章を隠して見せて、隠して見せてみた。
毎回見せるとかちりという音を立て、何かが変わっている気がした。
仕舞いにはガチャリと音が聞こえて、開いた。
その中にはスマホが入っていた。
だが、その上には一枚の紙が置いてあった。
それをとってみると、吹き出しに目が書いてあった。
「あ…あいつ~…!」文章を読むと、七海の怒り袋が一瞬で破裂した。
僕が読んでみると、七海がどうしてここまで怒っているのかわかった。
『七海様へ
七海様のスマホは偽物入れ替えておきました。
頑張って見つけてください。
雄星より』
そのまま七海は突っ走っていき、僕の手を取って自分の家に戻った。
弓田と晴香はポカンと僕たちが消えていくのをただ眺めていて、その後どうなったのかはわからない。
彼女は家に戻るとすぐにある袋を取り出し、その中に僕を引きずり入れて一緒に入ってきた。

その後はめんどくさいことしか起こらなかった。
七海はワーワーいうので、それを止めないといけなかったしその後元の世界に戻すと弓田と晴香が元に戻ったから少し変な気がするしで。
でも、やっぱりわかったことは一つある。
魔法の世界よりも、この世界のほうが楽しいということだ。
まあ、この世界でも嫌な予感しかしないけど。
いやの予感しか。


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