見出し画像

プロダクトマネジメント①〜ビルドトラップとは何か〜

2020年10月に翻訳版が発行された『プロダクトマネジメント』を読みました。
この本は「プロダクトマネージャーとして何をしなければならないか」という問いに明確な答えを与えてくれ、実務レベルですぐに役立てる情報が多かったなと思います。
実際、すでに自分も業務に取り入れ始めて、効果を実感しています。
非常に学びの多い本だったので、自分自身の理解を深めるという目的も込めて、何回かに分けて本書の内容をまとめていきたいと思います。

ビルドトラップとは

組織がアウトカムではなくアウトプットに集中してしまっている状況のこと。

アウトプットとアウトカムの違い
アウトプットとは、開発したプロダクトやサービス、およびリリースした機能のこと。
アウトカムとは、プロダクトやサービス、機能によって生み出したビジネス価値と顧客価値のこと。

アウトプットに集中してしまっている例
リリースした機能の数だけを重視し、もっと多くの機能をリリースしなければならないと思っている。
リリースした機能の数や消化したタスクの量、労働時間によって業績評価される。

ビルドトラップに嵌まるとどうなるか
本来の価値に結びつかない作業にリソースを費やしてしまい、作っているプロダクトや、時には企業そのものが失敗してしまいます。

ビルドトラップに嵌まらないためには

アウトカムを最大化するよう組織を最適化していかなければなりません。
アウトカムにはビジネスと顧客という二つの側面がありますが、そのうちビジネスアウトカムを軸に目標設定し、それに合わせてプロダクト戦略を調整するようにします。

ビジネス価値とは
ビジネス価値は分かりやすいと思います。
お金、データ、知識資本、プロモーションなど、ビジネスを活性化するものがビジネス価値です。

顧客価値とは
顧客価値を定義するのは難しく、対象としている問題領域によって千差万別です。
敢えて一般的な表現をすれば、顧客の抱えている問題を解決したり、要望やニーズが満たされることが、顧客にとっての価値です。

なぜビジネスを軸にすべきなのか
顧客価値を適切に設計するのは難しく、顧客やユーザーの問題を深く理解しなければ価値を定義できません。
価値を誤解してビルドトラップに嵌まってしまうリスクを避けるには、ビジネスを軸に設計するのが無難です。
ビジネスとしての成長を維持しつつ、「どうすれば顧客価値を最大化できるか」を念頭に置いて、実験的にプロダクト戦略を調整していきます。

まとめ

ビルドトラップとは、組織がアウトカムではなくアウトプットに集中してしまっている状態
ビルドトラップに嵌まらないためには、ビジネスアウトカムを軸に組織を最適化する

個人的には、ビジネスアウトカムを軸に考えるという点が、一番衝撃的でした。
なぜなら、顧客の問題解決にこそプロダクトの本質的な価値があり、利益はその副産物に過ぎないと思い込んでいたからです。

顧客に価値を認めてもらわなければ、企業が対価を得ることもできず、ビジネス的な成長も達成できません。
そういう意味で、顧客価値こそ本質的な価値であるという解釈は、そこまで間違っていないだろうと思います。

しかし、顧客価値を軸に目標設定するのが難しいのも事実だと思います。
特に全く新しいマーケットを開拓していく時は、顧客自身も何を求めているか分からないので、時間をかけて仮説検証を繰り返す必要があるでしょう。
ある1人の顧客の要望を叶えたとしても、それが他の顧客の要望を満たすとは限りません。
その点、ビジネス価値は事業領域によらず大体似ていますし、頻繁に変わるものではないので、たしかにビジネス価値を軸に目標設定する方が、より実用的な方法だなと納得しました。
綺麗事に囚われていた自分自身の考えを改めるために、少々乱暴な表現ですが、「まずは金を稼げ。でも顧客を忘れるな」という風に言い聞かせるようにしています。

今回は、本書の重要なキーワードであるビルドトラップについての説明だけに留めました。
組織やプロダクトマネージャーとして何をしなければならないか、という点については、次回以降で説明していきたいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?