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南京事件と国際法の【強行規範(条約法条約)】

当然ながら、国際法についても【成立】という【歴史】があるのである。

引用《
フィツモーリス(G.Fitzmaurice)が、1958年に提出した報告書中の条文草案第17条において、「条約が、強行規範の性質を有する国際法の絶対的・命令的規則もしくは禁止から逸脱し、また、それらと抵触する場合にのみ、無効の原因が発生しうる」と規定されていた。
》(出典/【論文】佐藤一義『国際法における強行規範の概念分析 −その法的構造の特質との関連で−』)

国際法を勉強した方なら判ると思うが、南京攻略戦当時における、1937年当時で、条約法条約【強行規範】は定まっていない。定まったのは、1969年である。

当時は未だ、実証主義である。国家による合意「パクタ・スント・セルヴァンタ」が主流である。現在も実はそうなのである。

引用《
強行規範を否定する立場では、主権の発現である国家の「合意の自由」が重視され、強行規範が強調されることはなかった。例えば1927年のローチュス号事件常設国際司法裁判所判決では、国家を拘束する法規範は国家による自由意思によるものであるため、「国家の独立に対する制限は推定されてはならない」とされた。このような立場では、国際法はもっぱら国家の意思に基づいて有効なのであり、条約の内容も国家が自由に定めることができるとして強行規範の存在は否定された。このような立場を実証主義という。
》(出典:山本草二『国際法【新版】』有斐閣)

過去に【存在しない法】で、過去を裁くことは【罪刑法定主義】に背くという、【文明国家】にあるまじき行為で、1998年に【戦争犯罪】を規定したローマ規定ですら、過去の様々な【戦争・紛争】に於ける【戦争犯罪】を立件し、【判決・処罰】をしていない。

出来れば、見た目に飛びついて、言葉を使うよりも【国際法】についての書籍を読むとか、論文を読んだ方が良いと考える。
適当に言葉を振り回しても【逆効果】というものである。
因みに、南京攻略戦後について、国際法学者の多谷千香子氏は『戦争犯罪と法』で、【戦争法規違反】での【殺害】であり、【ジェノサイド】とは異なっていることを示されているし、他の国際法学者で【ジェノサイド】だと述べている言及を聞いたこともない。
何等かのケースに於いて、語るのであれば、関係分野の文献・論文等を読むことは絶対に必要である。

自戒を込めて。

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