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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第19回 有機農業

今回は、オーストラリアにおける有機栽培の実態と、日本の農業者の皆さんへのアドバイスについてお話しします。オーストラリアは、世界一の有機栽培面積を誇り、その意識の高さは他国の模範となっています。

有機栽培と慣行栽培の比較

有機栽培と慣行栽培の違いを理解することは、農業者として非常に重要です。

  • 有機栽培:作物の健康、味、栄養価を重視し、長期的な視点で環境負荷を低減します。生物多様性を促進し、土壌の健康と肥沃度を維持します。

  • 慣行栽培:作物の収量と品質を重視し、化学肥料や農薬を使用して短期的な収量最大化を目指します。

オーストラリアでの有機栽培

まず、有機栽培の基本について説明します。有機栽培とは、化学的に合成された肥料や農薬を使用せず、遺伝子組換え技術も利用しない農業生産の方法です。この方法は、環境への負荷をできる限り低減しながら、健康で栄養価の高い作物を育てることを目指しています。
オーストラリアでは、有機農産物として認定されるためには、Australian Certified Organic(ACO)などの認証機関の厳しい審査をクリアする必要があります。

有機栽培のプロセス

1. 土壌づくり

有機栽培は、たい肥などを用いた土づくりから始まります。化学肥料や農薬を使用せず、数年かけて健康な土を育てます。有機農産物として認定されるには、国で定められた基準を満たす必要があり、

2. 土壌診断

土壌診断は、有機栽培の成功の鍵です。土壌中の有機物の不足や微生物相の貧弱さが作物の生育に影響を与えるため、たい肥中の有機物は徐々に分解され、重要な役割を果たします。特に、作物の生育過程の後半ステージでの養分供給の効果が大きく、以下の条件がポイントとなります:

  • 温度

  • 水分

  • 空気

  • 炭素と窒素の割合(C/N比)

分析結果:
鶏糞は、分解されやすく、肥料効果が高い。 豚糞は、微生物の活動に適している。 牛糞は、鶏糞と豚糞の中間の性質を持つ。 稲モミ殻は、分解されにくい。コーヒーかすは、鶏糞と豚糞の中間の性質を持つ。特にC/N比が高い場合、微生物の活動が活発になり、窒素分が不足することがあります。
オーストラリアには多くの土壌診断研究機関があり、これらを利用することで適切な土壌改良が可能です。

3. 認証取得のステップ

有機栽培の認証を取得するためには、以下のステップを踏む必要があります:

①栽培作物の選択

  • 有機栽培に適した作物を選ぶ

  • 土壌や気候に合った作物を選ぶ

  • 市場ニーズに合った作物を選ぶ

②土壌分析

  • 土壌のpH、有機物含量、栄養素などを分析する

  • 分析結果に基づいて、必要な土壌改良を行う

③作物の栽培

  • 有機農法の原則に従って作物を栽培する

  • 化学肥料や農薬の使用を避ける

  • 有機物資材を投入し、土壌の健康を維持する

④害虫の発生条件の確認

  • 害虫が発生しやすい条件を把握する

  • 防虫ネットや天敵昆虫などを利用して、害虫の発生を抑える

⑤病気の発生条件の確認

  • 病気が発生しやすい条件を把握する

  • 換気や消毒などを実施して、病気の発生を抑える

⑥雑草の発生条件の確認

  • 雑草が発生しやすい条件を把握する

  • 除草剤の使用を避け、手作業で雑草を抜き取る

⑦収穫後の品質維持

  • 収穫後の作物を適切に保管し、品質を維持する

  • 輸送や販売時の温度管理などに注意する

⑧認定のためのスキルの評価

  • 認証機関による審査を受け、有機栽培の知識と技術を評価される

⑨認証機関の選択

  • 認証機関は、有機栽培の基準を定め、審査を行う機関です。

  • 認証機関によって、審査基準や申請手続きなどが異なります。

  • 複数の認証機関を比較し、自分のニーズに合った認証機関を選ぶことが重要です。

⑩申請

  • 認証機関に申請書を提出します。

  • 申請書には、栽培作物、栽培面積、栽培方法などに関する情報が必要です。

⑪審査

  • 認証機関は、申請書に基づいて、審査を行います。

  • 審査内容は、栽培方法、土壌、作物、記録管理などに関するものです。

  • 審査に合格すると、有機栽培の認定証が発行されます。

⑫維持管理

  • 有機栽培の認定を受けたら、毎年認証機関の審査を受けなければなりません。

  • 審査では、栽培方法が有機栽培基準を満たしているかどうかを確認されます。

  • 審査に合格しないと、認定証が取り消されることがあります。

オーストラリアの有機栽培から学べること

肥沃な土壌のつくり方

肥沃な土壌は、有機栽培の成功に欠かせません。堆肥中の有機物は、微生物の活動を促進し、作物の生育に重要な役割を果たします。炭素率と窒素率のバランスを保つことがポイントです。

有機栽培のメリット

オーストラリアの有機栽培の事例から学ぶことで、以下のメリットを享受できます:

  • 高品質な作物の生産:消費者に安全で栄養価の高い作物を提供できます。

  • 環境保護:持続可能な農業を実現し、環境負荷を低減できます。

  • 市場価値の向上:有機農産物として認定されることで、市場価値が向上し、高価格での販売が期待できます。


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