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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第5回 栽培作物の選定のノウハウ【その2:生産コスト(人件費)の見極め】

前回は、販売単価の高い品種を選ぶ重要性を解説しました。今回は、その品種の生産コストにフォーカスし、利益率を最大化する品種選定について、さらに深掘りします。

オーストラリア農業における最大の課題、それは人件費の高騰です。
生産コスト
全体の約40%以上を占める人件費は、年々上昇しており、収益を圧迫する大きな要因となっています。そこで、人件費をいかに抑えるかが、農業ビジネス成功の鍵となります。

1. 人件費削減に繋がる品種選定

人件費を抑えるためには、品種選定の段階から意識することが重要です。オーストラリアでは、露地野菜栽培と施設野菜栽培で、人件費の構造が大きく異なります。

  • 露地野菜品種の栽培:繁忙期(定植・収穫期)に日雇い労働者を多く雇い、それ以外の期間は人員を減らす。日雇い労働者はパートタイム労働者より約10%高時給だが、短期雇用が可能で人件費削減に繋がる。

  • 施設野菜品種の栽培:ある程度の技術レベルが必要なため、主にパートタイム労働者を雇用。パートタイム労働者は高度な栽培システムの平準化を実現。

2. スキルレベルに応じた時給設定

オーストラリアでは、Fair Work Ombudsman(労働基準監督所)が定める時間給を支払う必要があり、スキルレベルや栽培環境によって時給が異なります。
日本も参考にすべきなのが、スキルレベルに応じた時給設定です。オーストラリアでは、施設野菜栽培の労働者の方が露地野菜栽培の労働者よりも高時給である傾向があります。

スキル段階(レベル1~5)に応じた農業者(Horticulture)最低賃金 (2024年6月時点)
出所:The Fair Work Ombudsman「Horticulture Award」 

3. 生産自動技術の活用

生産コストの中でも、最も悩ましい人件費高騰に悩むオーストラリアでは、国を挙げて生産自動技術の研究開発が活発に行われています。ロボットやAIを活用した自動収穫や自動選別などの技術は、人件費削減に大きく貢献します。

4. 日本の農業ビジネスへのヒント

オーストラリアの生産コスト削減、特に人件費削減の取り組みは、日本の農業ビジネスにも参考となります。品種選定の段階から人件費を意識し、雇用形態や生産自動技術を効果的に活用することで、収益率の高い農業ビジネスを実現することが可能です。
農業で安定収益を上げたいあなたへ、今回紹介したポイントを参考に、最適な野菜品種を選定し、人件費削減と利益率向上を両立させてください。


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