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オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第44回 ケーススタディで豪州市場の可能性を探る① 〜マーケティング編その4 SWOT分析で〜

今回は、マーケティングフレームワーク内「SWOT分析」を活用し、日本の「いちご生産者」が海外(オーストラリア)市場開する際の「ケーススタディ」を参考にします。※同ケーススタディは他の農産物にも応用できます。
日本のいちご生産者にとって、海外市場の開拓は新たな収益源となる可能性を秘めています。特に、南半球に位置し、季節が日本と逆であるオーストラリア市場は非常に魅力的な選択肢となります。今回は、冬いちごと夏いちごを活用した新規ビジネスモデルについて、具体的な事例を交えながら詳しく解説していきます。

売上を増やしたい日本の「冬いちご(1月〜5月)」生産者のケーススタディ(今までの概念を覆すビジネスモデルの考案)

今回のケーススタディは、「冬いちご」生産者の例です。イチゴの生産者は、売上を増やすには、日本国内市場のみでは限りがあり、「オーストラリア市場開拓」を含めた新規事業を展開することが必須であると考えています。そこで同国向けの輸出用の「冬いちご」の他に、「夏いちご」も扱うことにします。

最初のステップでは、新規事業展開のプロセスを明確にします。その際に「SWOT分析」を活用します。
新規事業は、①栽培➡②商材アイテム➡③マーケティング戦略「SWOT分析」➡④市場開拓準備のプロセスで展開します。

次のステップでは、プロセスの①−④を分析します。

①栽培:

日本とオーストラリアは「季節が逆」であるため、その利点を生かすことができます。先ず、日本のいちご市場の現状を把握します。主要な市場(東京都中央卸売市場)での卸価格の傾向は、「冬いちご」期間(1月〜5月)に安値になり、「夏いちご」期間(6月〜12月)に高値になります。※日本での従来いちごの栽培期間は、冬の期間のみに限られ、夏の期間は、「輸入いちご」以外が取引されることはありませんでした。しかし、品種改良技術の向上により、夏にも栽培できる品種が近年開発され、市場に出回るようになりました(栽培の課題:糖度を上げるのが難しい、ある程度熟年の技術が必要)。

出所:東京都中央卸売市場 統計情報

②商材アイテム:

「冬いちご」の国内の卸価格は、夏いちごに比べ安値のため、輸出メインと位置付けます。ただ、高値で取引可能なタイミングで国内市場に卸すための出口も確保することが必要です。季節が逆のオーストラリアでは、日本が「冬」に当たる「夏」の期間は、日本と同様にいちごの価格が高値(品質による)で取引されます。よって、輸出することは大きなメリットとなります(※日本いちごの価値を普及するためのブランディングのノウハウが必要)。また、冬いちごの規格外いちごを輸出用のジャムとして加工し、「ジャパンブランド(付加価値を付けたパッケージ)」としてオーストラリアに輸出します。
一方、「夏いちご」は高値で日本国内市場に卸すことができるため、栽培ノウハウを身に付け、日本市場に卸すことに専念します。また、冬に製造したジャムを夏の期間中に国内市場または、輸出向けに卸します。

③マーケティング戦略「SWOT分析」:※概要のみ

「SWOT分析」は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)のそれぞれの頭文字をとったもので、現状の事業分析ができます。今回のように新規事業展開できるタイミングであるか?等を把握する際に役立つ分析メソッドです。

まとめ(日本農業者の皆様へ)

今回紹介した冬と夏のいちごを活用したビジネスモデルは、季節が逆である日本とオーストラリアの利点を最大限に活かしたものです。また、この戦略は、他の農産物にも応用可能であり、ビジネスの成功に向けた道筋を示すものです。日本の農産物がこのモデルを導入することで、国内外での市場拡大(北半球から南半球への市場拡大)を実現し、持続可能な成長を遂げることが期待されます。
また、SWOT分析を活用し、効果的なマーケティング戦略を立てることで、新たな収益源を確保することが可能です。次回は、SWOT分析の結果をさらに深掘りし、具体的な市場開拓準備について詳しくお話しします。

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