放課後児童クラブに通う子どもたち誰もが、楽しくあそべ、穏やかに過ごし、生活習慣を身につけられるような環境を作る

前回は、子どもたちが基本的な生活習慣を身につけられるような環境を作るためにどのようなことが必要かをお話いたしました。

今回は、放課後児童クラブに通う子どもたち誰もが、楽しくあそべ、穏やかに過ごし、生活習慣を身につけられるような環境を作るにどのようなことを心掛けていくべきかをお話していきます。

放課後児童クラブは施設や自治体によって、受け入れ学年が様々ですが、運営指針上、基本全学年が対象となります。

そのため、児童期の発達段階については最低限、理解しておく必要があります。
また、同じ学年のに所属する子どもの年齢にはほぼ1年の幅があり、まだ、同じ学年の子どもであっても、スムーズにできる子とできない子がでてきます。また、子どもによって発達ペースが当然異なり、小学校入学段階においては、まだ幼児期後半の特徴を持っている子どももいれば、逆に6年生に差し掛かった段階で、青年期(思春期)に入っている子どももいます。
このような発達の違いは見逃されがちになりやすいため、子ども一人一人の発達状況を把握し、できる限り子ども一人一人に応じた配慮が必要です。そのような子ども一人一人に応じ、きめ細かい配慮を行うためにも、私たち放課後児童支援員は、児童期以外にも幼児期(4歳児あたり〜)と青年期の発達段階について理解しておくことが望ましいです。

今回は、児童期及び青年期前半の発達の特徴についてまとめました。児童期は低学年(6〜8歳)・中学年(9〜10歳)・高学年(11〜12 歳)という発達の節があるので、それぞれ分けてまとめました。

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(低学年(6~8歳))
・空間認識や時間認識が発達する。
・一次的ことばから二次的ことばへの移行。
・ものの大きさや重さは知覚することができイメージしやすいものは理解可能。
・学校生活を送っていく中で、今までできなかったことができるようになる経験を一つひとつ積み上げていき、自らの成長を自覚する。
・自信過剰と自信喪失との間で動揺することもあります。
・解決できない課題にも直面したとき、他者と自己とを比較し、葛藤を経験する。
・物事がうまくいかないとき、次々と負の感情に見舞われることがある。
・大人の評価に依存した時期で、大人に依存しつつ自立していく。
・大人等から認められて、子ども自身の誇りや自信へと結びついていく。
・生活圏の拡大に伴って、子どもの好奇心や興味も拡張する。
・ものや人に対する興味が広がり、遊びの種類も多様になっていき、好奇心や興味が先に立って行動することが多く見られる。
・新しい遊具に挑戦したり、虫や蝶を追跡したり、坂道の上り下りに夢中になったりしながら、自らの身体的技能を高めていく。
・不慣れなところで一つのことに集中するあまり、事故やケガに遭いやすい。
・遊びへの参加がその時の気分に大きく影響されるなど、この時期には幼児的な発達の特徴も残す。
・遊び自体の楽しさの一致によって群れ集う集団構成が変化し、そこから仲間関係や友達関係に発展する。
・子どもだけで物事を判断するのは困難。
・やりたいことのすれ違いが多い。

(中学年(9~10歳))
・子どもは学校生活に慣れ、より広い環境の中で活動し始める。
・子どもの行動はより多様化していく。
・遊びに必要な身体的技能がより高まり、様々なことに挑戦しようとする。
・同年代の集団や仲間を好むようになり、他の子どもの視線や評価に一層敏感になる。
・同年代の仲間との関わりを好み、大人に頼らず活動しようとする。
・言語や認識や社会性等種々の面での質的な変化が認められる。
・学習内容に抽象的な概念が含まれるようになる。
・人格や社会性等の子どもの発達諸領域における質的変化として現れる。
・抽象的な概念について、はじめは躓きを感じる子どもが多くでてくる。具体的なイメージに支えられた思考から抽象的な概念に基づく思考への転換は、明確に切り替わるというものではなく、徐々に論理的な思考や抽象的な言語を用いた思考に慣れていくことで、切り替わっていく。
・抽象的な概念に基づく思考は長い年月をかけて発達するものであり、教えたからすぐわかるというものではない。
・道徳的な判断についても、結果だけに注目するのではなく、動機を考慮し始める。
・お金の役割等の社会の仕組みについても理解し始める。
・保護者や大人に決められたとおりに行動するのではなく、自分の見通しや計画に従って行動するようになる。
・ドッジボール等の集団対抗遊びでは、自分が当てたとか当たったとかだけでなく、所属するチームの勝ち負けを考えるようになる。
・自分の都合より集団全体の利益を考えられるようになったり、低学年の子どもからの信頼を得て、まとめ役を担うようになったりしていく。
・遊びの中だけのことであったとしても自己犠牲的な行動をとることは困難。
・集団からは脱出してもっと自由に振る舞いたいという子どもも現れる。
・自由や平等、民主主義や権利の意識が芽生えはじめ、単なる個人的主張ではなく、「男女を平等に扱ってほしい」「子ども達を尊重してほしい」といった社会的な主張に至ることがある。

(高学年(11~12歳))
・学校内外の生活を通じて、様々な知識が広がっていく。
・自らの得意不得意を知るようになる。
・得意不得意を含めて自己を肯定できるかどうかは、発達上重要なこと。
・大人から一層自立的になり、少人数の仲間で「秘密の世界」を共有するようになる。
・友情が芽生え、個人的な関係を大切にするようにもなる。
・個人的な関係を大切にすることと様々な人達と関わることとは、本来対立することではありませんが、時として子どもの仲間関係が排他的になることも起こる。
・特定の友達との関係が大切になる。
・保護者に話さないことも友達には話すようになり、親しい子ども同士での秘密の共有が始まる。
・第2次性徴が始まる時期(女子は男子より早い)で、心身の変化を伴い、子どもは自身の身体をはじめいろいろなことに対して不安を感じる。
・性的発達には個人差が大きく、身体的発育に心理的発達が伴わない場合もある。
・子どもは、ある時は自身の性を受け入れなかったり、ある時は他の子どもとの発育の違いに悩んだり、ある時は保護者に批判的な態度をとったりする。
・性的発達には、女性や男性が置かれている文化的・社会的状況も大きく影響する。
・物質の単位体積当たりの質量という概念について、あらゆる物質を通じて考えるようになる。
・日常生活に必要な様々な事柄をほぼ理解し、ある程度、計画性のある生活を営めるようになる。
・多様な時間概念が形成される。
・限られた時間をどのように使うのかを考えることができるようになる。
・計画を考えたとしても、実際にその計画どおりに課題を達成するには大変さを伴う。

(cf.青年期前半(12~15歳))
・親や友達と異なる自分独自の内面の世界があることに気づきはじめる。
・自意識と客観的事実との違いに悩み、様々な葛藤の中で、自らの生き方を模索しはじめる
・大人との関係よりも、友人関係に自らへの強い意味を見いだす
・親に対する反抗期を迎えたり、親子のコミュニケーションが不足しがちなる。
・仲間同士の評価を強く意識する反面、他者との 交流に消極的な傾向も見られる。
・性意識が高まり、異性への興味関心も高まる時期でもある。

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また、学研教育総合研究所が2015年10月に調査した『小学生の生活・学習・人間関係等に関する調査』では、小学生の好きなあそびについてのデータが載っていました。そのデータとして下記のような特徴がありました。

低学年のころに好んでやっていたあそびは、サッカー・バスケなどのスポーツ系のあそびを除き、高学年になったら好まなくなる傾向にあります。

性別によって好みが分かれるあそびについては、男の子虫取り、秘密基地作り、探検ごっこ、サッカー・バスケなどのスポーツ系のあそびを好み、女の子なわとび、ままごと遊び、動物とのふれあいといったものが好まれています。

その中で男の子の虫取り、秘密基地づくり、探検ごっこ、ままごと遊びについては低学年をピークに高学年に向けて好まれなくなっていく。また、女の子のなわとびについては、2・3年生あたりに特に好まれ、動物とのふれあいについては、高学年になってから好む傾向にあります。

そして、高学年の子どもたちの回答で『好きな遊びはない』と言うのが結構多く(小5で13.5pt・小6で16.5p)答えられており、特に女の子の数値高いです。

このことから、放課後児童クラブに通う子どもたち誰もが、楽しくあそべ、穏やかに過ごし、生活習慣を身につけられるような環境にするには、各年齢層の発達に応じた環境設定であったり、支援を行っていくことがとても大切です。まだ、小学1年生と6年生では運動能力や体格差も大きいので、大きな事故を防ぐ安全管理も行うことが必要です。

私たち放課後児童支援員は、子どもたち一人一人の発達の状況をきちんと把握した上で、それぞれの子どもに応じた環境設定であったり、支援を行っていくことがとても重要なことと言えるでしょう。

今回もご覧いただきありがとうございました。

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