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創業60年の老舗葬祭社・葬祭ディレクターがこっそり伝える葬儀の風習

こんにちは!LET’S JOIN 公式 note編集部の八鍬(やくわ)です。ジョイングループ葬祭部門【平安典礼】で、最後のお別れの場をその人らしく彩るアイテムや企画を「さがす・つくる・広める」仕事をしています。

葬儀の場は「いつもとは違う」マナーが多く、なんだか難しそうに感じられるかもしれませんが、大切なことはシンプルに『心を込めて祈ること』だと思います。

しかしながら、難しそうなマナーも知らないよりは知っていたほうがいいのは事実。なぜならば自分も、周りの方も、見送られる方も、よくわからなくてドキドキしながらやり過ごすより、安心してちゃんと見送ることができた方が良いですよね。

そこで、知っていても損しない葬儀のマナーや山形の風習を厚生労働省認定葬祭ディレクター試験一級の私がわかりやすく、時々脱線しつつ(?)ご紹介できたらと思っております。

先輩よりお土産にいただいた踊るハニワと共に、
葬祭マナーをご紹介していきます

こんなことも?知っておきたい葬祭マナー3選

葬儀ってすごく奥深い文化なんです。それゆえあまり知られていないことも多く、今回は知っておいて損はない葬祭マナーを3つご紹介いたします。

1 :神道でのお参りについてのマナー

初詣や車のお祓いなど神社に行ってお参りするときは手を合わせてパンパンと音を立てて打ちますよね。でも神道の葬儀の場合には、音を鳴らさずに手を打つのがマナーです。ちなみに、音を立てて打つほうを柏手(かしわで)、音を立てない方を偲手(しのびて)と言います。

2 :不祝儀袋についてのマナー

お香典を包む不祝儀袋は、袋に蓮の花が書いてあるものだと仏式専用になり、百合の花や十字架の入ったものはキリスト教専用となります。また、結婚式のお祝いも葬儀のお香典も、袋につける水引は一度しかないことを表す『結び切り』となります。

3 :アクセサリーについてのマナー

基本的に葬儀の場においては結婚指輪以外は外すのがマナーですが、女性が洋装の喪服の際には真珠のアクセサリーはつけても良いとされています。
真珠はその輝めく光沢から別名「月のしずく」や「人魚の涙」と呼ばれ、涙や敬意を表すものと考えられています。しかし、そんな真珠のネックレスも、二連三連のものだと『不幸が続く』ことを連想させるためタブーとされていますので、葬儀で身につける際には一連のシンプルなものを選びましょう。


上記のようなマナーが葬儀の場面にはたくさんあります。国を越えれば変わるのはもちろんですが、隣の県、隣の市、隣の地区でも違う風習がある、なんてことも珍しくありません。

葬儀は非日常のことだからこそ、その地域の特別なマナーやルールで日常とは区別されます。それゆえ初めてのことや、自分の住んでいる地域とは違うことで、驚かれることもあります。

もし、葬儀のマナーはよく知らないけど急にお葬式に参列することになったら・・・ちょっと不安になりますよね。そんな不安を少しでも解消するお手伝いとして、これからの記事でお葬式に関するマナーや知識をご紹介いてゆきたいと考えております。

香の世界に魅せられて、無臭に行き着く

以前あるご住職様から『お焼香の香は仏様のお食事ですよ』(※諸説あります)と教えていただいてからは香木などの香りの世界にも興味がわき、色々試しております。

好きな香りのお線香をゆったりと薫せて静かに手を合わせるひととき。お仏壇のご先祖様もさぞ喜んでいるに違いないと思いますが、おそらく1番リラックスしているのは私です。

お洒落なパッケージのこれ。実はお線香です。

お香に欠かせないまさかの有名人

ところで、11世紀の北宗の詩人・黄庭硬が作った香についての名文があります。『香十徳(こうのじっとく)』という香のいいところ10個をしるしたこの詩文は、一休宗純によって日本に紹介されたといいます。

一休さん?
そう、とんちが得意な小坊主姿が有名なテレビアニメの、あの『一休さん』です。実際の一休さんは室町時代に活躍した臨済宗の僧侶であり、詩人でした。

香十徳

 感格鬼神・・・感は鬼神にいたる
【感覚が鬼神のように研ぎ澄まされる】
 清浄心身・・・心身を清浄にす
【心身を清く浄化する】
 能除汚穢・・・よく汚穢を除く
【よごれやけがれを取り除く】
 能覚睡眠・・・よく睡眠を覚ます
【眠気を覚ます】
※眠りを誘う、の解釈も有り
 静中成友・・・静中には友と成る
【寂しいときには心を癒す】
 塵裏偸間・・・塵裏には閑をぬすむ
【忙しいときには心を和ませる】
 多而不厭・・・多くして厭わず
【多くとも邪魔にならない】
 寡而為足・・・寡くして足れりと為す
【少なくとも香りを放つ】
 久蔵不朽・・・久しく蔵えて朽ちず
【長期間保存しても大丈夫】
 常用無障・・・常に用いて障なし
【常用しても無害】

900年も前にできた40文字のこの詩文が、現代でも大切に伝えられているのですから、紹介した一休さんもさぞ驚いているのではないでしょうか。ちなみに私は、実際の一休さんの肖像画が、アニメのイメージとあまりにも違うことに驚きを隠せませんでした。

消臭をうたうお線香の実力やいかに

ここまでお香の話をしておきながら、実は、最近の大発見は消臭効果のある備長炭入のお線香です。有名ロウソクメーカーのTwitterで発見した『焼魚を食べた後のお部屋で備長炭入り線香を使うと消臭効果あり』という実験を私も試してみたところ、本当にニオイが消えました。感じ方には個人差があると思いますが、気になる方は是非一度お試しください。

noteを通して届けたいこと

皆さんの葬儀のイメージはどのようなものでしょうか?暗い、悲しい、堅い、怖い、よくわからない・・・。質問しておいてなんですが、ポジティブな印象はほとんど無いと思います。それでも、大切な人を見送るときに『○○について知っている』というのは安心できる材料になります。

『もしものときに、だれかがちょっとでも安心できるように。』

そんな願いを込めてリアルタイムな葬儀のマナーや風習、その由来や豆知識などを記事にしてまいりますので、気軽に読んでいただけましたら幸いです。

編集部 八鍬

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