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詩64/ 取るに足りない祈り

歴史の年表で
出来事が在った年と年の狭間には
何もなかったのかというと
そんなはずはなくて
後世に語り継がれなかった悲しみが
必ずやそこにはあったはずだ

それでもそこには
年表に載った年よりかは
誰にも漁られることのなかった
人々の穏やかな日常が
少しでも存在したのかと思うと
その時代の子どもたちの
草原に響く笑い声が聞こえるようで
少し救われた心持ちになる

そして
俺は
生きている今この時代が
1000年後の年表や教科書に
少しでも取り上げられないことを
心から祈っている

1000年後の博物館で
武器と思わしき遺品や
焼け野原の遺構の発掘物や
子供達が見たくないと眉をひそめ
目や耳を塞いで素通りするような
記録物が陳列されたりしない

そんな
取るに足りない時代になることを
本当に心の底から祈っている

もう
間に合わないかもしれないけれど




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