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「プーチン大統領との会談後のマクロン仏大統領の様子」は誤り 別の日に撮られた画像

検証対象

プーチンとの会談後のマクロン仏大統領の様子らしい。SAN値がヤバそうで心配である。(※画像付き投稿)

一般ユーザーのTwitter投稿(2022年3月9日、約2200RT)

判定

誤り 判定の基準について

画像はマクロン大統領の専属写真家が2022年2月9日、2月18日、3月4日に撮影したものであり、これらの日程ではプーチン大統領と電話会談を行なっていない。

ファクトチェック

2月に始まったロシア軍によるウクライナへの侵攻で、国際的な緊張が高まっている。こうしたなか、3月9日に「プーチン露大統領との会談後のマクロン仏大統領の様子」とされるツイートが投稿された。

引用元のツイート(こちらは3月8日投稿)には、マクロン大統領の画像と共に「ウクライナ侵攻に関して、今日プーチンと電話した後のマクロン("Macron after his call with Putin today, regarding the invasion of Ukraine")」と書かれている。

画像はマクロン大統領の専属写真家が撮影

しかし、これらの画像はいずれも3月5日以前に撮影されたものだ。マクロン大統領の専属写真家であるソアジグ・ドゥ・ ラ・モワソニエール (Soazig de la Moissonnière)氏がこれらの画像を自身のインスタグラムで公開している。

1枚目の画像は、2月9日に撮影したとされている。「サロン・ヴェール(※注:大統領官邸内の一室)にて。会議が終わり、ほぼ一日が終わった後」との説明がある。この日、マクロン大統領は米バイデン大統領と電話し、2月7日と8日に行ったプーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領との会談内容について話した。

2枚目の画像は、2月18日に撮影とされている

この日、マクロン大統領はバイデン米大統領が主催する電話会議に参加し、各国首脳らと共にロシアの「ウクライナ周辺での軍事増強」について話し合った。

3枚目の画像については、3月4日に撮影とされている

この日、マクロン大統領は英ジョンソン首相とウクライナ情勢の深刻さについて話し、国際原子力機関(IAEA)事務局長とも通話した。

プーチン大統領との電話会談

マクロン大統領とプーチン大統領は、2月7日にモスクワで直接会談をして以降、3月17日までの間に計10回電話会談を行なっている。具体的な日付は2月12日、20日(2回)、21日、24日、28日、3月3日、6日、10日、12日で、ロシア政府が公表しているほか、マクロン大統領の公式サイトの予定表からも急遽設定されたと見られる一部を除き確認できる。

つまり、写真が撮影された2月9日、2月18日、3月4日には、マクロン大統領はプーチン大統領と電話をしていない。

これらのことから、「プーチン大統領との会談後のマクロン仏大統領の様子」とする投稿は誤りだと判定した。 

類似情報は他にも拡散

類似した情報は他にも拡散している。主に流れているのは、以下の情報だ。

この画像は、2015年8月27日にフランス南西部のボルドー近郊レオニャンで行われた「Pole des reformateurs」(改革者センター)の会合でスマートフォンをチェックするマクロン経済産業相(当時)だとされている。「彼は今から5時間『新型コロナはウクライナが作った』という話を聞かされます」との情報は、本来の文脈とは異なる説明であることが分かる。

なお、海外ではロイター通信などがファクトチェック記事を出している。

(森青花、鳥尾祐太)

謝辞

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