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10年前の日本マクドナルドのV字回復から学ぶ「基本の『き』」

株式会社アイリッジ取締役の渡辺智也(わたなべともや)です。

年末年始に様々な整理をしているなかで、10年前から継続して読んでいる投資に関するニュースレターの過去のものを見つけました。
あらためて読んでみると非常に面白かったので、今日はあえて過去を振り返り、今を見てみたいと思います。
今回注目したのは「10年前の日本マクドナルドの業績はなぜどん底に落ち、奇跡のV字回復を遂げたのか」です。

<目次>
1.2015年の日本マクドナルドは「ビジネスモデルが崩れ」ていた?
2.どん底からのリカバリープランで奇跡のV字回復
3.「派手で新しい」ではなく「地道で基本的」をあえて狙う

1.2015年の日本マクドナルドは「ビジネスモデルが崩れ」ていた?

そもそもは、自分の資産ポートフォリオを定期的に見直そうとかねてから思っており、その足掛かりとして、とある人の有料記事を毎週購読し、時には年2回開催されるセミナーにも参加していたことがきっかけです(これは今も続けています)。

私が利用しているものは(投資に関するものなのでここでは具体的には紹介しませんが)、ありがたいことにデジタルのニュースレターだけでなく、ある一定期間を過ぎるとサマライズされた紙面も送ってくれるというサービス付き。
この紙面がだいぶ溜まってしまったので、2024年の年始に片づけていたときにふと目に留まったのが「日本マクドナルド」の記事でした。
2015年の記事なので約10年前のもので、タイトルは「ビジネスモデルが崩れたのだろうか」。

・・・おお、どういうことだ?と思い、そこから日本マクドナルドのビジネスが当時どのような状態で、どのように変化したのか、その裏側にはどのような出来事があったのかを振り返ってみました。

2.どん底からのリカバリープランで奇跡のV字回復

当時の日本マクドナルドは、鶏肉偽装問題や異物混入問題が立て続けに発生していました。
また、シェイクシャックなどが日本に上陸し、健康志向・高級志向のハンバーガー店も生まれていました。
経営陣に目を移せば、社長も原田氏からカサノバ氏に交替し半年くらいの頃で、このときの日本マクドナルドは、業績が非常に悪い状態でした(既存店マイナス30%、2期連続赤字・・・などなど経営者として肝が冷える言葉が並んでいました)。

当時のIRページを見てみると・・・非常に厳しい数字が並んでいます。

「平成27年12月期通期連結決算状況及び 平成28年度の戦略について」より

ただ、ここからが日本マクドナルドのすごかったところです。
「リカバリープラン」を打ち出して、翌年の2016年、翌々年の2017年には最高益を記録し、前年の赤字を戻すだけでなくそれ以上に達成することで、株価もうなぎ上りになっていきました。

2017年のIRページを見ると、そのすごさがわかりますね。

「平成28年12月期通期連結決算状況 及び 平成29年12月期業績予想について」より
日本マクドナルドホールディングス(株)の株価チャート

このリカバリープランですが、一時期の経営改革で退職していた優秀な人材に戻ってきてもらったり、ハンバーガー大学に代表されるような社員教育に再度力を入れたり、フランチャイズ先の業務のあり方を見直したり、といった地道なものだったようです。

結果論ではありますが、不祥事発生・業績悪化の直前は、経営体制の改革やフランチャイズの取扱いの変更などによって、業績・数字は向上しているように見えても、社内から人材が流出したり、ノウハウが蓄積されにくかったり、ということがあったようです。
経営者が誰に代わっても、偽装問題などが発生するのも時間の問題…だったのかもしれません。

3.「派手で新しい」ではなく「地道で基本的」をあえて狙う

リカバリープランで、私が特に印象的だな、と思ったのは、売上を構築している基本的な商品のインパクト(影響度合い)をより大きくするための取組みを行い続けたことです。
いわば「奇をてらわず、定番商品をきちんと売っていく」ともいえます。
調べていくと、一時期なくなっていたバリューセットの販売を再開したり、客が流れていたスターバックスなどに対策するべくコーヒーに力を入れたりと、派手さはないけれどもマーケティング・セールスの基本の「き」をやっていったのだな、ということがわかりました。
また、当時の復活の立役者でもある足立光氏の「マーケターは新しいことにこだわるのをやめよ」という言葉も、とても胸にきました。

自分に置き換えてみると、アイリッジもより伸ばすためには、定番、元々よかったところに焦点を当てたり、人財育成に力を入れたり、が重要なのでは、と思ったのです。
前回の投稿で「2024年は地道なことを着実に積み重ねる1年に」と書いたこともあって、あらためて基本的なことを地道に続けていくことの大切さを教えてもらったように思います。

アイリッジにとって「基本の『き』」とは何か。
シンプルですが深い問いです。もう少し考えてみようと思った年始でした。

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