『ジョニーぶらり旅』フィリピン編④
3日目。
2日目の朝に会った日本人に、またラウンジで会った。年齢を聞くと、同い年だった。フィリピンにハマって、これまで5回ほど1人で来ているらしい。
その人は体の小さい小学生くらいのフィリピン人の女の子を連れていたので、訳を聞いてみた。
「あれ、23歳で子供いますよ」
信じられなかった。小学生6年生くらいにみえるのに、既に子持ちだと。
どうやら彼がクラブに行った際に、女の子の方からナンパしてきて、今は一緒に過ごしているらしい。
そして、その彼女の家に行った時のことを話してくれた。
「すべての人種の子どもがいましたよ。白人、韓国人、フィリピン人の子供が。ここの人は避妊しないらしいんですよ。そして後先考えない国民性だし、家族で子供を育てるスタイルだからそうなるみたいです...」
とても衝撃的な話だった。その場では笑ったが、帰国して色々とフィリピンについて調べてみると、その片鱗が見えた。
フィリピンはとても若い人の多い国で、労働生産年齢が25歳ほどなのだ。そして子供がやたら多い。
それも、こういった事情があってのことなのだろう。
彼らを見ていると、なんだか旅先での恋は良いなと感じた。私は男娘で失敗していたので、なおさらそう感じた。
「一回失敗しただけだろ」
私の頭の中に突然と浮かんできた。
よし、もう一度頑張ってデートしてみよう。
20代の男というのは、なかなかアホである。
なんとか1人の女の子と会う約束をすることができた。(なんたってアプリをひらけば「いいね」がとまらないからな)
前回の失敗から、全ての調査は済ませてある。性別、金銭状況まで、全て質問して、納得のいく答えを得たので、モールで待ち合わせをした。
今回はタクシーを使わずに、ジプニーという、乗合バスのようなものに乗った。庶民の移動手段で、みんなでギチギチになりながら乗り込むのだ。
フィリピンは信じられないほど排気ガスが多く、すぐに喉が痛くなるので、この日は珍しくマスクを着けた。
モールに着き時間があるので、トイザらス、スーパーマーケットなど、いろいろな店を回った。
前日に行ったモールとは違うモールで、屋上に行くとテラスがあり、緑豊かな空間から、セブシティの高層ビルが見える。
なんだかららぽーとにいるような感覚に襲われ、日本にいるのと同じくらいリラックスすることができた。
余談だが、帰国して『バキ童チャンネル』のフィリピン編を観てみると、同じモールでの撮影回があるので、偶然にも聖地巡礼になった。
H&Mで待ち合わせをした。
遅れてやっきたのは、とんでもなく可愛い女の子だった。一目見た瞬間に、女の子だとわかる骨格だった。なんというか、小さくまとまった鎖骨と骨盤。
そしてオシャレな服装から察するに、割と生活に困っていない人だった。
カフェに行けば飲み物を奢ってくれるし、自分の飲み物を一口飲ませてもくれる。ちゃんと人間関係を築ける子であった。
その子の色々な人生の話を聞いてると、とても健気で明るく、しなやかな強さをもっていることがわかった。
19歳の時にタイ人の観光客に酔っているところを暴行され、1人子供を持っている。その子供は、自分と自分の母親で育てている。だけれども、めげずに20代を満喫しており、ネイルの仕事を自分で行い、家族を養いつつ、自分は一人旅を沢山している。
こんなにしなやかな強さをもった人は日本にいるだろうか。フィリピン人のバイタリティにとても敬服した。彼女は素晴らしい。
そこから2人で日本料理を食べ、カラオケに行き、歌いまくった。
カラオケでは、カメラを向けると色っぽい動きをしてくれる。とってもノリの良い女の子だ。
その後、中庭で小休止を取った。中庭もとんでもなく広く、野宿経験者の私にとっては、天国でしかなかった。
そして、一緒に海辺に旅行に行こうと誘われた。「フィリピンに来てるのに海行かないなんてダメ」とまで言われたのだ。
そうと決まったら、今日は早く帰って寝なくては。なんたって美女とのお泊まりだからな。
翌日の予定を決め、ハグをしてその日は帰った。
4日目の朝。その子との旅行に備えて、しっかりと寝たので気分爽快。おはようのメッセージを送り、ラウンジで朝ごはんを食べていた時に、返信がきた。
「風邪ひいたから今日いけない」
どうやら神は、何がなんでも俺に天外独身を貫いてほしいらしい。
つづく
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?