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コミュニケーションの奥深さ

ジョンさんの歩きながら始まること。

昨日のことである。一緒に働いている後輩からこんな事を聞かれた。
『仕事を辞めたいって思ったことありますか?』
この質問に、「もちろんあるよ」と答えた。

この話の前には、仕事の話があった。
人間は歳を重ねたり、病気になったりすると今まで出来ていた事ができなくなってくる時が
必ずくる。
そんな時をご一緒することが多い仕事をしていると思う。
自分が自分でなくなるような感覚を感じながら、それでも生きていかなければならない。
その際、患者もケア者も色々な選択をしていくことになる。

どれだけその辛さに寄り添えるのか、辛さを受け止めながら提案ができるのか。
自分のコミュニケーションが試される。
同時に、聴く力も必要になる。
どんな辛さを抱えられているのか、どんな気持ちで過ごされているのか。私たちは想像しながら「今、ここ」をご一緒する。
涙、怒り、諦め…様々な感情が渦巻く。

こんな時、スピリチュアルペインを吐き出される方も少なくない。
私たちは、こんな方法を試せる、これがダメでもこんな方法がある、と提案するが、その時に忘れてはいけないのは『あなたの気持ちを聴かせてください』という問いかけである。
あなたがどうしたいと思っているのか、ケア者への気遣いや機能低下に関わらず教えて欲しいと願う。(このような場面ではホリスティックコミュニケーションのセミナーで学び続けている質問力も私の中で育ってきていると感じる。まだまだではあるが…)

そんなコミュニケーションの最中で、悩み苦しんでいる後輩がいた。
業務の中でケア者も心を揺らし、悩み苦しむ。
そんな姿を見て、スタッフ間でも気持ちを背負ったり共有しながらチームで仕事をしている。
いろんな気持ちが飛び交う現場で、カンファレンスの場で、自分の気持ちを言葉にすることも求められる。気持ちを聴いたことはあるが、自分の気持ちを考えたこともないというスタッフが殆どではないだろうか。

悩み苦しみ、非力な自分を実感して、それでも目の前に患者がいる。
そんな時間を重ねてきたし、これからも重ねていく。
ケア者のケアは未だに置き去りのままで。

「仕事を辞めたいと思うくらい苦しいんだね。」
患者だけではない、スタッフ間のコミュニケーションも少ない時間の中で重要である。人知れず悩んでいる後輩も多い。先輩だって悩んでいるかもしれない。
想像したり、思いを寄せたりしながらのコミュニケーションは自分自身の気持ちも揺らす。

「自分の人間力のなさに、今まで何してたんだろうと思います。」
仕事の場面で自らの人生を否定してしまうほど悩んだり苦しんだりすることがある。
自身を内観し自己の内側に向けて問いかける、考え続ける中で多様性を認めていくことが仕事の場面で必要になる。
凝り固まった自分に、こだわりの強い自分に気付く中で、自分も緩め楽にしていくことにも繋がることもある。

他者への問いかけが自分自身への問いかけとなって心に残り育っていき、それが自分の
“ことば”になっていくと思う。
ことばの大切さ、コミュニケーションの奥深さを日々感じながら、今日もケア者として患者の横に寄り添う。

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