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【詩/短編小説】魚の住処


ベランダの水槽は魚のいない住処 
もう壊れているのに
「忘れないでよって 忘れないからなんなの?」
もう壊れているのに

一番乗りの教室で 
あの子が来るのを待っている

散々喚いてその次は 我に返って泣くんでしょう?
仕方がないのと言い訳し 一人で終わりにするんでしょう?
でもね 僕は許さないから

砕け散った破片は埃が積もり始めている
もう忘れろよって
何にもない日々に戻り始めていくのは
もう忘れるよって

下校時間の教室で 
澄ましたあの子が待っている

ざわめく人波帰ったら 僕に真実を話してよ
仕方がないのと言うのなら 君の全てを奪うから

歪んでいく
瑠璃色の
魚は
泣いていた
いつも いつも

散々喚いたその後は 我に返って泣くんでしょう?
気づいた時には一人きり 誰にも声は届かない
だから だけど でもね 僕は許さないから

…でもね 僕は許せないから



※中学生の時に書いた曲(歌詞)が見つかったのでここに載せちゃうぞ!
 いつか音源も載せたいぞ!
 
昔、TVでサカナくんが「狭い水槽にたくさん魚を入れるといじめが起こる」的なことを言ってらっしゃってて「なるほど!」と触発されて書いた歌詞です。
学校の教室って大人になってから見に行ってみると本当に狭くて小さく感じますよね。



短編小説



あの子は僕に魚たちの世話を押し付けた。
それは別にいい。魚、好きだし。
しかし次の日、学校に行くと水槽の中の水が空っぽになっていた。
ひび割れたところから水が漏れ出したみたいだった。
教室の床はびしょびしょだった。
あの子は泣いていた。僕はよくわからなかった。
あの子が何に対して悲しんでいるのか。
壊れた水槽は教室のベランダに置かれた。
僕は魚たちの死んでいく様を想像した。
許せなかった。
魚たちを守れなかった自分自身と、あの子の無責任さが許せなかった。


しばらくしてあの子が水槽を壊した犯人だとわかった。
朝一番に学校へ行き、あの子の机の中に手紙を入れた。
あの子は先生に「先生、私いじめられています」と言って僕の書いた手紙を渡していた。そしてまた泣いていた。何も悲しくないだろうに。
先生は1時間目をその手紙に費やした。
「この手紙を入れたものは名乗り出なさい」そう言った。
誰も名乗り出ない。当たり前だ。名乗り出て何になる?
あの子は加害者から被害者になった。でもみんなの目は笑っていた。


それから一週間後、僕の机の中に手紙が入っていた。
僕は友達に見られないようにその手紙を読んだ。
その日一日中ずっと、上の空だった。
下校時間のチャイムが鳴って友達と別れを告げた後、僕は教室に戻った。
あの子がいた。
「あんたがあの手紙を入れたんでしょ」と詰め寄ってきた。
「違うよ」と言って僕はあの子を押し除けた。
「「歪んでいく瑠璃色の魚は泣いていた いつも いつも」!これあんたが書いたんでしょ?!意味わかんない!気持ち悪い!本当、キモい!何なの?!」と涙目であの子は喚いて持っていた手紙を投げ捨てた。

みんなあっという間にあの魚たちのことを忘れていった。
それは別にいい。
でもあの子が、この子が忘れてしまうのは許せない。

僕の心は歪んでいったんだと思う。
どうすればこの子がこの先もあの事を忘れないで囚われたままでいてくれるか、
ずっと考えていた。
「あんたが言ったの?!みんなに私と口きくなって!!」
ひしめき合った狭い教室の中で標的を作るのは簡単だった。
この子が僕にしていたように、僕もこの子に同じ事をしただけだ。
「私がやったことってそんな悪いことだった?」
「じゃあなんで泣いてたわけ?」
「……だってしょうがないじゃん!仕方なかったの!だって魚って臭いじゃん!気持ち悪いし!なんで私が世話しないといけなかったわけ?!みんなだって魚臭いとか言ってたし!いなくなって内心喜んでたって!!」
ついにあの子は泣き出した。今度は本当に悲しんでいるようだった。
僕はあの子を教室に置き去りにして、帰り道にコンビニへ寄ることにした。
あそこのコンビニって外にゴミ箱あったっけ?
足を止め、手にこっそりと持っていた手紙を広げる。
僕の字って結構癖があるから何回か書き直したんだよなぁ。

「歪んでいく
 瑠璃色の
 魚は
 泣いていた
 いつも いつも
         サカナより」

手紙に貼り付けていた小さな死骸が「サカナ」の文字を隠していた。
生臭いそれをもう一度手紙で包んでポッケに入れた僕はコンビニへと歩き出した。



っていうストーリーを考えながら書いたような、そうでなかったような。
魚って臭いけどそこがいい!みたいなところありませんか?
家族でよく釣りに行ってたのですが、あの生臭さ、最初は嫌だったんですがだんだんとクセになって最終的には好きになってました。
それと歩いてすぐのところに海があったのでずっと潮くさいのが当たり前でした。
(学校からも海が見えるわけです。今思えばなんかジブリの世界観じゃん?)
でも都会に行ったらさ!ないんよ!潮臭さが!物足りねぇよ!!
もっと海の匂い感じてぇよ!!海をくれ!オラに海を!!オラに力を!!!
でもね、池とか川の魚は臭さがエグいんですよ。海とは違う。
前に池の鯉の死骸処理を祖母から頼まれたんですが、マジでくせぇ!!
ずっと涙目で作業してました。
もし「川の魚と海の魚、どっちが好き?」って聞かれたらアタイは「海の魚が好き!」って即答してやりますね!・・・そんなこと聞かれる機会ないだろうけど!


「なんかコイツ面白いじゃん?」と思われたそこのあなた!! そうです!そこのあなたです!よかったらサポートしてくださぁあああああいぃ!!!! 創作作品を制作するための資金にさせていただきます! よろしくお願いしまあああああああああああああああああああすっ!!!!💪✨