12月17日 他の人が作成したAnkiカードを使う時の注意点3つ【アドベントカレンダー2024】
さぁ、やっていきましょう。今日は久々に、Ankiそれ自体の話。
Ankiカードには2種類あります。
自分が作ったカードと、他の人が作成したカードです。後者を特にPremade Deck(プリメードデッキ)と呼びます。
自分が作成したカードの注意点‥1つのカードに情報を多く入れすぎないとか、図やイラストをふんだんに含めるとかの話はこれまでに共有してきましたので、割愛します。
問題は「他の人が作成したカード」の扱いです。
皆さんが学習していて、他の人と分担する、ということはよくあるのでは無いでしょうか。
「過去問を解く時、友人と分割して模範解答を作成して、後で友人と共有する」という方法は、私自身しばしば行ってきました。
しかしAnkiカードの演習についてはこの演習方法に少し難あり、と感じています。今日はそんなお話です。
私がAnkiカードを人と共有しないほうが良い、もしくは共有する場合に注意すべき点は大きく3つあります。
理解していないものを 暗記していないか?
これは、「効果的な学習法: 知識を定式化する20個のルール 」から引用した言葉です。
基本的に我々は、理解していないものを暗記できるほど賢くはありません。
ごく一部、サヴァン症候群と言われる人々であったり「写真記憶」なるものが可能な人のみが、無機質な文字列を暗記することに長けています。
誰かが作ったカードは、確かに分かりやすく書かれているものもあります。
しかしその学習教材を「わかりやすい」と思えるかどうかは、自分がその概念を理解しているかどうか?に強く依存しています。
例えばUSMLEというアメリカの医師国家試験に用いられるPremade DeckにAnking というものがあります。
ここには、First Aid やSketchy Medical, Kaplan, Uworld などUSMLEで用いられる教科書、問題集、教材に関してのAnkiカードが大量に作成されていて、非常に魅力的です。私もUSMLEの学習をしていた時期は、1日200枚強のAnking カードを演習していました。
そんな中で一番大変だったのが「そもそも日本語ですら聞いたことが無い医学的知識を初めてAnkiで聞かれた時」でした。
Ankiのカードづくりをする過程で、自分がタイピング、もしくはコピー&ペーストを行いますが、その中で「ここはきっと必要だろう」と思ってやっているはずです。
Premade Deck ではその「自分の中で必要と感じる」のフェーズが完全にスキップされてしまいます。そうなると演習する中でも、自分は必要性が全く感じられないカードを延々と間違える‥という状況が出来上がるわけです。
必要性が感じられないカードを演習することで眠くもなり、演習速度は落ち‥と良いことはありません。
記憶する前に 全体を学習しているか?
Ankiカードを学習する際に重要なことの1つに「全体を学習する」があります。
知識はそれ自体で存在することは珍しく、他の知識との関係性の中で存在しています。
例えば歴史の勉強をしているとして、次のような例文を覚えるとします。
「伊藤博文は、1909年(明治42年)に中国のハルビン駅で暗殺された」
この知識は、その文字列自体で覚えることも可能ですが、
「伊藤博文は初代総理大臣の人である」
「伊藤博文は天津条約や下関条約の締結など、外国との関係構築に熱心だった」
「伊藤博文は初代韓国統監として、日本が実質的に韓国の統治権を手にした」
これらの知識を同時に頭にいれる‥つまり「伊藤博文概観」を理解することで、関連付けることが出来ます。更に広げると「明治時代概観」「日本史概観」「世界史概観」と広げていくことで、誰が、どんな時代背景で、どんなことをしたのか‥と考えることが出来ると、更に理解は深まります。
世界史の学習をしていてしばしば驚くのが「アメリカが独立を求めて革命を起こしていた時期に日本はこんなことをしていたのか」ということです。
それまで「日本」という軸で見ていたものを「アメリカ」「世界」と広げることで、日本の歴史を相対化することが出来る。相対化することで、それまで単独だと思っていた知識に関連付け、関連付け‥をすることが出来る。
友達を覚えるときも同じです。
「田中太郎くん」という名前だけだと覚えることに苦労するかもしれません。
「2年B組の田中太郎くん」
「お姉ちゃんが3年C組の田中太郎くん」
「バスケ部に所属している田中太郎くん」
「山田花子ちゃんの彼氏の田中太郎くん」
「実家は精肉店をやっている田中太郎くん」
と、田中太郎くんの全体に目を向けることで、田中太郎くんそのものを覚えやすくなります(田中太郎、という名前自体は暗記するほかないですが‥笑)
自分の経験に関連付け、例を挙げているか?
暗記する際に、自分の経験と関連付けることは実は、とても大きな影響力があります。
因みにdivanはこれです。
自分がテストで間違えて、嫌な目にあった。
職場で覚えていなくて、相手に迷惑をかけた。
友達と問題の出し合いっこをしていて、めっちゃ素敵な語呂合わせを教えてもらった。
友達が使っていた具体例が印象的だった
などなど、自分の経験‥マイナスの感情でも、プラスの感情でもいいんです。
それと絡めることで、とても理解しやすくなる。
先生の無機質な声よりも、よっぽど。
「初恋の女の子と図書館で勉強した」内容は、何年たった今でも覚えているでしょう。
誰かが作ったカードを活かす方法
ここまで、3つのポイントを淡々と紹介してきました。
Premade Deck を使うことのデメリットは、これらのポイントに留意できない点です。
例えばPremade Deckのモデルケースとして
「自分が教科書を読み、学習した範囲をAnkiデータベースから探し出し、該当する範囲だけ学習する」
という方法は、効果的だと思います。更にはカードを学習する前に
「それぞれのカードの内容にざっと目を通し、知っていること、聞かれたら答えられないかもしれないけれど回答を見たら分かる内容‥であることを確認する」ことができれば理想的です。
知らないことを聞かれて間違えても、感情が動かない。覚えにくい訳です。
知識には思い出を、暗記には彩りを
如何だったでしょうか。
今日はAnki学習をする際にしばしば用いられるPremade Deckの落とし穴と、その対策方法について紹介しました。
Premade Deckそれ自体は、特性を理解することで学習効率を高める一助となってくれます。
生かす殺すも自分次第。なんて素敵なことでしょう。
皆様の暗記が、彩りで満ち溢れんことを‥。
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