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試験に通る方法-過去問 Based learning を徹底的に考える

こんにちは。ジョンです。

先日、質問箱に以下のような質問を頂きました。

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その回答を作成する中で非常に長くなってしまったこと、画像を引用したりと質問箱では対応できないことが出てきたため、ノートの方で回答させていただきました。

質問者様の意図とは少しずれてしまうかもしれませんが、今現在の見解をお答えいたします。

1. 前提の共有-「試験は過去問やるだけで通るというのは本当ですか?」について


質問にお答えする前に、私がどういうスタンスで話しているのか、ということについて共有させて下さい。

「試験に通る=合格基準を満たす」
合格基準とは①100点中60点を取る②テストによって設定される合格ラインを満たす(例えば、臨床科目では平均点-SDを満たす)とする
「過去問をやる=過去3年分の過去問を、1問1問吟味しながら解答する」
解答解説があるものはそれを参照し、無いものは自分でレジュメを見ながら問題演習を行う。

という前提の元、回答していきます。

2. 試験に通る、とは何を指すか。目標設定の話


合格基準とは
100点中60点以上を取る
テストによって設定される合格ラインを満たす(例えば、臨床科目では平均点-SD以上、を満たす)
のどちらかとする。

2-1. 過去問の重要性について


①と②で、過去問の重要性が高いのはどちらでしょうか。
私は②だと考えているため、今回は②の方から説明していきます。


テストによって設定される合格ラインを満たす

テストによって合格基準が設定される相対評価の場合、「みんなが正解できる問題が不正解になる」ことが合格から遠ざかることになります。

では次に、みんなが正解できる問題とは何か?を考えます。これが「過去問」です。
そのため、②の合格基準が設定されているテストに関しては、過去問をやることで試験に合格する可能性が上がります。


①100点中60点を取ることが合格基準である


私の大学の基礎医学の領域では、この合格基準が設定されることが多かったです。
この場合、②とは異なる要素が加わります。②の段階では、「みんなが取れる問題を正解する」という目的が重視されていましたが、今回は過去問演習に際して、「先生が大切だと思っている箇所を探す」という要素が加わります。

2-2. 問題作成者の思考を辿る

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テストの問題が作成される過程を考えてみます。先生の思考としては、昨年度と同じにするか、問題を変えるか、の2つが考えられます。
結論から述べると、先生が問題を変える場合であってもそうでなくても、過去問の演習は必要だと考えています。
「ふーん、そうなんだ。じゃあどうやって演習するのかを教えて。」という方は、次の「過去問をやる、について」へどうぞ。


テストの作成が面倒で、昨年度と同じ問題を使用しよう、と先生が考えた場合。そう考える理由は、「去年の問題で大事な所が聞けている」からです。


先生がテストの問題を総取っ替えしよう、と考えた場合
昨年度の問題がクソ問揃いで、「これでは学生が〇〇学を理解しているのか判断できない」と先生が判断した場合、試験問題が改定される可能性は高いと考えられます。

 クソ問を出題するなんて、職務怠慢じゃないのか、という批判はやめましょう。2.3時間のテストで、基礎医学の1分野の学習が出来ているかどうかを確認するのは至難の業です。毎年先生は、学生に対して「このような問題を出題したら、きっと勉強した人は取れるし、そうでない人は取れないだろう」と考えて出題しています。
 大学がどのように学生の解答を分析しているのかはブラックボックスですので、深い議論をすることは出来ません。解答率を計算し、それに基づいて出題が行われているのであれば、毎年「良い問題」だけが残っていくでしょう。

さて、話が反れました。先生がテストの問題を総取っ替えしよう、と判断した場合、過去問をやることは試験対策として有効策になるのでしょうか?
上で述べたように、過去問とは、その年の問題作成者が「この内容だけは抑えておいて欲しい」という内容が詰まった、問題の宝庫です。


2-3. 先生が問題を変更するかどうかは、誰にも分からない


これに尽きます。もし先生が「今年は問題を変更します」と公言していた場合は、教科書を読む、ビデオ講座をみる、CBT,国家試験の過去問を解く、などが必要になってくるかもしれません。ここに関しては、本人がどこまで突き詰めるのか、という話になります。
私個人の考えでは、過去問は「去年の先輩がここまで求められていた」ということが分かる資料として最適なので、必ず解くようにしています。臨床科目では、細かいガイドラインの一言に関して出題してくる先生もいて、「こんなの何の役に立つんだよ」と思う時もあります。

過去問だけやったA君と、過去問+レジュメ+CBT+ビデオ講座を視聴したB君。どこまでやったから試験に絶対合格する、という指標はありません。そんなものがあったら私も知りたいですw
試験に合格するか、というのは最終的には問題の運が良いか、という一言に尽きます。
その運を上げる方法が過去問であり、予備校講座であり、CBT、国家試験過去問の勉強、レジュメの熟読です。



3. 過去問をやる、について


さて、ここまで試験に合格するには、という話をしてきました。

ここからは、「過去問をやるとはどういうことか?」ということについて説明します。
過去問の入手に関しては、学年もしくは部活ごとにドライブで共有されているので学年の人に聞いてみましょう。

その前に、過去問の形態について整理します。
ジョンとかいう人、整理大好きですね。この回答の中でも3回位整理している気がします。

過去問の形態は幾つかの軸に基づいて分類することが出来ます。

今回は

1. 試験問題が適切に入手されているかどうか?
2. 試験解答が適切に入手されているかどうか?

の2つの指標から考えてみたいと思います。

3-1. 試験問題の正確さ


試験問題が適切に入手されているか。
試験問題は基本的に回収されます。ドライブに上がっている試験問題は、先輩が何らかの形で過去問を入手した努力の結晶です。単にその年は持ち帰りが許可されていた可能性、先生の方から配布された可能性もあります。
これとは別に、試験終了後、先輩が頭を絞って問題文を再現した場合があります。前者の場合は試験と全く同じですが、後者の場合何らかのミスがある可能性があります。


3-2. 試験解答の正確さ


次に、解答解説について。大学から解答が配布されているのではなく、学年の有志が解答例を作成することがあります。その答案のことを「再現答案」といいます。

再現答案の場合、教授が想定する解答とは異なっている可能性があります。

一方、大学から解答解説が配布されている場合は、その資料を見れば良いです。


3-3. 「過去問を解く」に関しての見解

過去問をやるとは、「過去3年分の過去問を、1問1問吟味しながら解答する」としました。

別に3という数字に根拠はありません。1年前に教授が変わった、ということであれば今年で問題が変わる可能性があるし、5年前から教授が変わっていない場合は5年分解いても良いでしょう。何年分解くべきか、ということは別の話になるので、今回は省略します。


※注意※
過去問の吟味方法に関しては私の「試験のために勉強し、終わったら忘却の彼方、という勉強をするのはモチベーションが上がらない」というのがありますので、個人の見解、の域を出ません。
吟味の方法は人それぞれ異なりますので、その辺りご了承下さい。


さて、1問1問吟味する、ということですが、こちらをご覧ください。

先日行われた消化器ユニットにて、私が問題を解いているときのメモです。

2018試験問題解答例

3-4. 「問題を吟味する」とは、自分と問題の間の隙間を埋めることである


私にとって吟味する、とは「ある問題が解けなかった時、自分に足りていなかった知識は何かを考えること」です。


例えば画像上部の「PPIは胃の壁細胞に作用する」という問題。
回答当時、「自分に知識が無かった為に問題に解答できなかった」、もしくは「壁細胞、主細胞、副細胞がそれぞれ何を分泌するのか、という記憶が頭の中で混同していたために解答できなかった」、と考えました。

この問題を解く上では

「胃液は壁細胞から分泌される」
「GERDは胃液の産生が過剰になることが疾患発症の原因となる」
「胃液産生を抑える、つまり壁細胞の活動を抑える薬はPPIである」

という知識があれば十分なので、そのメモを残します。(画像のメモでは不十分ですねw)

過去問の吟味、という点ではこれで終了です。「GERDの治療について1からまとめる」というのは消化器の勉強ではありますが、過去問の吟味ではありません。


 自分の演習スタンスとして、試験はあくまでも「自分の中に作成した世界に対して、足りていない箇所を補う手段」でしかありません。

 つまり、自分である程度学習し、消化器なら消化器、生化学なら生化学の世界地図を作った上で、足りていない部分を問題演習によって補う、という手法を取っています。

考える人Ver.1


 過去問でまとめ作業をすることが悪いと言っている訳ではありません。
しかし、まとめ作業がしたいのであれば、もっと良い問題集があると感じているので、私はやっていません。
 例えばCBT問題集やRx のほうが、私にとって良い問題集だと思っています。


 過去問を基盤としてまとめ作業を行う人の中には、「試験に合格する」、という目的だけではなく、試験の問題を解き、まとめ作業をする過程を通じて「その分野の世界地図を作成する」という目的があるのではないでしょうか。

よくわからなくなってきた、という方は「レジュメと教科書はどのように使用すればよいのか?」まで飛んで下さい( ;∀;)


つまり、私の言っている「過去問の吟味」をする上では、模範解答の存在が必須となります。
解答がない場合、問題を解く時に、すべての選択肢を切る理由について考える必要があります。
この過程には、「レジュメをみる」「教科書を読む」などの行為が伴います。自分の解答に対するFBが遅いことを私は極端に嫌うので、解答が存在する年度から行っています。


4. レジュメと教科書はどのように使用すればよいのか?

 ここまで読んでくださった人の中には、「レジュメをみる」「教科書を読む」ことが嫌いなのか?と感じられた方がいるかもしれませんし、質問者さんも「教科書を読んだりしないとダメなんですかね」と言ってくれています。

 個人的に学術的正確さ、という観点では「教科書>>>レジュメ(一部除く)」だと思っています。
教科書の場合、医学書であれば曲がりなりにも参考文献が載っていますし、出版物であればそれを参考文献として持ち出すことが出来ます。
レジュメの場合、先生が臨床の現場で働いているから、という権威を振りかざし、どこの教科書から引っ張ってきたのか分からない知識が載っています。つまり、レジュメの知識は自分が参考文献として使用することが出来ません。
「君の知識は、どこから?」「私の知識は、5月16日〇〇先生のレジュメから。」なんてエビデンスの欠片もありませんからね。

すべての先生がそうであるとは言いません。きちんと参考文献を提示してくださる先生も居ます。レジュメでも、ガイドラインをそのまま引っ張ってきてます、であったりロビンス基礎病理学から持ってきてます、であれば正確さに足る、と判断できます。

試験の対策のための過去問演習、という話に戻ります。
試験を合格する、過去問演習をする、という観点からすると、レジュメをみることは時に必須となります。
例えば私の大学では、「各授業の内容から2問ずつ問題が作成される」と公言されているので、試験対策をする際にはレジュメを参考にすることが必要になるでしょう。


5. 最後に

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過去問を解く、ということも、所詮は試験に合格するための1つの手段に過ぎません。

ただ、試験範囲が決まっていて、先生が毎年変わっていないのであれば、わざわざ出題される可能性が低そうな「国家試験やCBTの過去問」「教科書通読」よりも出題される可能性が高い「過去問を演習する」のはいかがでしょうか?という話です。

更に後半の「過去問をどう演習するのか?」という話に関しては、過去問を演習する目的、について最初に触れ、その後「過去問演習をしながらまとめるのは個人的に効率が悪い」ということについて触れました。


質問者様のご期待に添えているかは分かりませんが、もし追加で何かございましたらノート🐉、Twitter🐬、質問箱🐙にてご連絡下さい。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました🎋


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