イタリア滞在108日目・109日目
以前一緒に働いていたスリランカの人が仕事中に「Thank you for my brother」と言ってくれることがあって、彼なりの感謝の伝え方なのかなと思っていたのです。この前、フィレンツェで自転車を取り出そうと駐輪場でもがいている方がいて、ちょっと手助けしたらまたも「Thank you for my brother」と言われました。イタリア国外に住む人たちの常套句なのでしょうか。
フィレンツェの試飲会に行ってきました。
歩くこと、ってすごく大切だと思っていて。大人になるとよく時間の進みが早くなる、って言うじゃないですか。それって仕事とか生活が変わり映えしない、というのも一因ではあると思うのですが、交通機関を多用することも大きいと思うんです。自転車、バス、電車。そこから景色を眺めているならまた心持ちも変わりますが、もしそこで変わり映えのない行動をしていると、その1日もまた変わり映えしないものとなってしまう。
交通機関にはもちろんメリットも沢山あって、こうして僕がイタリアに来られているのも飛行機があるからこそ。でも、もしイタリアでバスや電車、トラムを多用する生活を送ったならそれはきっととてもつまらないものになってしまうんじゃ、って思ってて。
試飲会に一緒に行っていた人たちにフィレンツェの中央まで歩いて帰りますって伝えたら「何もないよ」と言われたんです。でも、何もないなんてことは絶対になくて。小さなバールや、レストラン、その地域の特色を示す何事かがあるはずなんです。行き交う人の数、人種、表情、服装。情報はいくらでもある。もし仮に本当に何もなかったとしても、本当に何もないことがわかる。
試飲会の会場から駅までの道のりはそれほど愉快なものではなかったけれど、ふとSanta Maria Novella駅がふと左手に現れた時、僕の中でフィレンツェの地図が更新されたんです。ああ、この道と駅は繋がってて、これくらいの距離で、この道にはこんな店があるんだなって。幼い頃、自分の住む街が世界の全てだった頃ってこうしたマッピングの繰り返しをしていたはずで、それがきっと生きる楽しみの一つだと思う。少なくとも僕にとっては。
日曜日に行った試飲会はこちら。
Grazie per leggere. Ci vediamo. 読んでくれてありがとう。また会おう!