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イタリア滞在73日目

イタリアで2回目のカンティーナ訪問、今回はピエモンテ州のLasserra(旧Agriturismo Il BuonVicino)のアグリツーリズモです。

宿を提供しているカンティーナに昼過ぎに到着するので今回はゆったり出発です。
Hitachi!!
最寄駅はアレッサンドリア。ミラノからは2時間弱。駅からカンティーナまでは送迎をお願いしました。カンティーナ経営はランチ、ディナー、宿、ワインなど多岐に渡り、4人の息子が分業しています。迎えに来てくれたのは三男のAugustoとそのパートナー。車に乗りながら家族構成や簡単な歴史を英語で説明してくれました。
この素敵な建物がカンティーナ。古い建物らしく、お部屋はとても寒かったけれど暖房つけたら暖かかったです。
Agriturismo Il BuonVicino、「善良な隣人」というのは昔のワイン名。今はLasserraという畑の名前がワインに冠せられています。
雪を見るとめちゃくちゃ安心する。
15時頃に着いたら出来上がっている集団のお客様がたくさん。
脇にはi nostri vini。
てこの原理でコルクを開けられる不思議機構。
「15時になるけれどランチ食べる?」というお誘いを受けてアンティパストと軽く一杯飲みました。パプリカのローストと、サルサヴェルデがかかった美味しいもの。
ロールキャベツみたいな美味しいの。好き。
ピエモンテ名物、食べきれない量のパンとグリッシーニ。「私たちはワインも料理も全て作ってるのよ」と言っていたので「このパンも?」と聞いたらこちらは買ったそうです笑
ポレンタのゴルゴンゾーラがけ。この前のボローニャでも似た志向の料理を食べたけれど結構好き。美味しかった。ポレンタの野暮ったさがいい意味で打ち消されて美味しくいただける。
お昼はこの子をいただきました。4男のアキッレの名が冠されている。後で知ったけれどここへくるきっかけになった日本で飲んだワインもアキッレだった。作り手のLeonardo曰くインポータはアキッレを好んで仕入れているらしい。日本人が好む味なのかな。確かにちょっと独特で、リグーリアのリストランテではこれとventresca di tonno(トロ)を合わせるらしい。合わせてみたい。
小ランチと休憩を挟んで、カンティーナ訪問開始。ちなみにこの丘を超えるとリグーリア。
ここが醸造所。
作り中の白ワイン混ぜさせてもらったんですよ。ちょっと感激。白ワインを作り始めたのは2年前で、これは2回目の醸造。下からよくかき混ぜてモヤが上に登って色が変わるまで混ぜる。月に一度くらいの頻度で。


カンティーナ内の写真はたくさん撮ったのだけど、それは後半で。


イタリア語と英語でたっぷりの説明を受けて外へ出るとあらいい景色。
宿に戻って建物の地下へ。ツアーの後半、テイスティングです。前半のツアーが盛りだくさん過ぎてテイスティングをほとんどしていないことに気づいていなかった笑 前半は実験途中の白ワインをちょっと味見させてもらいました。若かった。
埃を被った古いワインもある。
古いロゴのも。
ロゴが印象的で興味を持った部分もありまして。「このロゴはどうやって作ったの?」と聞いたら「友人のデザイナーにお願いして5分で作ってもらったよ」と返ってきた。インスピレーションライク。
テイスティングしていたら一仕事終えた兄弟たちが降りてきてアペリティーボ始まったり、これがイタリアか〜ってなった。
インスタにアップしたけど、このソードでプロセッコを開けたんですよ。Italian styleらしい。忘れられない思い出。
少し時間を空けてディナーです。金土日とイベントをやっていて。本来日曜の夜は家族の休息の日だったと思うのですが、そこに混ぜてもらいました。10人 + 日本人1人。イタリアのディナーを初めて体験したかも。日本に旅行した人からいくつか質問を受けた。日本にこれから旅行する人もいて、僕がもし日本にいたら彼らを案内してあげたかった。
ニョッコフリットみたいだけど中に肉が詰まっている。
agnolotti、アニョロッティという伝統的なパスタ。これも中に美味しいお肉が詰まっていて、作る人によって形状が変わる。ラヴィオリの要領で包んだ生地を湯通ししてからフライパンで炒める。美味しかった。このアニョロッティとAugustoを合わせると最高だ、とLeonardoが言っていた。
プリモはアニョロッティとこれの2択で、タリオリーニって言ってたかな。黒ニンニク?を練り込んだパスタとストラッチャテッラ。これも美味しかった。どちらかしか選べなかったのに僕のために少し余分に作って分けてくれました。感謝。
セコンド。正直お腹いっぱいだったけれど好奇心で食べました。これも僕のために別で装ってくれた。
みんなはここから取って食べていた。ちなみにワインは飲み放題です。
ローストビーフ。
この薬味が美味しいの。
Maldonの塩を使っている。料理を作っているのは4男のアキッレ。
デザートもたっぷりありまして。手前のタルトは小麦を使っていないのにとっても美味しかった。
これはミルク、生クリーム、カカオ、砂糖を混ぜて焼いただけというお手軽ドルチェ。今まで食べたことないタイプで興味深い。
充実の食後種たち。
桃の食後酒。
アマーロも。
全部自家製。樽の中で(陽の光を遮りながら)熟成されている。
この日はスペインワインの試飲会も。Leonardoはすごく研究熱心でシンパシーを感じた。
これはオレンジの食後種。美味しかった。
何気にあるダブリンが気になっていたけれど質問し忘れちゃった
お部屋はこんな感じ。赤ちゃんベッドも置いてあった。

この前L'Arcoへ遊びに行って、それも最高な体験だったけれど、アグリツーリズモに参加したのは何気に初めて。日本で木戸泉の酒造見学・貴醸酒ボトリング体験に参加したことがあるけれどあれに近い。ワインを知るには作っている人たちのところに赴くべし、というのは千葉まりえさんから学んだけれど、マジで行ってよかった。連絡をした時から感触よかったのだけれど、なんとインポータ以外の日本人がカンティーナへ足を運ぶのは初めてのことだったらしく。「どこでここのことを知ったの?」と興味津々で聞かれた。

アグリツーリズモではカンティーナ見学・試飲・お食事がメインの体験となるけれど、ワインを作っているLeonardoがちょーノリノリで説明してくれて。その上イタリア語を英語に翻訳してくれる人もいてすごく助かった。

カンティーナを経営している兄弟たちにはそれぞれパートナーがいて、昼間訪れた時にはそのパートナーや友達がいて短いおしゃべりをしたのだけれどイタリア語を褒めてもらえた。「いつからイタリアにいるの?」はすごくよく聞かれるのだけど「Da ottobre(10月からだよ)」と答えるとみんな決まって「poco!(まだほんのちょっとじゃん!)」と言う。住んで2ヶ月で色々旅してイタリア語話す日本人ってあんまりいないみたい。

イタリア語で行われるカンティーナ説明、全部はわからないけれど元々あるワインの知識や文脈からの推測でなんとなく言いたいことがわかったり、というか予測するのも面白い。

肝心のワインのお味はと言いますと、ぶっちゃけ日本で飲んだことのあるアキッレの味はほとんど忘れていて、でも美味しかったことだけは覚えている。飲んで「あ〜〜〜」って思い出した。飲んだことのなかったAugusto、Leonardoは年代にもよるのだけどマジで美味しくて。

ここまで書いてなかったけれど主力の4つのワインは4人の息子たちの名前が付けられている。そう、彼らがワイン作りを始めたのではなく、彼らの両親が始めたものを今は4人の息子が分業して経営している。

(作り手の)Leonardo曰く、(ワインの)Leonardoは2020年のが美味しい。僕は飲んだ瞬間説明が頭に入ってこなくなるくらい美味しさに浸ってしまった。ほんとうに美味しいワインを味わうと僕は黙ってしまう。2017年のAugustoは商業ルートには存在しない(作り手の)Leonardoが身内とだけ飲んでいるらしく、これも大変美味しかった。この2つを知らずにカンティーナを訪問したのが恥ずかしくなるくらい。これら2つのワインは毎年作るものではなく葡萄の出来が良いときだけ造るらしい。L’Arcoでも同じようなお話を聞いたのでイタリアいるあるなのかもしれない。

Leonardoとのツーショット。最高に楽しい訪問だった。Grazie cuore.


以下カンティーナスナップショット、の前に今日の考え事。

年内年始の過ごし方に迷ってる。特に予定は建てていなかったのだけれど、語学学校とアルバイトのお休みが被るから長期の旅行するなら今なのかなって。シチリア、サルデーニャ、ナポリ、マルケ、リグーリア、行きたいところはいくらでもある。でも旅行するならしっかり目標を建てて、かけたコストに悔いを残したくない

美味しいワイン体験はできているけれど美味しいレストラン体験ができていないのが今の悩みで。美味しい一品には巡り合ってはいても「ここにまた食べに来たい!!!」と強く感動してないんです。むしろ日本のイタリアンの方がその経験が多い。これは単に言語の問題、検索能力や人伝のレコメンドがない故の状況と捉えていて。だからこそ、今わかってる間違いなく美味しいレストラン、Casa VissaniとOateria Francescanaへ行ってみたい。行って僕が何を感じるかを知りたい。

Oateria Francescanaはモデナにあるからまだ近所だけど、Casa Vissaniはウンブリアでなかなか遠い。どっちも行くなら車がほぼ必須だからとうとうレンタカーにチャレンジするか。チャレンジするならまずは近いOateria Francescanaで練習して、行けそうなら5時間ドライブでCasa Vissaniを目指すか。いずれにしてもお店の予約と宿の予約と車の予約で気が重い。とゆーかそんな食べ歩いていていいのか。僕はもっともっとイタリア語勉強を頑張るべきではないのか、と頭の中の城拓が言っている。なんならレストラン行く以外にも考えるべきことがあるのでは?それが何かはわからないけれど。

話は変わるけれど、語学学校がお休みになって広いお家で1人過ごすようになって急激に寂しさが訪れている。この前まではリビングのソファーにいたから1人の時間がほとんどないくらいだったのに急転直下の孤独。なんやかやで僕は寮的な空間が好きだったんだと思い出す。人と一緒に食べる飯はうまい。

だから、アルバイトに行っている方が気楽ではあるんですよね。人といられるし、お金稼げるし、どうせ1月には語学学校もアルバイトも休みになるのだから。

となると12月は勉強とアルバイトを頑張りつつ、ミラノのグルメを探求して。1月からガンガン旅に出るのがいいのかな〜どうなんだろう〜?ともやもやして言葉にしたくて書きました。

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