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ノルウェーの自然に吹く共鳴の音 #音楽で旅に出よう

「ハーディングフェーレは確かにノルウェーで生まれた楽器」

ハーディングフェーレ職人になることを志したときに浮かんだ言葉です。

北欧ノルウェー南西部にあるHardanger(ハルダンゲル)地方で生まれたハーディングフェーレを知るために、初めて訪れたノルウェー。そこでフィヨルドをはじめとした雄大な自然、人々、音楽などの文化に触れました。それは瞬きをほんの数回した程度で終わったと感じてしまうほどの短い旅でした。しかしながら、帰国後にハーディングフェーレの音色を耳にした瞬間、ふわっとノルウェーの風景がたくさん溢れてきました。楽器の音色一つで、これほどまでにその国の情景が浮かぶのだという事に感動しました。その時に浮かんだのが冒頭の言葉です。

酒井絵美さんのVetla Jento Miは、そんなノルウェーの風景を感じられる1枚です。美味しいリンゴや美しいフィヨルドなど自然溢れるHardanger地方の伝統曲で主に構成されています。演奏からはその土地の師から学ぶことで生まれる土着感、そして酒井さんご自身の解釈が感じとれます。

CDのブックレットには各曲の分かり易い解説、ノルウェー伝統音楽やハーディングフェーレに関する基礎的な情報や楽譜も掲載されています。初めてハーディングフェーレを触れる方への気配りが感じられるノルウェー音楽の入門としても親しみやすいCDです。

日常の喧噪から離れ、雄大な自然に遠く響き渡るハーディングフェーレの共鳴の音と共に、心のノルウェー小旅行へ旅立ちましょう。

*サムネイル:私が旅したSogne Fjord(ソグネフィヨルド)
*ハーディングフェーレ:見た目はヴァイオリンに似ていますが、ヴァイオリンにはない共 鳴弦(現在の主流は4もしくは5本)が、弾く弦(4本)の下を通っており、弓で上の弦を弾くと、下の弦が共鳴して自然と響く仕組みになっています。これにより、音が優しく、広がるような響きになります。 本体に描かれている花柄模様、これは「Rosing(ロージング)」と呼ばれています。頭の生き物は、ドラゴンやライオンなどと表現されることが一般的ですが、具体的な生物は何かは分かっていません。また象嵌が各所に細工されているのも特徴の一つです。


著者情報

原圭佑
ヴァイオリン&ノルウェー伝統楽器ハーディングフェーレ職人

イギリスNewark School of Violin Makingにてヴァイオリン族の製作及び修理修復の技術を取得。キプロス共和国にて研修。ヴァイオリン職人Stepan Soultanian氏の下、プロの現場を経験し、技術を学ぶ。
帰国後、日本の弦楽器店にて修理修復者として勤務。北欧ノルウェーBø i Telemarkにてノルウェー伝統楽器ハーディングフェーレ(英名:ハルダンゲルフィドル)の製作・修理修復を職人Ottar Kåsa氏より学ぶ。ノルウェー伝統音楽最大のコンペティションLandskappleiken i Trysilにて行われたハーディングフェーレ製作部門で初出場し、日本人初のブロンズDiplomaを取得。日本で「ハーディングフェーレ&ヴァイオリン工房K」を設立し、ノルウェー現地でハーディングフェーレ製作を学んだ唯一の日本人プロ職人として、ハーディングフェーレ及びヴァイオリン/フィドル製作修理、奏者のサポート、またノルウェー伝統音楽普及に努め、日々研鑽を積んでいる。
ハーディングフェーレ&ヴァイオリン工房k

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下記ウェブサイトで A-I のアルバムが視聴できます。

#音楽で旅に出よう

Grazie per leggere. Ci vediamo. 読んでくれてありがとう。また会おう!