『ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜』

日本での開催ながら23年前だからか記憶が朧気な長野オリンピック。その中では比較的覚えているスキージャンプ・ラージヒル団体の舞台裏が題材ということで見てみたら、トップアスリートの第一線から突如舞台裏のスタッフに回った迷いや葛藤、第一線で活躍する仲間へのジェラシーなど人間が描かれた良質なヒューマンドラマだった。

 

 

まず、何よりも、金メダリストの原田雅彦がそっくり!誰が演じてるのかと思いきや、『カメラを止めるな!』の濱津隆之と聞いて二度びっくり。人前での妙にヘラヘラした雰囲気だけでなく、顔の作りまでそっくりで、よく演じられている。

 

 

主人公の西方仁也の物語はまるでラージヒルのジャンプ台のようにアップ、ダウンの波が激しいドラマで素直に楽しめる。また、同じテストジャンパー隊にアスリートからの落ちこぼれや女性、障害者など不思議と20年後の多様性に富んだ編成になっている。実話ベースの話なのでその辺りはいじってないと見え、特に当時女性によるスキージャンプ競技が公式種目じゃなかったこともあって女性に対する意識や偏見の目といったその時の時代らしさも見られる。

 

 

あと脇役だがコーチの神崎役の古田新太が目立つ。アスリートたちをビシビシ鍛える姿や嫌なコーチ役にぴったりで、劇団☆新感線の看板俳優らしさが伺える。原田雅彦役の濱津隆之もしかりだが、奇しくもベテランの舞台俳優の二人が、二十代が中心の若手俳優たちを支えている。

 

 

結果が分かってるから、終盤のハラハラドキドキは薄いが、全体的に程よい笑いもある手堅いヒューマンドラマになってる。オリンピック直前のやや狙った公開ではあるが、穿った見方はせずに素直に見れば、確実に楽しめる映画である。

 

 

評価:★★★★

 

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