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ニューヨーク・ニュージャージーの現役弁護士から聞いた、小室圭の勤務先の評判
小室圭が所属しているLowenstein Sandler(ローウェンスタイン・サンドラー)は、僕自身内定を貰っていたのでそれなりに馴染みのある法律事務所だ。さらには、Lowensteinの本拠地であるニュージャージー州で学生時代を過ごし、小室圭と同様にニューヨーク州の法律事務所で働いていたので、ニューヨークとニュージャージーの法律事務所の事情に関して詳しい友人が多くいる。最近アメリカに行ってきたので、そんな彼らに今のLowensteinの評判を聞いてみた。
僕の元々の印象
まずは、僕が元々持っていたLowensteinに対する印象をおさらいしておく。
Lowensteinは本拠地がニュージャージー州の郊外Roselandにある、ニュージャージー州の一流法律事務所。小室圭の勤務先であるニューヨークオフィスはいわば支部であり、イメージとしては、大阪に本拠点を置く法律事務所の東京オフィスみたいなものだ。Lowensteinはニューヨーク市に加えて首都のワシントンやカリフォルニア州にも拠点を構えているが、海外拠点は一つもない。
この事務所に所属する弁護士は300人超で、年間収益は約400億円。ニュージャージー州でこの事務所の名前を知らない弁護士はいないと言えるが、ニューヨーク市では微妙なのでは、というのが自分のニューヨーク勤務の経験を踏まえた印象だった。
ニューヨークにいる元同僚の印象
以前書いたとおり、僕は日本と関係がある仕事をしたかったので、Lowensteinの内定を断って別の法律事務所に入所した。最終的に入所した事務所はニューヨークに本社がある国際的な事務所で、東京を含む世界諸国の大都市で20弱の拠点を構えていた。規模的には900人の弁護士が所属しており、その約半数がニューヨーク本社にいた。言い方を変えると、僕がかつて働いていた事務所のニューヨーク本社だけでも、現在のLowenstein全体の規模より大きかったのだ。
僕はこの事務所だいぶ前に退所しており、当時の同僚も大半が既に退所しているが、多くは現在もニューヨークで働いている。そんな元同僚の4人とランチをしながらLowensteinの話を振ってみたら、こんな会話になった。
僕「日本では、Lowensteinはニューヨークの法律事務所っていう感じで報道されてるんだけど」
A「うーん、ニューヨークの事務所っていうより地方の中堅の事務所っていう感じだけど」
B「僕も中堅の事務所っていうイメージ」
A「そういえば、Lowensteinって僕のオフィスビルに入ってる」
僕「え、まじで?」
A「うん、下の2階」
僕「誰か一緒に仕事したことはある?」
B「僕はない」
C「僕はある。確か、更生法関係の案件だった」
僕「大きな案件ではなさそうだね」
D「僕は、僕たちの古巣からLowensteinに転職した弁護士を数人知ってる」
僕「えー、それは意外。で、日本のプリンセスの旦那がLowensteinで働いてるっていう話は聞いたことある?」
A~D:「聞いたことがない」
ニュージャージー州にいる友人の印象
では、Lowensteinの本拠地であるニュージャージー州での評判はどうであろうか。
ニュージャージー州には弁護士になった友人が多くいるので(注:米国では弁護士になりやすい)、彼らと夕食をしながら、同じくLowensteinの話を振ってみた。
僕「日本では、Lowensteinはニューヨークの法律事務所っていう感じで報道されてるんだけど」
E「えー、ニューヨークじゃないでしょ?地方の事務所だよ」
F「僕もニューヨークっていう印象はないな」
僕「でも資質はいいよね」
E「うーん、どうかな(笑)」
G「いい、いい。ニュージャージーの法律事務所の市場を解説すると、Lowensteinが圧倒的な1位。2位と3位の事務所は僅差だけど、いずれも1位のLowensteinには水をあけられている。(ちなみに、僕の事務所は3位)。Lowensteinはニュージャージーを独占しちゃったんで、ニューヨーク市への進出に本腰を入れてるんじゃない。なんとなく、最近のLowensteinは専門性が求められる案件より大規模案件を扱えられるように人材を入れ替えてる印象がある」
F「そういえば、確か、僕の選挙区の下院議員はLowenstein出身だったよ。あと、我が州の検事総長もLowenstein出身だと思う」
僕「日本のプリンセスの旦那がLowensteinのニューヨークオフィスで働いてるっていう話は聞いたことある?」
E~G「知らなかった」
元同僚・友人の印象を踏まえた僕の感想
こうして、ニューヨークーの元同僚、ニュージャージーの友人7人からLowensteinの話を聞いてみたが、いずれも、僕が元々持っていた印象を覆すものではなかった。若干変わったのは、Lowensteinの名前が以前より若干ニューヨーク市でも浸透し始めていることに気付かされたくらいか。
実際、ニューヨークにいる元同僚の4人全員がLowensteinの名前を聞いたことがあったのは意外であった。また、我々の古巣からLowensteinに転職した弁護士がいることも、僕がニューヨークにいた頃には考えられなかったことである。それだけLowensteinはニューヨーク市でも存在感を示せるようになってきているのであろう。
もっとも、疑いもなく「ニューヨークの大手法律事務所」に勤めている4人のほとんどがLowensteinと共に仕事をしたことがないということは、やはりLowensteinはまだ「ニューヨークの大手法律事務所」の仲間入りはできていないのも事実だと思う。Aの勤務先のビルを見せてもらったが、法律事務所に相応しいピカイチの建物である一方で、LowensteinよりAが務めているオフィスの方が階が高く、スペースは3倍あった。(ちなみに、Aの勤務先は全世界で4000人超弁護士がいる超大規法律事務所である)
特に興味深かったのは、ニュージャージー州でもLowensteinは地方(というか地元)の法律事務所だという印象を持たれていることだった。もちろん、(Gの感想はさておき)Lowensteinのニュージャージー州での評判は抜群だし、出身者の多くが政界への進出を果たしていることが、地元での絶対的な地位を裏付けている。
以上を踏まえると、やはりLowenstein Sandler LLPを「ニューヨークの大手法律事務所」と表現するのことにはだいぶ語弊があると思う。そのように考えている弁護士は、ニューヨーク市どころか本拠地のニュージャージー州でさえもいない。
[注:この記事は2023年2~3月に自分のブログに載せた投稿に微修正加えた上で再掲したものです]
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