好きなものを仕事にした話。

好きなものは人それぞれだ。

車が好きな人もいれば、ゲームが好きな人もいる。

食べるのが好きな人もいれば、山登りが好きな人もいる。

自分はどちらかと言えば、そういうものが少ない人生を歩んできたと思う。

色んなものに興味は持つが、割とすぐに飽きてしまう。

だから好きなものを聞かれても、すぐに答えられるものがなかった。

そんな私がここ数年、とてもハマっているものがある。

「多肉植物」だ。

元々、植物を育ててみたい願望はあった。

しかし、育て方も分からないし何を育てたらいいのかも分からず、

何となく諦めていた。

転機が訪れたのは結婚をしてからだった。

たまたま義父母が育てていた多肉植物（主にエケベリアとハオルチア）を、

興味があるならと1鉢ずつ分けてもらった。

それがとても嬉しく、多肉植物について色んなことを知りたくなった。

有名なもので言えばサボテンやアロエなどが挙げられるが、

花のような形に葉が成長するものや、棒状に伸びていくものなど、

知り始めたら面白くて仕方がなかった。

休みの日は色んな園芸店に行き、見て、触って興味を深めていった。

住んでいるマンションのベランダの一角に多肉植物を置くスペースを作り、

少しずつ成長を楽しむようになった。

仕事でのストレスは、家に帰ってきてから多肉を眺めたり、

休日に朝からベランダに出ることで解消していた。

そんな時、たまたま市内にある有名な多肉植物のメーカーが、

正社員で男性の営業職を募集していることを知った。

業種は違えど、元々やっていたので営業は出来る自信があったし、

面接を受ければ内定がもらえるという根拠のない自信もあった。

ただ、全くの未経験で一から覚えるということだけが少し不安だった。

それでも自分の人生で、

こんなチャンスは二度と巡ってこないかもしれないと思った。

翌日には電話をして、面接を受け、結果的には内定をもらった。

12月1日から今の会社で働かせてもらっているが、

毎日がとても楽しい。

好きなものの知識が増えていく喜び、

単純に好きなものに囲まれている喜び、

好きなものを仕事にしてお金が得られている喜び。

そういったものを毎日感じている。

よく「趣味や好きなものは仕事にしない方がいい」なんて言葉を聞く。

仕事になると興味がなくなったり、嫌いになったりするからだと人は言う。

確かにそういう人もいるだろう。

そうなってしまう環境のせいでもあるかもしれない。

それでもあえて言いたい。

私は今好きなものを仕事にして生活している。

今後もしかして嫌いになったり興味がなくなったりする日が来るかもしれないが、

少なくとも今、私は仕事に楽しみを覚えている。