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アンダーカレント

鑑賞:2023年10月@新宿バルト9

水のある景色

最も信頼する映画監督・今泉力哉さんの最新作。役者さんが記号に昇華されていて驚きました。身近で日常的なんですが、絵作りと音、テンポが創作であることを力強く示しています。まるで絵本のようでした。絵の繋がりが危うく感じるぐらい研ぎ澄まされたシーンが多くて、とても繊細です。

お話、好きです。ストレートに言わない人たち。

嘘。人をわかるということ。重たいタバコ。自分のことを話さない。おせっかい江戸っ子。団地の見える丘。首絞め。学友。何も言わずにいなくなるダメージ。人の営みをエグる失踪。嘘つきに本当のことを懇願する矛盾。
「話さないこと」の悲哀。遠回りが遠回りではなかったキャラクターたち。風呂場、川、池、海、という多くの水場。
はっきりさせないままクライマックスへ持ち込み、もろもろがはっきりするのに…そのエンド!!

真木よう子さんと井浦新さんのオフビートな闘い、なかなか見られませんよこれは…。真木よう子さんはビートがありますけど基本はオフビート。そこに、おいしくニクイ、リリーフランキーさん。カラオケのとこ、笑いたいのを堪えることになりました。永山瑛太さんの存在感が、すごく絶妙。「他の人だったら」なんて考えられない。

マンガみたいな実写、なにか撮り方にクセがつけてある気がします。少なくとも余計ななにかを映さないように絵作りされてました。

表層に見えないものをめぐる時間でした。

▲原作マンガです。

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