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ルカ・パヴィチェヴィッチHCから学ぶコーチング哲学

おはようございます。

デフバスケットボール女子日本代表監督の伊藤丈泰です!

さて今日はSTAY HOME週間に行われたオンラインイベント「佐々木クリスのDEEP B.LEAGUE supported by 月刊バスケットボール」でのルカHCの話についてまとめました。

目次

1.ルカHCの自己紹介。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
ルカ・パヴィチェヴィッチ
アルバルク東京 HC
役職 ヘッドコーチ
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基本情報
誕生日 1968年6月17日(51歳)
国 モンテネグロの旗 モンテネグロ
出身地 ティトーグラード  
ルカ・パヴィチェヴィッチ(Luka Pavićević、1968年6月17日 - )は、モンテネグロのバスケットボール選手、指導者。ユーゴスラビア・ティトーグラード(現:ポドゴリツァ)出身。
「略歴」
ユタ大学卒業後、ヨーロッパ各国で選手として欧州チャンピオンズカップ(現ユーロリーグ)3度優勝など活躍し、引退後の2003年からセルビアA1リーグで指導者キャリアを始める。ギリシャ、ドイツ、フランスを渡った後、2012年から14年まで母国モンテネグロ代表ヘッドコーチを務める。
2016年11月日本バスケットボール協会技術委員会アドバイザー就任のため来日。男子日本代表次期ヘッドコーチ就任まで代行を務めた。
2017年6月、アルバルク東京HC就任。

私にとっては日本代表監督の大先輩でもあります。

今年度は東海大学から平岩玄選手を獲得したアルバルク東京。ルカHCの指導を直接受けられるなんて羨ましいですね!


2.2019−2020シーズンの意味合い

まず冒頭で話されたのは今シーズンの意味合い。昨年度まで2年連続で優勝しており、3PEATがかかった大事なシーズンという位置づけだったようです。

Bリーグにおいては、優勝候補が5〜6チームある中で、3PEATが狙えるのは貴重なチャンス。

それでもルカHCが大切にしたのは

「1試合、1試合…目の前の試合をクリアしていく!というメンタリティーが重要であった」と話されていました。


3.ルカHCのコーチング哲学

まず話は2017−2018のBリーグ元年について。初代王者に輝いたアルバルク東京は、優勝したことでBリーグのスタンダードを創り上げた。

1年目難しかったのは、コーチングクリニックを通してBリーグのコーチたちにルカHC自身のシステムや考え方といったノウハウを伝えた上で、共に戦っていくことだったと語っている。

そして、パワーハウスであるために。バスケットボール文化をどう構築していくかを考えたという。

まずチームを1年目、大変革していかなくてはいけなかった。チャンピオンとしての振る舞いに変えていくのが大変だった。

その中でも興味深かったのはポイントガードの起用について。

PGとしてフィジカルさを持っている選手を起用した。

テクニックも大切だが、激しさやスピードを求めたようであった。

また当時大学生だった馬場雄大選手を大学レベルからプロレベルに引き上げるために、戦術的・技術的にアプローチしたとも語っていた。


4.フランチャイズプレイヤーの考え方

これまでの日本のバスケットボールの文化は、

「外国籍選手にボールを預ける」

という流れがあった。

しかし、アルバルク東京は「田中大貴」選手に任せるようにした。

日本人選手中心にチームを創っていこうという決心はものすごい決断であっただろう。

また外国籍の選手の獲得については、チームの文化(戦術)に合う、海外でも実績のある選手を獲得しようと考えていたようである。

外国人選手に求めたことは、「攻守両面において、気迫を持ってやれるプレイヤーを求めた。

技術的な習慣では、ピックアンドロールを多用したチーム創りをしていった。


5.W杯を経験した選手の成長について

逆説的かもしれないという前置きをされた後に次のように語った。

アンダーカテゴリーや正代表、濃厚な時間は各クラブで過ごす時間が大切で、日本代表チームで突発的に成長するわけではないという見解であった。


6.ライバルチームについて

1番大切なことは「選手の資質」だ、とのこと。

もっとタレントを増やしていくべき。

性格、人間的に素晴らしい人がチームにいるかが大切とのこと。

帰化選手についても話題になりました。

シーホース三河のJR選手(個人的に大好きです☺️)や大阪エヴェッサのアイラブラウン選手。これらの選手は年齢とともに試合に与えるインパクトは低下してきた。千葉ジェッツのギャビンエドワーズ選手、東芝ブレイブサンダースのニックファジーカス選手、栃木ブレックスのライアン・ロシター選手などがいるチームは、やはり驚異的でライバル、優勝候補になっていくとのことでした。


7.来シーズンについて

各チームの選手の補強が鍵になる。

インサイドもアウトサイドもできる外国人選手、冨樫選手のような選手が同じチームに2人もいる場合は、さらに薄毛になってしまうねwという自虐ネタも挟まれました😂


8.逆境に強いチームを創るには

アルバルク東京には良いイメージがあります「規律が正しい、ハードワーカー、バウンスバック、レジリエンス」…つまり、逆境に強いということです。

そのために大切なことは

「ビルディングカルチャー」

チームとしての文化創りが大切だということです。

嘘偽りなく、真正面から困難を乗り越える。想定外をつくらないように、弱点に対して、一つ一つ準備して弱点や課題を潰していくということでした。


9.BASKETBALL IS BEAUTIFUL SPORTS

このキーワードも多用されており、とても印象的でした!

2019年11月に行われた栃木ブレックスとアルバルク東京の一戦。

映像を観ながら、当時の采配や戦況、リード&リアクトを解説。

残り2分。68−70で2点ビハインドの状況。

ここでまずタイムアウトを行う。

選手たちには

「すべてのプレーが生きるか死ぬか」

という状況なのだというマインドセットにした。

つまり、これまでとは違う状況であるという話。

相手のホームコート。

鳴り止まない相手チームの大歓声。

こんな状況では審判も適正なジャッジをすることも困難だということも伝えていたようだ。

だからこそ、「オフェンスはシンプルにとどめる」ことにした。

PGがピックアンドロールでアドバンテージを創り出し、次の仲間へ展開。

昔は外国籍選手へ渡してアドバンテージをとっていた。

今は日本人プレーヤーのピックアンドロールスタートで優位性をとる。

ピックアンドロールはスペーシングと掛け合わせれば、効率的な戦術に昇華させることができる。

70−71に逆転する3Pを沈めた。

こういう拮抗した展開があるから、バスケットは美しいと力説。

最後の切り札のスペインピックのことも解説があった。


10.視聴者からの質疑に応答

Q1 .ルカフラッグについて

A1.竹内選手のジョークが発端であった。

Q 2.試合中にベンチエリアで興奮する意図は?

A2.チームを鼓舞しているのではない。NCAAのコーチなどもそうだが、審判に公正さを求めている。選手やコーチ、周りのスタッフのキャリアにも影響するから。レフリーを自分の支配下に置かなければならない。もちろん審判への最大級の敬意は持っている。

Q3.コーチ留学をするならどこがいいですか?

A3.アメリカのNBAは最高。だけど、アスレチック能力が高すぎて、参考にならない部分もあるのも確か。戦術的・技術的な部分ならヨーロッパのバスケットから学ぶことは多い。日本人のバスケットにはヨーロッパの戦術の方がフィットする。


3000文字!

最後までお読みいただき、ありがとうございました🙏



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