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サハラマラソン 2022  2/3       -Marathon Des Sables 2022-

全ルート

Stage 1: 27/03/2022 – 9H00 30.3km(10H00)

※行程の記憶は一部曖昧な部分があります。
朝食は燻製チーズのみ。他のメンバーはしっかり食べていた。9:12発Patrickの説明も長いが、参加者のテンションが高く、さらにHighway to the Hellが流れると最高潮に。スタートは怒涛の集団になり疾走。まだペース感が全くつかめておらず、とりあえず走れるところまでは走る。軽い砂漠、山間の道。
CP1
CP(チェックポイント)は、BIB番号によりゲートが分かれており、個別カードに水の配給をチェックされる。 テントでは、休憩スペース、メディカルスペースがわかれて設置されている。最初なので、軽く一息つく程度で直ぐに出発。その後、石が多く、先を見ていると捻挫しそうで途中から歩く事にする。後、見える距離感が実際と異なり、戸惑う。砂に足を取られるが抗うと疲れるのが分かる。
CP2
砂漠は体力を余分に消費し、距離は伸びない地獄。これによりペースが狂うし、水の消費が多い気がする。大体5km/hのペースで歩く。少し足に違和感。
Goal
15:12着。予想通りキツイ初日だった。トレーニングで十分荷物を持って走ってなかったのは準備不足と痛感。荷物の重さで肩が痛むし、リュックの摩擦で皮膚も痛む感じ。テントは砂だらけで頭も全て砂だらけ。普通の状態じゃ気が狂いそう。ただ、テントに友人からの応援メールが届き、励まされる。ゴールで振舞われる甘い紅茶のような飲み物が熱いにも関わらず超美味に感じる。

ゴール後の甘~いTea

Stage 2: 28/03-2022 – 8H30 38.5km(11H30)

朝はバランス栄養食、グミを食べていた。テント仲間は皆、元気そう。
CP1
すぐに山越えが待っている。見上げると頂上部は混んでおり、前方者の後を黙々と進む。途中、岩場もあり、思ったほど簡単な道ではない。登頂に近づくと強風になるが、尾根を気持ちよく進む。山から見えていたCP2。希望の光。順調です。
CP2
徐々に気温上昇が。砂嵐発生。歩きやすい砂利道だが、視界不良。なかなか酷い状態。数メートル先も見えず、砂を耳の穴、鼻の穴、口と人生で最大の砂を食す。この苦行は何時まで続くのか!! 直線での砂嵐は砂に打たれ続けるだけ。早く終わってほしいが終わる気配無し。超キツイ。何も考えずに歩いているときが一番進んでいる気がする。あらゆる邪心を振りほどけ!!と自分に言いきかせる。中々状況改善せぬ中、砂丘をすすむ。これがサハラ。一歩踏込むとその半分は砂で戻る。各ランナーが色々文句言っている様にみえるが、それくらい本当にきつい砂嵐。要所に組織運営スタッフがおり、次のCPまでの道のりを確認すると、岩山を登り続け、頂上から下を見れば、見えるらしい。目眩が…。

砂嵐

CP3
相当、岩山登山で疲弊し、その後、大砂丘の下りで壁壁し、麓のCP3へ。CPが見えているのに距離が近づかない感覚はいつも同じ。先に着いて休憩しているKazumaさんの調子が悪そう。私も一緒に休憩するが、偶然Renaさんと合流し、ゆっくり出発することに。テントは風で飛ばされそうな勢い。陽は暮れかけで周囲は徐々に夜のとばりに。
Goal
3人でゴール。Kazumaさんの呼吸が荒い。結局、嘔吐し、メディカルへ。熱中症ぽい。復調祈る。テントはもちろん全て砂だらけ。先にゴールしたメンバーは元気で救われる。
熱中症、砂嵐、日没により3名がリタイヤ:中園さん、Shujiさん、Obanaさん
これは何ともショックで、一緒に夜空を見ながら飲みましょうと言っていたのに…。同じ境遇の中、同じゴールを目指している同志の存在は何よりも励みになる。

Stage 3: 29/03-2022 – 8H30 32.1km(10H30)

リタイヤした3名とは朝6時過ぎに分かれる。とても残念。中園さんから痛み止めを頂く。心残りは、ミントのアロマを貰うの忘れた!! とにかく彼らの分まで頑張り、何としてもゴールしたいと心の中で強く誓う。Mahoさんから麦茶のパックを頂く。レース中に飲む麦茶は驚くほど美味しかった。身支度を整え、珍しくまじめに朝食を胃袋へ(牛めし、ココア、ミルクティー)。食欲は少ない。荷物をまとめ、重い足取りでゲートに向かうが足裏の負傷部が痛く、ゆっくりしか進めない。

岩と砂の山

CP1
最初から軽めの登山に近い、砂山をひたすら列を組み登る。前の人の足後を追ってひたすら進む。山頂に近づくと強風。しかし、涼しい。ガレ場の尾根を進むコースが続いており、景色を楽しみたいがそこまで余裕はないかな。イスラエルのエイラートで登った山と同じ感じ。尾根からCPが見え、モチベーションアップ。
CP2
リユックを下して休憩しているため、出発まで準備に時間がかかるが、とにかく足を伸ばしたい。ドライイチジクとカロリーメイトを水で流し込み、再びガレ場を登山。休みながらの行軍。その後、昨日と同じく午後は砂嵐。涙が出るので目の周りが砂まみれで固まっている。それにしても凄い砂嵐。嵐というだけあって風が強く、進行を妨げられる。
Goal
砂まみれ。Kentさんがお出迎え。気配りの人なので配給されたら4本のペットボトルの水をテントまで運んでくれた。ゲーター一部破損。ライターも砂で着火しない。アルファー米とフリーズドライの味噌汁を食す。シンプルで美味しい!! メディカルへ行き、足の治療をしてもらう。日に日に悪化している。硬い石や砂利の道は地面を蹴るイメージで進めるが砂は踏ん張れず体力と気力を消耗する。今日は砂道が多かったと言うとMahoさんが少なかったと。?。冷静に考えるとランナーで疾走する彼女には砂道も一気に過ぎていくと納得。


日に日に悪化した足裏

Stage 4: 30*31/03-2022 – 8H15/11H15 85.8km

朝起きると頭が砂でザラザラ。明け方から寒くて眠れない状態。ロングステージなので気合を入れて、カルボナーラ、ココア、ミルクティで朝食。不要な食糧とマットを処分。テントの仲間と健闘を称えつつスタートゲートへ。スーパーランナーは3時間遅れのスタート。いつも通り説明と経過報告等で遅延してスタート。未知のCP4はクリアしたいな、、、というのが最低限の想い。荷物はマットを処分したため500グラムは削減されていると思うがそれ以上にカサが減った感じがうれしい。かと言って足のダメージからの痛みは和らぐわけではない。スタートして数十分で痛みが緩和されるとRyosukeさんに言うとそれはアドレナリンだと指摘され納得。

硬い地面は快適

CP1
順調に進む。Kazumaさんとはここまで一緒に移動するが、昨日の点滴で復活し、元気なので先に行ってもらう。
CP2
奇跡的に小雨があった。朝の涼しさから日中の厳しさへ。少しでも早くクリアしたい想いで黙々とOne step forwardと呟きながら進む。やはり何故か無意識に歩数を数えている。ピンクの目印はあるが、それと距離感が一致しないのが疲れる。
CP3
炎天下の中、砂利道と砂道が交互に来る印象。欧米人と歩幅の違いに相変わらず不思議に思う。同じ一歩でも歩幅というかピッチが異なり、付いていけない。
夕方、赤いウェアでアスリート体系のバランスで年齢は60歳前後のランナーと遭遇する。マイペースで進む紳士の後を何も言わず、並走する。夕暮れにそろそろCPと思っていたらCP4まで4.5kmと表示があり彼は怒っていたが、それでもペースは変わらないので助かる。チューインガムのいい匂いがするジェントルマン。いいペースメーカーだった。
CP4&CP5(オーバーナイト)
CP4で休息し、出発しようとするとカナダ人のCarolineと出会い、一緒に夜道を進みませんかと提案し行くことにする。彼女は私より2歳年下で子供は二人、ご主人は運送関連の仕事をしている。彼女はナースで長男以外はCOVID-19に関わらず仕事や学校が忙しかったようです。長男は長らく家から出ることが出来ずセラピー中。走行中、気を紛らすために色々話した。
CP5は、思ったより早く着いた。彼女のペースは素晴らしい。暖かく、甘い紅茶が用意されており、とても救われる。薪でキャンプファイヤーがあり、その周辺で椅子に座ったり、寝そべったり休んでいるランナー達がいる。順調。すぐに出発し、その後、CP6で私が休憩する関係でCarolineは先に進む(彼女は足を怪我しており止まる選択肢はなし)。
CP6
イギリス人と並走する。月が無い夜道は暗く、その分、星がとても多く綺麗。途中、CPの様に見える光が何回かあるが異なり、その度、お互い軽い絶望を味わう。最後は彼が野糞をするため、先に進んでほしいといわれ、単独走行に。感覚より距離間が長い印象は変わらない。25時にCP7に着き、少し休もうと思い横になるが、あまりの寒さで寝袋を出し、入ってしまう。もちろん、その流れで仮眠。結局2:30に起きて、すぐに出発。
CP7
ゲートは一つになっていた。朝方通過。ウィンドブレーカーを着ているが、それでもどちらかというと寒い感じ。柔らかい土の農道をゆっくり進む。その後、小岩の道(砂利道と言いたいが少し違う)。ガレ道で岩のころがる丘を越え、ゴールが見えるが遥彼方に。一瞬、心が折れそうになる。先に進んでいる人が点にしか見えない。一人で黙々と進み、少しでも日が昇る前にゴールを迎えたい。ゲートのバルーンが見えるが距離はなかなか縮まらない。今回、何度同じことを思ったことか。仲間は間違いなく数時間前に到着し、寝ているか、もしくは朝食かなと思いつつ。
Goal
8:00過ぎにゴール。やり切ったというより、暑さがないため、予想よりスムーズに進んだと思いたい。まぁ長かったし、ゴール出来てよかった。長蛇のメディカルへ行き、破損している皮膚を剥がし、処置して頂く。痛み止めの飲み薬も処方される。その後、梅がゆと味噌汁を食べる。あっさりしていて何とも美味い。毎日、応援メールが届き、とても嬉しい、これが、何よりのエネルギーになっている。昼寝した後、とうとう冷たいコークを支給される。爪が酷く破損しており、プルタブが開けれない。藤本さんにヘルプして貰った。冷たく、噂に聞いていた砂漠の中で味わう世界一美味いコーク。しばらく常温以上の飲み物しか無かったのと乾燥でたまらない。夕食は、モンベル社の梅しそリゾットとスープ。

テントの寝る位置は到着が遅いので100%端が定位置
砂漠で冷たいコーク

Stage 5: 01/04-2022 – 7H00 42.2km(12H00)


足は痛みのみ

朝方は寒い。今日がレースの最終日。プロテインバー、カシューナッツを流し込む。テント生活がだんだん普通になっている事に驚きつつ。砂も気にならない。ここまでくると荷物も大分、減ったかな。食べない食糧はテント仲間に提供。食に執着のある(ハイエナとも言う)?(拘りのある)若い2名に喜んでもらえてこちらも嬉しい気持ち。ほぼ毎日、藤本さんが言う「マジですか~」を今朝も聞けた(笑)。
CP1
出発前にヤスコさんから、昨年足のトラブルによりCP2で脱落した日本人がいるよ。と言われ、少なくともCP2をクリアするミッションに目覚める。ありがとう!痛みの中、比較的順調に進む。途中、道路下のトンネルを屈みながら通ったりしつつ進む。
CP2
休憩中、藤本さんに貰ったハチミツを食す。運よくRenaさんと合流する。この調子でいけばCP3でも会えるので、その際は一緒にゴールすることにする。本当、いい人だ。今回で9回連続出場&完走…。凄すぎる。いや、狂っている。今回も私が暑いと思った時も彼女は快適だと…。でも、この時間、暑さに体力と気力が…。
CP3
暑さで気力がかなりそがれている。Renaさんが先に到着されている。少し長めの休憩後、最後のWalkへ。水だけ補給。(エナジー系は、体が拒否しつつあり)
暑さによるダメージが多く、水で首回りを冷やす。Renaさんのボトルからの放水もとても助かる。最初は間違ってスポーツドリンクでしたが(笑)。最後の方で、廃墟の城跡?があり、そこの日陰で休息を取っていると露店でブレスレットやネックレスをこじんまりと売っているところにイギリス人ランナーが遭遇し、交渉なく、€70くらい購入していた。ありえない。
Goal
ゴールが見えた後、気力も薄れ、何となく進む。早く終わってほしいのがその時の気持ち。Renaさんが絶妙なサポートをしていただいた事は忘れません。ありがとう!!
ゴールに関しては、RenaさんがPatrickを独り占めしたいと3回程、聞いたいたので、微妙に戸惑う。先にゴールして頂こうとしたが、一緒に行きましょうと言われ、??で進む。
ゴール手前300メートルくらいに誰かが手を振っており、Renaさんは動画撮影しつつ、お互い誰だと言いながら進む。ヤスコさんでした。有難う。ゴールはPatrickによる祝福とメダル授与。もちろん素晴らしい日本人チーム全員にお迎えして頂けた。もちろんという言い方は違和感がありますが、素晴らしい仲間でした。イベント企画者であり、創設者であるPatrickの功績は世界のチャレンジャーから賞賛されるべき。私が驚いたのは毎日移動するこのサーカス集団の運営を円滑にする企画力、組織力とランナーへのリスペクトでした。今日もメッセージが届いた。素直にうれしい。

Finisher Medal


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