見出し画像

サハラマラソン 2022  3/3       -Marathon Des Sables 2022-

Stage 6: 02/04/2022 – 09H00 7.7km

チャリティーラン

体がだるい。Fun runという感覚ではなく、早く7.7kmを終わらせたい気持ちが強い。もう少し早く出発できるならいいのだが。おかげで気温が十分高くなっている。サハラ砂漠で一番美しいという砂漠の道をひたすら進む。足の痛みで、やはり楽しむ余裕無し。早くゴールしなければ足が…。途中から日本人チームから離れ、黙々と進む。
10:40にゴールでき、バスへ。途中、ランチ休憩で食べたランチパックのアップル、オレンジが超絶美味。生ものを久しぶりに食べた感じ。美味過ぎる。今まで果物はあまり進んで食べないので意外なほど美味しさを感じた。バスの中は満席のため、リユックを膝の上に乗せたまま6時間近く耐える。ほしくない水を補給しつつ。

Shujiさんのお出迎え、Thank you!!

ワルザザードのホテルでは、民族衣装をまとい現地人と化した中園さんとShujiさん+地元の民族衣装を着た集団に迎えられる。とても嬉しい。コークと水も用意してくれ、本当にありがたい。これでJourneyが終わりに近づいたと実感。まずは体中の砂を落としたいし、9日ぶりのシャワーを浴び、7日間着続けた衣類を体から外す。夜はホテルでディナー。久しぶりのビールを仲間と飲む。

日本チーム:

13名参加(1名はモロッコ在住)。男性では私が最年長(驚)。20代、30代の元気な仲間が雰囲気を盛り上げてくれた。ノルウェーに交換留学している最年少の学生Kentさんは気の利く優しい人物。Manabuさんはモロッコ在住の官庁の方。モロッコテントに滞在。同じテントの中では、Shujiさんは、サイパンでホテルマンをしていたが、退職しMDSに参加。笑顔が素敵な優しい好青年。YouTuberのRyosukeさんは企画力、行動力ともに面白い。レースも日本人男子最速だった。テントの食事時は必ず撮影し解説していた。来年、エベレスト登頂目指すらしい(With Dr. 中園)。Atsushiさんはカートで日本縦断したインフルエンサー。笑顔と食事の際の「うまっ!」に好感が持てる。Kazumaさんは気の利く、バランスタイプの起業家。28歳にしてアイアンマンを完走している。来年ジャングルマラソンに出る予定。Dr. 中園は外科医であり、装備品が完璧で、何でも必要な物が出てくるのが凄い。よく準備されていると感心するし、本当に頼りになる。藤本さんは、独特のキャラクター。スタート1時間前から準備完了で軽くアップしていた印象。食事は、こまめに計算されており、情報収取も完璧。ただ、毎日無くしたスマホを探していた様な。


テント

足:

2日目から皮が剥け出す。靴との相性か、歩き方の問題か。ステージ2から足の裏に水膨れが発生。足の裏の痛みがレース全体で大部分を占めていた。テントから出るのも、砂利道や、小石を踏み、痛みに耐える必要がある。後半は、塩分接種の影響か、浮腫んだ状態が続く。太ももの筋肉痛はあるが、大した事はなかった。

ペース:

走ると荷物の負荷が肩にくるので、基本歩く事にした。足の痛みは歩き始め10分で気にならなくなる。アドレナリン…。

レース中:

3日目からスティックを使用する。負荷が分散されて少し楽になった感じ。基本、足元を見ながら歩数カウントしている自分がいる。不思議と頭に音楽は流れない。CPを目標に、時速5kmを意識して、ひたすら進む。あまり後ろを振り返る事はなく、路面状態を眺め続けている感じ。

星空:

レース期間中、月明かりが無かったため、満天の星空を楽しめた。北斗七星、カシオペア座、オリオン座等、北極星を中心としたプラネタリウム。本当、美しい。

午前0時以降:

寒過ぎる。4日目以降、マットを処分した関係でベルベル人が用意したカーペットの上に寝袋で過ごす。カーペットの下の小石が痛い。寒さで目が覚めるが我慢して朝を待つ。

爪:

湿度5%の中では、すぐに手の爪が割れ始め2日目には全ての爪先はボロボロに欠ける。テープで保護を図るがすぐに外れる。親指の爪のダメージは何とも言えない。缶コーラを開けることも出来なかった。

唇:

日焼け止めを塗る習慣なんてなく、気が付けば2日以降はパリパリに。リップの効果は無い。乾燥と砂と日差しでボロボロに。

砂嵐:

2日目と3日目の午後に襲われる(過去最大級らしい)。視界不良で前を歩く人を見失わないように薄目で追尾。横殴りと突風で気力・体力の消耗は凄まじい。激しく吹き当たる砂が痛い。耳、鼻、目、口とあらゆる穴に粒子の細かい砂が入り込む。涙が出ると砂で固まる。口と鼻はBuffで覆い、凌ぐ。

ナイトステージ:

19時以降はヘッドライトがMustであり、それで足元を照らしながら進む。油断すると岩や石を蹴り、足を負傷するため危険。気温が低いため、砂場が多かった様に思えるが思ったよりスムーズに進んだ。

ドリンクと塩分補給:

スポーツドリンクの粉末を何種類か日によって分けていたが、最後の方は水が一番落ち着く。Mahoさんに頂いた麦茶は超絶美味だった。一度、昼間にCPまでに水が無くなりそうで焦る事があった。ボトルはオフィシャルの物が使いやすい。大会から支給される塩タブレットを1.5リットルのペットボトルを開ける毎に2粒飲むように指示さてる。1粒/30分で飲んで対策しているメンバーもいた。私はCP毎に飲むようにしていた。

食事と栄養補給:

食べる事がエネルギーの源と信じている人には重要な事項。大会本部から指定された2000Kcal/day×7日=14,000Kcalを満たすため、高カロリー食品等で要求事項をとにかく満たす必要がある。(最終日は午前で終了なので余分)※実際はトップランナーでない限り、細かくチェックされない。色々カロリー計算し、準備したが、全く予定通りにならず。日本人はアルファー米を中心に用意していたと思う。藤本さんの準備は完璧に近く、毎朝、ビーフシチューは食べていたし、フリーズドドライ商品を上手く用意していた。モンベル社のシリーズは皆、評判が良かったと思う。カップヌードル、カレーメシもGood。私は味噌汁と梅がゆが染みた。暖かい物を食べる方がモチベーションが上がると思った。火はブロックの固形燃料、もしくは火のいらないモーリアンヒートパックは面白いと思った。栄養は、もちろんレース中に補給する必要があるが、全く食欲が湧かない。オーバーナイトステージでも同じで、並走する仲間がCPで何か食べた方がいいと言われ、カロリーメイトを水で流し込む。特にレース後半は酷かった。テントに戻っても疲れで料理を準備する気分になれないが、周りに空腹者と食に対する追求レベルが高い仲間がいるため、その流れで何とか自炊する。ジェル系の栄養補給は私には合っていた。

トイレ:

“大”は、仮設のトイレを基本使用する。専用のビニル袋を支給され、洋式トイレの枠にビニル袋をあてがい使用する。そしてそのビニル袋は外のゴミ箱へ。“小“は基本、大地で済ます。女性も少し離れ隠れるような場所で用を足す。オーバーナイトステージはルート上の少しそれたところに水分がしみ込んだ模様が多数あった。 

砂山&岩山:

砂山はロープで登る場合があり、楽ではない。ステージ2では、3回アップダウンを繰り返した。岩山の登りは登山と変わらず疲労度はMax。下りは膝への負担があるが、歩いている分には問題ない。

荷物:

オフィシャルリュックがいいのかなぁを思ってしまう。全体的に私は嵩張る物が多かったと反省している。テントで使用するマットはエアマットよりウレタンマットの方がいいかな。

ゲーター:

靴の特性上、前方部にミシン針が入らず接着剤でマジックテープを固定。岩山や、砂利道でダメージを受け、2日目には剥がれだず。応急処置として接着剤で固めるが不安は残る。砂漠では、砂が入り込む事により、足の皮が剥けると聞いているため、注意していた。5本指のソックスとその上に厚手のソックスを履いており、そしてもともと気密性の高いシューズのため、ゲーターが十分機能していない状態でも砂の侵入は防げた。

メディカル:

2日目から連続3日間お世話になる。野戦病院の印象。テントで負傷もしくは体調の状況確認され、振り分けられる。大部分は足の治療者。簡易椅子に座り、足を洗って保護カバーを付けて待つ。各ドクターが処置してくれる。3回目はさすがに状態も悪く、傷部の全部の皮を剥がして、痛み止めを処方される。

CP(チェックポイント):

タグによる通過チェックとBIB番号別にゲートが設けられている。私は863番なので、常に右側に行っていた。そこでカードにチェックを入れてもらい、水が支給される。迎え入れてくれるスタッフの笑顔を声掛けに救われる。水を受け取り出ると、左右にテントが用意されており、片方がメディカル用テント、もう一方は休憩用。真ん中にゴミ箱が用意されており、飲んだ後のペットボトルが大量に捨てられている。砂嵐時のCPは地獄。全く休めない。

Patrick:

企画者で総合責任者あり、エンターテナー。自分がかつて35kgの荷物を持って12日間350kmサハラ砂漠を走破したのがMDSの始まり。クレイジーというか、展開力に優れていると思う。大会運営も申し分無く、満足度は高い。

フランス語:

基本フランス語がメイン。サバ。サバ。と耳に残るくらい聞いた(笑)。

最後に:

長年の夢であったMarathon Des Sables(MDS)日本ではサハラマラソンに参加出来て、家族、会社の仲間、友人に感謝したい。レースの7日間はアッという間に過ぎた感じだが、日々のレースに全てを捧げた。自然の中で人間が抗う事は虚しさを感じるくらい弱いものである。ウクライナ情勢や、日本の地震、会社の事は気になるが、ネットが繋がらない世界も悪くはない。
仕事の関係で脳腫瘍の患者様ご家族と接することがあり、今回のチャレンジを行く前にお伝えした。私のチャレンジより日々治療に向き合っている患者様、それとサポートしているご家族の苦労に比べると、いや比べると事なんて出来ない。ただ世界一過酷といわれているマラソンに臨む姿勢に少しでも共感して頂ければと思い、完走を絶対目標としていた。足の痛み以外は無理せず出来たと思う。達成できた目標は、反省と改善事項が怒涛の様にある。今後、新たな目標設定をする事になると思うが、この様な素晴らしいレースと仲間に出会えた事は何よりも財産になった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?