シェア
takuma nagashima
2020年5月27日 00:17
「君の言葉は,祈りみたいで美しいな.」四角く白い病室で,僕は風に揺れるカーテンを見ていた.空は澄んでいたが肌寒く,歩く人々は,皆縮こまって足早に歩いている.僕はというと,ここで,千羽鶴を送ってきた頭の悪い連中に悪態を付きながら,自分が買ってきた花に水を上げている.ここは僕の部屋ではない.この部屋には僕以外に君という生命が存在していて,互いに全く別々の鼓動を鳴らしている.君はいつもにこにこ笑って
2020年10月31日 11:58
【第5話】はこちら「私の命はこれまでみたい.毎日夜にね,心臓がもう終わりって教えてくれるの.最初は,やだやだ,まだ生きていたいってダダを捏ねていたんだけれど,もうそういうものなのかって思っちゃって.でも,ずっと昔から納得してはいたけれど,いざその時になると,やっぱり生きたいっておもってしまうのね.おかしいよね.」必死に笑おうとしていたが,いつも笑っていた君はもういなく.弱々しく瞳から涙が零れ