正念場を迎えた日本企業の組織改革。「自営型」の選択がV字回復への切り札に。
長年来続いてきた日本のメンバーシップ型雇用は、終焉に向かいつつある。「次は、ジョブ型雇用だ」と、世間では大合唱が起きている。そのトレンドに乗り遅れまいと転換を急ぐ企業も多い。だが、二者択一的な判断が果たして正しいのであろうか。
こうしたなか、「日本に欧米流のジョブ型雇用を導入するのは困難であるとともに、適合しない。新たな選択肢を講じるべきである」と主張するのが、組織論の第一人者である同志社大学教授の太田肇氏だ。新刊『「自営型」で働く時代-ジョブ型雇用はもう古い!』で太田氏が提唱しているのが、「自営型」という働き方だ。なぜ、ジョブ型でなく「自営型」なのか。「自営型」は日本企業に何をもたらしてくれるのか。
前編では、新刊執筆への想いや「自営型」の特徴などを聞いた。
【前編はこちらから】
■前編の目次
日本にジョブ型が定着することはない
デジタル化やIT化が「自営型」を後押しする
「自営型」は中小企業にも適合しやすい
後編では、「自営型」を選択する意義やその成功事例などを聞いた。
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■後編の目次
欧米に追随するだけの日本に未来はない
「自営型」は「労働の人間化」の新段階
「自営型」の成功事例が増えている
太田 肇氏
同志社大学 政策学部 大学院総合政策科学研究科 教授
兵庫県出身。経済学博士。日本における組織論の第一人者として著作のほか、マスコミでの発言、講演なども積極的にこなす。近著は、『何もしないほうが得な日本 -社会に広がる「消極的利己主義」の構造 』(PHP新書、2022年)、『日本人の承認欲求-テレワークがさらした深層』(新潮新書、2022年)など。『プロフェッショナルと組織』で組織学会賞、『仕事人(しごとじん)と組織-インフラ型への企業革新』で経営科学文献賞、『ベンチャー企業の「仕事」』で中小企業研究奨励賞本賞を受賞。他に著書30冊以上。