pizza計劃

23歳のうちに本を書きたいです

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洋梨タルト

2人で最後に食べた洋梨タルトが忘れられなくて、わざわざ代官山まで1人で行って、なんとなくホールで買ってしまった。 あの時の匂いだ。 「私、イギリスに行きたいんだよね〜」 突然海外に行きたいと言い出して、ラフな感じで別れを告げてきた彼女の笑顔が、タルトの爽やかな匂いで甦った。 1人で食べれるようにカットして、お店で食べる気分をもう一度味わうために、少し贅沢に見える盛りつけを試みる。といっても、綺麗めなお皿に盛り付ける程度。 ひと口食べると、あの時の味

    • パーキングエリア

      お気に入りのパーキングに近づくと、「満」の文字がこれみよがしと邪悪に光っていた。 担当クライアントにお伺いする時によく使う、いつも空いていて停めやすいこの駐車場が満車とは、今日はとことんついてない日だと悟った。 今朝、飼っている柴犬が珍しくトイレの外で用を足してしまっており、忙しないかつ貴重な朝の時間を掃除に費やすことになった。和風な名前を付けたくて「明智」と名付けたこの愛犬。飼い始めた頃、どこにおもちゃを隠してもまるで探偵のように見つけてくるので、そちらの方を

      • 45度

        「最敬礼は45度です」 バイトの接客指導で言われたことがある。 そんな誰しもが角度の感覚を持ち合わせてるわけじゃないし、指導してるおばちゃんだってなんとなく「これくらいだろう」ってお辞儀してるんだろうな。 始めたばかりのバイト中って、あまり役割が明確じゃないので待ちの時間が多い。色んなバイトを渡り歩いてる大学2年生の今の時期、何事も経験だという父親の言葉を盲信して1ヶ月ごとにバイトを変えている。稼ぎを失う代わりに人生経験を得ている。 自分の指導係が接客に

        • ポテトサラダ

           半額シールが貼られたお惣菜をカゴに詰めて、暇そうなレジめがけてそそくさと歩く。上司の嫌な声色とは対照的な、ピッと明るい音が聞こえると同時に、液晶画面にはしっかりと半額に値引きされた金額が浮かび上がって、僕は心の中でガッツポーズをする。  今日は好物のポテトサラダを確保できた。それだけで今日の労働が報われたと感じる。こんな日は、有料のレジ袋を買うことを厭わない。だって、ポテトサラダが横向きにリュックに入るのは許せないから。  スーパーから家までの帰路で聴く音楽は、その日の

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        洋梨タルト

          叱られたくなかった話

          仕事で取材をする機会が多いので、その中で最近感じたことをばーっと書きます。 人って第一印象がほぼ全てだと思ってたけど、そんなことは無いんじゃないかなと思った話。 俺の親はあまり俺を叱らなかった。 叱らなかったと言うより、叱るラインが少し緩かったような気がする。 兄弟で喧嘩をしても軽い仲裁に留まっていたし、解決する過程はそれぞれに任されていた。 激しい喧嘩の時はさすがに怒号が横から飛んできたけど、一言だけ「うるさい!」と言う程度。 その反動からか、誰かに叱られるっていう

          叱られたくなかった話

          "音楽" に 生かされている

          「好きな曲をイメージして絵を描いてください。」 先生の言いつけ通り、僕はRADWIMPSの『君と羊と青』をイメージして、幻想空間に青いリンゴが浮かぶ作品を作った。評価はBだった。先生曰く、空いたスペースが多いからもっと色々描けただろうということらしい。僕にとってはその余白が必要なものであり、この曲を知っている人には理解されると確信していた。 クラスの中で良いと思った作品に生徒がシールを貼るのだが、僕の作品には1枚だけしかシールが貼られず、『嵐』の曲で描いた生徒には数え

          "音楽" に 生かされている

          法で裁けない悪事の話@電車

          先日電車に乗って自宅に帰っている時だった。 とある駅でかなりの人が乗ってきており、 (うわ〜、俺あと30分くらい立ってるの辛いな)と 思っていたのだが、 その人々と同時に、まあまあお年の召したお婆さんが3人仲良く乗ってきた。 「これ乗れるかしら?あら〜すごい人ねえ。」 そんな会話を続けながら、僕の左側に位置を構え、人混みの中どうにか立っているようだった。 僕の乗っていた位置は、車両の中でも端っこ。 横並びで3人がけの席、乗車口側に座っている人の前で吊革に捕まって立ってい

          法で裁けない悪事の話@電車

          "言葉の人間味"を失いたくない

          最近よく取り上げられる話題のひとつ、 「Chat GPT」というAI。 まず私はChat GPTの利用について、概ね反対の姿勢を取ろうと思う。理由は以下で分かると思う。 まず私はそれがどんな仕組みなのかいろんな情報を見て学んでみたのだが、簡単に言うとこんな感じ。 一連の単語の中からある単語を予測する学習方法によって「その単語と関連性の高い単語」を割り出し、そこにそのモノやヒトの情報を組み合わせることで、次に繋がる言葉でどれが1番"確率"が高いかを導き出すという仕組みらし

          "言葉の人間味"を失いたくない

          「機会」は掴んでなんぼ

          坂本龍一さんが亡くなった。 1月に亡くなった高橋幸宏さんを追いかけるかのようなタイミング、奇しくもそのタイミングで、実際にYMOを聴いていた僕。 速報が出たタイミングから現在まで、 "この音楽を作った人間がこの世にもういない" という事実が、僕に "時代の移り変わり" を大きく痛感させる。 23年目の人生。まだまだ短い今生。 これから生きていくであろう年月の方が、今まで生きてきた期間よりも長い僕ではあるけれど、生意気にも『人生』をテーマに色々書いちま

          「機会」は掴んでなんぼ

          SLAMDUNKに見る、コンテンツと語り手位置の組み合わせの重要さ

          映画『THE FAST SLAMDUNK』が大ヒットしています。もちろん僕も見に行きました〜。 OPのThe Birthdayの『LOVE ROCKETS』から始まり、何の曲か分からないけどそれがチバユウスケの声だとわかった瞬間、僕のテンションは爆上がりでした。(キャラが描かれていく演出も良かったよネ) 本作は漫画の主人公・桜木花道ではなく、桜木より1つ学年が上の先輩である2年生ガード・宮城リョータがメインに据え置かれている作品でしたね。これは宮城リョータのバスケに置ける

          SLAMDUNKに見る、コンテンツと語り手位置の組み合わせの重要さ

          「バズり重視」社会への聴き手の個人的感情

          最近よく思うことなんですけど、曲が出る時期ってめっちゃ大事だな〜と。 夏に合わせて"夏の曲"が出ると、 「あ〜この曲みたいな夏を過ごしたいな〜」とか、 「昔過ごした夏の日と重なって良いな〜」みたいな、 聴いた人に色んな感情を与えやすいから良い、ともちろん思う。そりゃハマれば売れるよね。 でも、秋とか冬にふと夏の曲がリリースされたら、それはそれで良いと思う。俺はこっちが良い。 「この曲を書いた人は、今年の夏にこんな日々を過ごして、こんな感情になったんだろうな〜」とか、 共感

          「バズり重視」社会への聴き手の個人的感情

          KIRINJI『悪玉』の良さ

          僕は2000年生まれのミレニアムベイビーな訳ですが、同じ2000年にリリースされたKIRINJIのアルバ厶『3』は擦り切れるくらい聞いてます。 有名なのはやはり、2017年にCM起用されたり映画で使われたりした『エイリアンズ』でしょうね。 でも、『エイリアンズ』ばかり聞くのは勿体ないです。 アルバムって、アルバムの曲をその順番で聞くからこその良さがあるんです。だってその曲順にしたのってミュージャン本人ですから、意味ありますきっと その中でも『悪玉』という曲は僕の大好き

          KIRINJI『悪玉』の良さ

          "Z世代の倍速視聴"ってなんですか

          なんか最近のニュースとかバラエティ見てたら、 「Z世代は映画やドラマを倍速で見るそうです!」 って頻繁に仰られているようですね。 Z世代ってのがどの世代なのか分からなくて調べたんですけど、1990年半ばから2010年代ってのがこれに区分されるらしい。 でもこれが驚いたことに区分被りもあるんすよ。 例に出すと、僕は2000年生まれのピチピチ21歳なんですけど「ゆとり世代」と「Z世代」被ってるんです。 ん?え?俺ってZ世代なの? いやいやびびっちゃいましたよ…。 俺のイメ

          "Z世代の倍速視聴"ってなんですか

          比較して考えることの意義

          写真は日本武道館に行った時に撮ったものであり、桜とボートの距離感の良さと日光で照らされた川が美しく思わずシャッターを切った。 武道館は大学の近くであり、私は文学部でアメリカ作家の長編小説を扱うゼミに所属している。学びの中での批評・考察・解析の中で多く"比較"を用いることが多いという自覚がある。 この"比較"という行為は無意識に行うのと意識的に行うのとでは大差があると気づいた。 そこで比較行為について思ったことを2つ書いておく。 . . 比較には「2つ」が付き物 比較す

          比較して考えることの意義

          『ドライブ・マイ・カー』を鑑賞して

          先日、『ドライブ・マイ・カー』 を観に行ってきました。 気になっていた作品ということもあり夜遅くですが1人で観に行きました。 複数気になった点や考えた点があるので書き残します。 1.車の座る位置、前を見ること 本作品の中では"車に乗っている"状態での対話シーンが多く、主人公である家福(西島秀俊)が1人で車に乗っている時ですら、流しているテープに録音された妻の音(霧島れいか)の声を聞きながら、演劇のセリフ覚えをしている。そのため車の中は常に「言葉」が存在し、思考の場というよ

          『ドライブ・マイ・カー』を鑑賞して

          "普通"について

          東京事変の新曲『ふつうとは』にある歌詞の一部分。 現状維持を求める姿が今の社会で普通である、そういった日本の現状を歌ったのであろうことは、すぐに感じられる歌詞だと思う。 日本という国が保守的な様相を纏い、全体として現状維持>進歩という国民性になってきていることを、歌詞が訴えているように私は感じた。 小説の構造にはいくつも種類があって、登場人物1人の目線から全てが語られる一人称小説、多人数からの視点から語られる複数視点の小説、登場人物の感情に近づかない全知の目線で語られる三人

          "普通"について