KIRINJI『悪玉』の良さ
僕は2000年生まれのミレニアムベイビーな訳ですが、同じ2000年にリリースされたKIRINJIのアルバ厶『3』は擦り切れるくらい聞いてます。
有名なのはやはり、2017年にCM起用されたり映画で使われたりした『エイリアンズ』でしょうね。
でも、『エイリアンズ』ばかり聞くのは勿体ないです。
アルバムって、アルバムの曲をその順番で聞くからこその良さがあるんです。だってその曲順にしたのってミュージャン本人ですから、意味ありますきっと
その中でも『悪玉』という曲は僕の大好きな曲でして、曲の中のストーリー性と視点人物の心境変化がキャッチーな音楽の中で実に自然に作り上げられています。
曲自体は6分あるのでかなり長めです。
まず歌詞の内容としては、
「悪役(ヒール)を演じるレスラー」の視点の曲です。
これは歌詞の冒頭からもわかる通りです。
そしてこの後の歌詞が、この曲にストーリー性を持たせる上で最重要な歌詞になっています。
これ!分かります?
この視点人物たる悪玉には、息子がいます。
息子は、悪役(ヒール)である自分の父に蔑みの目を向けていることが分かるんです。
自分が父の立場になったときに、息子にどう思われたいかなんて、憧れて欲しいに決まってますよね。
主人公として存在する悪玉は、自分の配役と息子の蔑みの間に立たされて揺れ動きます。
そしてリング上には悪役(ヒール)を打ち倒す善玉(ベビーフェイス)が高らかなテーマと共に登場します。
かなりイカつい決めゼリフで登場した善玉に対し、悪玉は悪意を"魅せて"やると意を決します。
悪玉という配役を捨てる訳ではなく、あくまでも"悪"という立場から観客と息子を魅了させてやろうという決意を感じます。
そして曲の最後では、
台本とは違う行動を取ったであろう悪玉に対し、興行主は驚き思わず席を立ちます。善玉の勝利を求めて来た客は罵声を飛ばし、会場は少し荒れているでしょうか。
「お前」はもちろん息子ですよね〜。息子の憧れを含んだ笑顔を見たくて、父は自分の役を全うしつつ昇華させるわけです。
6分の曲の歌詞だけで、ここまで視点人物の心境を描き表せるの本当に凄い。感動しちゃう。
KIRINJIは今は堀込高樹さんがソロでやっていますが、堀込泰行さんと2人でやられていた頃の曲も、その後の複数メンバー時代も、どの曲をとっても最高です。
是非聞いてください。俺は聞き続けます。
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