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寄り添う看護

看護コーチは、看護とコーチングを実践する中で、患者・その家族・チームメンバー・他職種のスタッフ・地域の人々・その他関わる全ての人々がその人らしく輝いて生きるための支援をしています。
看護コーチトレーニングを卒業し、その後「認定看護コーチ」となった看護師の皆さんの日々の輝きを紹介することで、やっぱり看護っていいな、看護コーチングっていいなと思う瞬間をインタビューを通してたくさん見つけていきたいと思います。

本当はCAさんになりたかったけど、家族に反対されて看護師を選んだ。そんな静香さんは今では患者さんの心を癒しほぐす素敵な看護師さんです。どんな気持ちで、どんな考え方で看護という仕事をしているのか、語っていただきました。患者さんとの関りや看護に迷っている方必読です。


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静香さん
大学病院勤務後
現在はクリニックで看護師をしている
NCT1期生


【看護の道】

(奈津美)まず、看護師になろうと思ったきっかけは何だったんですか?

(静香さん)私はもともとCAさんになりたかったんですよ。でも家族にはCAになることを大反対されて…。そんな時に母が病気して。妊娠をきっかけに母の子宮体癌が見つかったので、子供をとるか自分の体をとるかっていう選択を迫られていたんです。母は「願わくばどっちも」っていってて‥‥。誰でもそう思いますよね。
手術の日には私も病院に行ったんですけど、その日担当だった看護師さんが私の隣に座って、寄り添ってくれたんですよね。何を聴くわけでもなく、ただ寄り添ってくれて。そんな看護師さんの姿を見て「看護師さんって、病院で働いて患者さんをみるだけじゃないんだな」って思ったんです。患者の周りにいる家族とかのアシストもする人なんだなあって。それに影響を受けて、患者さんだけじゃなく、周りの方たちも含めた看護ができる看護師になりたいなと思ったのがきっかけです。

(奈津美)素敵で鳥肌が立ちます。静香さんはどんな看護師さんなんですか?

(静香さん)実は、看護師になってからしばらくは仕事に追われて、自分のなりたかった看護師像が全く消えてしまっていたっていうのがありますね。

(奈津美)それはちょっとわかります(笑) なってみると現実って違うことがありますよね。

(静香さん)教えてもらうっていう時代でもなかったので、わからないことを聴ける環境でも状況でもなくて。勉強してきたレポートを見せて内容がOKでないと見学すらできない、そんな時代だったので自分の夢とか希望とか忘れてましたね。

【寄り添う看護】


(静香さん)それでもやっと「夢」に戻れたのは、看護師4年目くらいの研修の時に看護観を考えたからでした。自分の看護観って何だろう、なんで看護師になりたかったんだっけ?って自分に問いただしたんです…。その頃からやっと余裕が出てきて。患者さんだけじゃなくて、その周りの人たちに目を向けられるようになって、自分が本来やりたかったことができるようになっていったなと思います。

それまでは仕事に追われて体調も崩して、看護師から離れようかなと思ったこともあったんですけど、わたしは人と関わることが好きで、お世話することが好きなんです。新卒で希望の部署には入れなかったときでも、激務で体調を崩してしまうことがあったときも、やっぱり私には看護師しかないって思って。

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(奈津美)患者さん以外にも、周りの人も支援したいって気持ちが強いのが伝わってきます。この方に寄り添えたな~って、どんな方が思い出されますか?

(静香さん)意外と数えきれないかもしれないです。印象的なのは、産婦人科で働いている時代に担当だった患者さんのことですね。女性生殖器疾患にかかっていた9歳の女の子がいたんです。
わたし、勤務終わりには必ず担当の患者さんのところを回ってたんですね。たまには消灯ぎりぎりになって「すみませーん」って言いながら、回ることもあって。その時、その女の子のところに行ったら、「あー、起きてたよ~!来ると思ったから!」って言われて。眠れなそうっていうときには、ちょっとそばにいて話聴いたり、そろそろ寝れるかなあ~っていうときまで一緒にいてから帰ったりして。大部屋にいたからお母さんの付き添いはできないけど、「お母さん居なくても大丈夫、一人で平気」って言ってすごい強い子だなあって思ってたんです。
お母さんに会える時は、最近こんな感じですよとか話していたんですけど、娘が9歳で女性生殖器系の病気になっちゃうって、ケースとしてはレアだったので、とにかくお母さんの話も聴けるときに話をずっと聴いてたかなって思いますね。

退院が近くなってきたときは、学校にもあんまり行けてなくて、なかなか気持ちがついていかなかったみたいで、行きづらくなっちゃってて。だから、そんな得意じゃないけど、一緒に勉強しようよって誘って、夜勤明けに一緒に勉強したりしてたな。そしたら退院指導の時には、「学校行ける気がする」って言って。退院の日にお手紙をくれたんですよね。その中に、わたしは将来しずかちゃんみたいな看護師になりたいって書いてくれてて。自分の関わりは、寄り添えてたのかなって思って。そのあとはずーっと年賀状やり取りして成長も見てたんだけど、実際その子看護師になったの。

(奈津美)感動のドラマ。。。素敵です。泣
関わりの中で静香さんが一番大事にしていたことってどんなことですか?

(静香さん)その子に、頑張れって言わなかった!だって頑張ってるもん。患者さんに頑張ってくださいねとか、頑張りましょうねとか、看護師って口癖のように言ってしまうことがあるけど。代わりに、頭撫でてた(笑) 
言葉での励ましではなくて、ボディーランゲージというか、触れてたな。まさに手当てっていう感じかな。

(奈津美)いわゆるタッチングですかね。言葉以上のメッセージがそこにはありそうですよね。

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(奈津美)最後に静香さんにとって看護コーチとは?

(静香さん)看護コーチとは、私そのもの。恥ずかしいけど(笑) コーチングを学んで、観察力・直観力・語彙力・自己肯定感、いろんなことがレベルアップしたけど、今までやってきたことをさらに磨いた感じなので。私いい意味で患者さんのこと泣かせるのも得意なんです(笑)いい意味ですよ(笑)

【インタビューを終えて】

インタビューのあと、つい2日前も初診の患者さん泣かせちゃったんですよ~と話す静香さんは、患者さんやその周りの人の心をほぐす天才なのかもしれません。患者さんの状況や心に寄り添って、言葉以上の手当てをする、そんな看護師さんだから、ホッとして涙を流される患者さんがたくさんいるんだと思います。
看護師として、相手とのかかわり方に迷うこともあるし、なんて声を掛けたらいいのかわからないこともありますよね。そんな時ほど寄り添って言葉以上の想いを届けられたら、たくさんの患者さんの心を癒すができるのかもしれません。
みなさんはどんな寄り添い方をしていますか??


次回もお楽しみに★


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