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【エッセイ】ノンセクシャルかもしれないと気付いてからの話

自分がノンセクシャルかもしれないと思い始めてから、あの時なぜこう思ったのか、なぜこんな行動をしたのか、答え合わせをする日々が続いている。

映画「花束みたいな恋をした」を観た時の話。恋人である主人公二人の関係がもつれ始めたシーンで、「もう3ヶ月もセックスしてない」みたいな有村架純のモノローグが入った。そのシーンを観た自分は「恋人にセックスって必要かな」と思ったのを覚えている。当時付き合っていた女性はいたけど、キスもセックスもしていなかった。私個人は「そんなことは必要ない」と思っていたが、今考えたら相手は必要だと思っていたに違いない。事実、「セックスしたくないの!?」みたいなことをLINEで言われたことがある。その時の心境としては、「この人は私と性行為をしたいと思っている」と感じて、かなり怖かったのが正直な所だ。

たとえば好きな人が出来たとする。「この人ともっと話したい」「この人と連絡先を交換したい」「この人とお茶したい」という風に考える。プラトニックな妄想はいくらでも出来るけど、性的なことを考えられない。「キス」とか「セックス」などのワードを頭に登場させると、脳内が真っ暗になって、思考がストップする感覚がある。

そういえば、「異性として見る・見れない」という感覚もわからない。女性を目の前にして「異性だ」「女性だ」と思ったとして、それは特別な意味を持たない。たとえばその人が、ドラマを観ることが好きで、明るい性格の高橋美紀という人なら「ドラマ好きの明るい高橋美紀さんだ」としか思わない。その高橋さんを好きになったとしても、高橋さんの人間的な部分が大きな魅力に感じるだけで、女性であることを意識するわけではない。

そういったことを仲の良い友人に話すと、「好きになるってことには、異性として好きになることと、人として好きになることの2種類があって、どちらか片方だけだったら上手くいかない。ナカノ君は人として好きになることしか判断基準がないみたいだよね」といったことを言われた。その言葉を聞いた瞬間、かなりしっくり来た。同時に、異性として好きになるという価値観が、本当にあることを知った。

異性から愛情を向けられると嬉しいけど、性欲を向けられると拒んでしまう。というか、向けられてもどうして良いかわからない。今後、好きになった人が「恋人にはセックスが必要」という考えを持っていたら、交際出来ないかもしれないと考えると、軽く絶望する。

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