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【カルチャー雑感】2020年02月27日~03月05日の本、テレビ、ラジオ、映画

この一週間でふれて、印象に残ったものの感想です。



マヒトゥ・ザ・ピーポー著「銀河で一番静かな革命」(2019)

ロックバンド「GEZAN」のボーカル、マヒトゥ・ザ・ピーポーによる初の小説。ヴィジュアル系バンドのボーカルとファンの女性、シングルマザーとその娘など、様々な人物の少しいびつな生活と境遇を描いた連作短編集。世界の不備によって生まれた、触れ難いもの、避けがちなものにスポットを当てる。途中から非現実的な展開になるものの、それすらもリアルに感じてしまった。この気取らない鋭利な文章は、どんな人にも届くに違いない。


テレビ
アメトーーク!「しずる池田大好き芸人」

ワイドショーの突撃取材で無言を貫く、生放送の特番で自分の出番を強引に作るなど、レギュラー出演していたコント番組が終了してからもたびたび話題を生み出してきたしずるの池田。満を持してメインで取り上げられて、面白くならないわけがない。まさか結婚を発表したファミマの店内放送の音源をちゃんと聴けるとは思わなかった。


ラジオ
ブレインスリープ presents 川島明のねごと(02/27放送分)

ゲストに平成ノブシコブシの吉村崇。川島さんが吉村さんを褒める流れから、その場を円滑にするという意味を込めて「吉村はチェイサー」と評する。そこからアシスタントの天津・向さんに対し「アニメの仕事の時は炭酸水に徹するのにテレビとかでは古酒になろうとする」という重すぎる評価が下されて笑ってしまった。


映画
ちょっと思い出しただけ(2022)

照明スタッフの照生(池松壮亮)とタクシードライバーの葉(伊藤沙莉)が、出会ってから別れるまでの6年間を、時間を遡りながら見せていく。この年の照生の誕生日には何があったのか、その時の二人はどんな雰囲気でどんな会話をしていたのかが描かれている。作中に登場するシーンは、二人の断片的な思い出でしかないが、全てを登場させないその余白の広さが良かった。ケンカして別れたからその恋は嫌な思い出なのか、出会ったことは間違いだったのかという問いに対する答えだと思う。人生のオールタイムベストには食い込まなかったけど、2022年が終わる頃に「そういえばそんな邦画あったな」と、文字通りちょっと思い出すのが容易に想像できる。


さがす(2022)

久しぶりに緊張感のある重たいサスペンスを観た。ごくわずかな情報から物語が始まって、「何がわからないのかわからない」という状態から、少しずつ全体の輪郭や細部が見えてくる。展開のさせ方と、その展開に至るまでの観る側の気持ちの操作が見事だと思った。森田望智さんの役が印象的。

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