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【エッセイ】あの時何を観たのか教えて欲しい

10年前に大学に入学して、1年生の4月の後半から「映画研究部」というサークルに加入した。元々「面白い映像作品を作りたい」という目的で入ったので、映画の知識は全くなかった。そこから映画館やTSUTAYAに通い、映画を観る楽しみを覚える。名前だけは知っている観ていない名作ばかり鑑賞していたけど、面白い映画にふれる日々は楽しかった。「月に10本観る」という自分自身に課したノルマは毎月達成出来ていなかったけど。

大学を卒業してからは、映画とは少し距離を置くことになる。超がつくような話題作を映画館に観に行く程度。ただ、2020年の8月に、なんとなく広島市内のミニシアターに行ってから、再び映画熱が再燃した。Netflixに加入し、TSUTAYAの新作と映画館の上映スケジュールをチェックする日々を、現在まで送り続けている。チケットだけでなく、パンフレットやサウンドトラックにもお金を遣うようになった。

そんな映画中心の無職生活を送る中で、ふと思い出したことがある。

中学1年生の冬休み。短期間の休みとはいえ、もちろん各教科から宿題が出る。他の教科の宿題は全く覚えていないが、英語の宿題だけどんなものだったか今でも覚えている。というより、それが最近になってふと思い出したことなのだが。

その宿題とは、「自宅で洋画を字幕で観て、出てくる英単語を聞き取ってメモして、最後に映画の感想を書くこと」だった。

洋画どころか映画に疎かった私は、母親に相談して、とりあえずTSUTAYAに向かった。悩んだ末に、「内容が簡単そう」という理由で、2005年公開の「チャーリーとチョコレート工場」を借りた。当時はまだ我が家ではVHSが主流だったので、パソコンでDVDを鑑賞した。英単語をメモしながらだったが、今でも内容は覚えている。

今一番気になるのは、クラスメイトがどんな映画を観たのか、ということだ。仲が良かった生徒も、縁が生まれなかった生徒も、どんな作品を観て、どんな感想を抱いていたのかが、今になって知りたくなってきた。

おそらくその宿題のことを覚えている人自体少ないと思うが、ムードメーカーだったあの男子は何を観たのか、嵐に夢中だったあの女子は何を観たのか、どんな理由でその作品を選んで何を感じたか、今となってはどうやっても知ることは出来ないが、どうしても気になって仕方がない。

ちなみに、「友達と子どもだけで映画を観に行く」という体験を初めてしたのも、中学の時だった。その時観た作品も覚えている。原作もテレビシリーズも一切追っていなかった「容疑者Xの献身」である。

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